メジロ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
メジロ | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() |
||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||
Zosterops japonicus Temminck & Schlegel, 1847 |
||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||
Japanese White-eye | ||||||||||||||||
亜種 | ||||||||||||||||
#亜種を参照 | ||||||||||||||||
ウィキメディア・コモンズに、メジロに関連するマルチメディアがあります。
|
メジロ(目白)はスズメ目メジロ科の鳥である。現在は50円切手のデザインのモデルとなっている(外部リンク先を参照)。
目次 |
[編集] 特徴
全長12cm前後で、スズメよりも小さめ。緑がかった背と暗褐色の羽を持ち、雌雄同色。目の周りの白い輪が特徴であり、名前の由来ともなっている(なおメジロ科に属する鳥は英名でも "White-eye" と呼ばれ、また中国語名では「繡眼鳥」と呼ばれ、やはり名前の由来となっている)。
日本で見られる野鳥の中では、ミソサザイに次いで最も小さい部類に入る小鳥である。
[編集] 生態
食性は雑食だが、花の蜜や果汁を好み、育雛期には虫なども捕食する。
留鳥だが花の蜜を大変好むため花期に合わせて行動し、春には好物の花の蜜を求めて南から北へと移動するものもいる。特に早春は梅の花に群がる様子がよく観察され、「チー、チー」という地鳴きで鳴き交わす様子がよく観察される。
非繁殖期は群れで行動することが多く、カラ類と混群を形成することも多い。繁殖期は番いで分散し、2羽で鳴き交わしながら花から花へと飛び回る様子がよく観察される。
[編集] 分布
日本、中国、朝鮮半島、ベトナム、フィリピンなどを含む東アジアの一部に留鳥として分布する。
日本では冬季の寒冷地を除く全国で、低地から山地にまで広く分布する。
なお、それ以外の地域で見られるものは、主にペットとして、あるいは害虫駆除のためにつれてこられたものである。
[編集] Sibley分類体系上の位置
Sibley-Ahlquist鳥類分類 |
---|
ウグイス上科 Sylvioidea
|
[編集] 亜種
[編集] 日本国内で見られる亜種
- メジロ
- Zosterops japonicus japonicus(Temminck & Schlegel, 1847)
- 北海道、本州、四国、九州、佐渡、隠岐、対馬、壱岐、五島列島に分布する。
- シチトウメジロ
- Zosterops japonicus stejnegeri(Seebohm, 1891)
- 伊豆諸島(伊豆大島から鳥島まで)に分布する。また南鳥島にはかつての住民により移入されたものが生息する。
- イオウジマメジロ
- Zosterops japonicus alani(Hartert, 1905)
- 硫黄列島で確認されている。
- ダイトウメジロ
- Zosterops japonicus daitoensis(Kuroda, 1923)
- 南大東島、北大東島に分布する。
- シマメジロ
- Zosterops japonicus insularis(Ogawa, 1905)
- 種子島、屋久島に分布する。
- リュウキュウメジロ
- Zosterops japonicus loochooensis(Tristram, 1889)
- 奄美大島以南の南西諸島に分布する。外見の特徴が亜種メジロと亜種ヒメメジロの中間。
[編集] 日本国外で見られる亜種
- ヒメメジロ
- Zosterops japonicus simplex
- 中国、香港、台湾、ベトナム北部、タイ北部に分布する。眼先や前頭部、背などが黄色がかり、胸部が灰白色である。
- ハイナンメジロ
- Zosterops japonicus hainanus
- 海南島に分布する。
- キクチメジロ
- Zosterops japonicus batanis
- 台湾南部の離島およびフィリピン北部に分布する。
※ チョウセンメジロ(Zosterops erythropleurus)は別種。
[編集] 日本人とのかかわり
[編集] ウグイスとの混同
前述のとおり、メジロは梅の花蜜に目がなく、早春には梅の花を求めて集まってくる。また比較的警戒心が緩く、姿を観察しやすい。
いっぽう、梅が咲く頃によく通る声でさえずりはじめるウグイスは警戒心がとても強く、声は聞こえど姿は見せず、薮の中からめったに出てこない。またウグイスは主に虫や木の実などを食べ、花蜜を吸うことはめったにない。
しかし、両種とも春を告げる鳥として親しまれており、時期的・場所的に重なる両種は古くから混同されがちであった。古来絵画にある「梅に鶯」の主題を見ても、間違えて「梅に目白」を描いてしまっている日本画家は数知れない。
また、そのウグイスとメジロの混同を示すものとして「鶯色」がある。ウグイス色と言った際に、ウグイスの灰褐色(オリーブ色に近い)を想像する人もいれば、メジロの緑色に近い色を想像する人もいる(旧国鉄の黄緑6号など)。
[編集] 観察
メジロは甘い蜜を好み、また里山や市街地でも庭木や街路樹などの花を巡って生活している。そのため昔から人々に親しまれた鳥である。現在も、切った果物や砂糖水などを庭先に吊しておくことでメジロを呼ぶことができ、野鳥観察において馴染み深い鳥の一種である。
またメジロは比較的警戒心が緩く、頻繁に鳴き交わしつつ群れで行動するため、慣れた人だと口笛で(歯笛の感覚で吹く)仲間がいると思いこませ、群れを呼び寄せることもできたという。
[編集] 鳴き合わせと密猟
メジロは良い声で囀るため、江戸時代からメジロを鳴き合わせる(競争)道楽の対象となっていたが、野鳥の乱獲による生態系破壊や種の交雑が問題化した近年になり、鳥獣保護法による規制が強化され、現在は特定の場合を除きメジロの捕獲および飼育が禁止されている。
ところが、鳥獣保護法では日本国外で捕らえた野鳥の輸入とその飼育を禁止していないため、中国などから亜種ヒメメジロなどを輸入し、日本国内で密猟したメジロに輸入証明書を付けて販売する悪質な業者と、それを買い求める者が現れて、問題になっている(不要となったヒメメジロは日本国内で放されたり、殺されたりしているといわれ、種の交雑や倫理的な問題も懸念されている)。
その対策として、日本野鳥の会など野鳥保護団体が設立した全国野鳥密猟対策連絡会(密対連)では、販売店や密猟の実態調査、亜種ヒメメジロ(Zosterops japonicus simplex)との見分け方を示したパンフレットの制作・頒布といった啓蒙活動を行っている。また環境省(制作は山階鳥類研究所)でも同様のパンフレットを用意するなど対策に当たっている。
なお、亜種ヒメメジロは眼先や前頭部、背などが黄色がかる、胸部が灰白色である、といった特徴から概ね判別できる(詳細な見分け方は外部リンク先を参照)。
また、同様の密猟事件はウグイスやホオジロなどでも起きており、一部の人間の身勝手な行動による生態系破壊や倫理的な問題が懸念されている。
[編集] 慣用句
- 目白押し
- 込み合っていること、物事が多くあること。メジロがお互いに押し合うように、ぴったりと枝に並ぶことからいわれる。
[編集] 昔では
昔ではメジロを飼う事が子どもたちの間でとてもはやっていた。
[編集] 写真
毎年、梅が咲く頃になると久地梅林に集まって春を告げるメジロ |
[編集] 参考文献
- 野鳥売買 メジロたちの悲劇、遠藤公男、講談社+α新書、2002年、ISBN 4-06-272163-5。