黒鍬
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黒鍬(くろくわ)は戦国時代や江戸時代に土木作業を行う者達を指す。
語源に当たる黒鍬は通常の鍬より刃が厚くて幅が広く、刃と柄の角度が60~80度に聞いている。さらに、柄が太く短くできていることで力を加えやすく、打ち下ろした時に深く土に食い込むようにできている鍬の事である。
江戸幕府の組織としての黒鍬衆(組)は元々徳川家康の元、戦闘工兵として前線で土木工事に従事していた。江戸時代は若年寄支配で小者・中間として江戸城内の修築作業や幕府から出される諸令伝達や草履取り等の雑務に従事した。
[編集] フィクションにおける黒鍬衆
時代劇子連れ狼に登場する黒鍬衆は江戸幕府に仕えて諸大名の動向を探る密偵集団であり、公儀探索人とも黒鍬者(くろくわもん)とも称される。本来は、公儀刺客人の裏柳生、公儀介錯人の拝一族とともに、江戸幕府の影の組織として、前二者とともに独立した存在であり、これに属するものの大部分が、配偶者も子女も持たず、五十年間密偵の役目を務める。この五十年間の勤めが終わると、苦労鍬の里(くろぐわのさと)なる一種の理想郷に隠居して、安らかな余生を過ごすことを許される。このことを苦労鍬後生買い(くろぐわごしょうがい)という。
後に烈堂は、苦労鍬の里に隠居していた五人の黒鍬者に一刀父子の殺害を依頼(苦労鍬の里に隠棲した者は、黒鍬衆の任務には一切関わらないのが掟であった。故に烈堂は命令ではなく、依頼した。)され、この二人の殺害を謀るも、もし人並みに暮らしていれば、自分達にとって息子若しくは孫くらいの年齢になる彼等を老い先短い自分達が殺すのは忍びないとして、手に手をとって入水自殺をした。