2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン
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2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン | |
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一般情報 | |
IUPAC名 | 4,5-dichloro-3,6-dioxo-1,4- cyclohexadiene-1,2-dicarbonitrile |
別名 | DDQ、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン |
分子式 | C8Cl2N2O2 |
分子量 | 227.01 g/mol |
組成式 | |
式量 | g/mol |
形状 | 黄色固体 |
CAS登録番号 | [84-58-2] |
SMILES | |
性質 | |
密度と相 | g/cm3, |
相対蒸気密度 | (空気 = 1) |
水への溶解度 | |
への溶解度 | |
への溶解度 | |
融点 | 216 ℃ |
沸点 | ℃ |
昇華点 | ℃ |
pKa | |
pKb | |
比旋光度 [α]D | |
比旋光度 [α]D | |
粘度 | |
屈折率 | |
出典 |
2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン (2,3-dichloro-5,6-dicyano-p-benzoquinone) は有機合成で用いられる酸化剤のひとつ。DDQ と略される。化学式は C8N2O2Cl2 の黄色固体で、融点は 216 ℃。多くの有機溶媒に可溶。水と反応し、徐々に分解するので乾燥した場所で密封保存する。精製は大量のジクロロメタンから再結晶により行う。
[編集] 性質
p-ベンゾキノンに 4つの電子求引基が結合しているため、中心の環は非常に電子密度が低い。このため電子豊富な部位を持つ化合物と電荷移動錯体を形成し、その電子とプロトンを奪い取る力が強い。このため脱水素化剤、あるいは一電子酸化剤として有機合成上汎用される。
[編集] 用途
シクロヘキセンをベンゼンへといったように、不飽和結合を含む環を脱水素的に酸化し、芳香族化することができる。シクロヘキサノン誘導体は対応するα,β-不飽和ケトン誘導体へ酸化される。また p-メトキシベンジル (PMB) エーテルは DDQ の作用でベンジル位が酸化され、p-アニスアルデヒドとアルコールを与える(この場合溶媒に水を数%共存させる)。これを利用し、PMB エーテルを DDQ で脱保護可能なヒドロキシ基の保護基として用いることができる。p-メトキシフェニル基なども同様に、DDQ で脱保護を受ける。
[編集] 関連項目
- ベンゾキノン
- クロラニル