麻 (繊維)
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麻(あさ)は、植物表皮の内側にある柔繊維または、葉茎などから採取される繊維の総称。
元来日本語で麻繊維は大麻(学名Cannabis sativa)から作られた繊維を指す名称であった。古代から日本に自生し繊維利用の盛んだった植物Cannabis sativaを麻と呼称していたが、後に海外より持ち込まれた亜麻、苧麻などを含めた植物繊維全般を指して「麻」の名称を使うようになったため、植物の背丈が大きく成長する特徴から、本来の麻Cannabis sativaを大麻(たいま、おおあさ)と区別して呼称するようになったと考えられている。 現在日本で麻の名称で流通している繊維のほとんどは亜麻(学名Linum usitatissimum)から作られるリネンである。
麻と呼ばれる繊維は数種類があり、家庭用品品質表示法によると、苧麻(ちょま : カラムシ、ラミー)と亜麻(あま、リネン)の2種類を指す。これらは光沢と通気性があり、肌触りの良さから夏物の衣料品や寝装具などに用いられることが多い。繊維的には羊毛や綿花より硬いので、硬質繊維といわれる。また、マニラ麻やサイザル麻は船舶用ロープとして用いられる。2000年頃からはアフリカ原産のケナフ(洋麻)も注目されている。なお、亜麻色とは、黄みを帯びた薄い茶色のことで亜麻からきた色名である。
混同を避ける目的から、大麻繊維を日本でも英語に倣いヘンプ(hemp)と呼びかえる動きがある。