AppleTalk
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AppleTalk(あっぷるとーく)は、主にアップル・コンピュータ社製パソコンのMacintosh(Mac)で使用されている通信プロトコル。またMac OSのネットワーク機能。
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[編集] 概説
AppleTalkは24ビットのネットワークアドレス(16ビットのネットワーク部と8ビットのノードアドレス)を実装し、ネットワーク上で個体(コンピュータやプリンタ等)の識別に利用する。電源投入時、ブロードキャスト信号をネットワーク上に流し、自動的にアドレスとマシン名を割り当てる。DHCPプロトコルはAppleTalkにてこれを実現するAppleTalk address resolution protocol (AARP)およびName Binding Protocol (NBP)をヒントに開発されたといわれている。
[編集] 歴史
最初のAppleTalkは1984年に開発された。 2006年現在、Mac OS X上ではTCP/IP(Bonjour)の使用が推奨されている。
[編集] 登場背景
Macintoshはスケーラブルなイメージを表現するためにPostscriptを利用していた。 Macintosh登場当初はWYSIWYGを実現するため1ポイント=1ピクセルとなる72dpiを画面表示の解像度としていた。 このため画面表示用の演算は初期のMacintoshでも本体のMPU(MC68000)とメモリで実現可能であった。(Macintosh自体がある時期までモノクロ表示だった事も影響する。) しかし、印刷用となると72dpiでというわけにはいかず、プリンタ内に本体と同等以上のMPU,メモリを必要とした。(特に高解像度のデータを展開するには大量のメモリを必要とした。) このため、プリンタの価格が高くなりワークグループでプリンタを共有するために、早急にネットワーク環境を構築する必要があった。 そこでMacintoshに標準搭載されていたシリアルポートのRS-422を物理媒体にしたLANのプロトコルとして登場する事となった。
[編集] 物理層による種類
[編集] LocalTalk
初期の頃に使われた。物理層はRS-422ケーブル。(かつて米Farallon Computing社が、両端がRJ-11コネクタの6線式電話線を使えるようにした「PhoneNET」を販売していた。またLoaclTalkの物理層として赤外線が使える製品も別の会社が販売していた。)
[編集] PhoneTalk
かつて遠隔地間の通信に用いられた。物理層は電話線(モデム)。
[編集] EtherTalk
現在主流の方式。物理層はEthernet。
[編集] セレクタ
Mac OS 9まではアプリケーション「セレクタ」(アップルメニューから選択)によって接続する他のノードを選択するが、これが起動している間は常にネットワークへブロードキャスト信号を流す。このため、セレクタを起動したままにしておくとネットワークトラフィックの増加を招くので使用後はすぐに終了させたほうがよい。
また、ネットワーク上の他のマシン(接続先のプラットフォームは問わない)を接続し、その内容を表示していると、「常にウィンドウ内容の変化を監視する」動作を行うMac OSの仕組みにより、ローカルディスクのみならずネットワーク上デバイスのウィンドウも逐一内容更新を行うため、やはりネットワークに負荷がかかる。
[編集] ルータ
TCP/IPとはプロトコルの構造が異なるため、遠隔地へ接続するためには専用のルータが必要になる。ルータを接続した際には「ゾーン名」の設定が必要になる(AppleTalkルータが存在する環境で「セレクタ」を開くと、画面左下に選択肢が現れる)。
[編集] 他のOSでの利用
BSDやLinuxには、Macintoshのファイルサーバ/プリントサーバとして利用するためにnetatalkというパッケージが存在する。かつてはコロンビア大学にて開発された「CAP」(Columbia AppleTalk Package)というパッケージが存在したが、現在はサポートを停止している。また、Windows NT以前に一世を風靡したサーバソフトNovell NetWareや、Windowsサーバ製品でもAppleTalkのファイルサーバ/プリントサーバ機能を実装している(Windows NT 3.1 Advanced Server以降。2000Professional以降ではプリンタのみのサポート)。