鳥刺し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鳥刺し(とりさし)は、鳥黐などをつかって鳥を取ること。またはそれを生業とする人。古くから職業として成立しており、イソップ童話やモーツァルトのオペラ『魔笛』などにも登場する。
鳥刺しが使う代表的な道具は黐竿(もちざお)と呼ばれる先端に鳥黐を塗った長い竿[1]で、これで小鳥を「刺す」(くっつける)ことで捕らえる。このほか、鳥黐などで罠を仕掛けて囮や鳥笛、口笛を巧みに使うことで鳥をおびき寄せて捕まえたり、霞網や吹き矢、猟銃を使用することもある。
江戸時代の日本においては、鳥刺しは鷹匠に使えており、鷹の餌となる小鳥を捕まえていた。黐竿をもった鳥刺しのふるまいを真似た「鳥刺舞」(「鳥刺し踊り」「さいとりさし」とも)は伝統芸能として各地に伝わっている[2][3][4]。また、鳥刺しを題材としたカードゲームや子供の遊び[5]も行われていた。
鳥刺しは、生業とする者以外にとっては魚釣りと同様に趣味と実益を兼ねたレジャーであった。刺した鳥は食用または観賞用にされ、メジロやウグイスなど声や姿が美しい小鳥は多くの愛好家が存在する。ただし、現在の日本では鳥獣保護法などによってみだりに野鳥を獲ることは禁じられている。
[編集] 参考文献
- ^ 長い竿を持った姿を描いた浮世絵として 「一世一代 坂東彦三郎 平惟茂」「鳥さし勘八 中村歌右衛門」, 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館浮世絵閲覧システム. [1]
- ^ 長崎県南高来郡国見町の鳥刺し踊り
- ^ 鳥取県の「さいとりさし」
- ^ 山形県天童市の石倉鳥刺舞
- ^ 東条種家編 「児童体育遊戯法」, 1888年. [2]