HQ-7 (ミサイル)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
HQ-7(红旗/HongQi-7、輸出名: FM-80)は中華人民共和国の短距離対空ミサイルである、フランスのクロタル地対空ミサイルをリバースエンジニアリングし、その技術を元に開発された。このミサイルには、地上発射型と艦上発射型の2タイプがあり、現在中国人民解放軍にて広く使用されている。
目次 |
[編集] 歴史
1970年代後半、中国はソ連に対抗する西側の非公式の軍事同盟に参加した。当時、中国の装備は質の面においてソ連に大きな遅れを取っていたため、中国政府は自国装備近代化の援助を西側に要請した。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、イスラエルなどの国は中国に武器、技術を輸出することを公、暗に同意した。
中国は1978-1979年にかけてフランスから少数のクロタル地対空ミサイルを評定のために輸入した。輸入されたクロタルは旅大型駆逐艦および旅滬型駆逐艦に実験的に装備された。その結果、クロタルが自国のHQ-61より優れたことを評価した中国人民解放軍は、クロタルをリバースエンジニアリングし自国での生産を開始した。
フランス政府は中国のリバースエンジニアリング行為に暗黙の承認を与え、それに協力すらしたことが推測されている。フランス政府は中国がライセンスなしにクロタルを複製したことに対しなんら措置を講じたことはなく、中国がただ3-4年の時間でクロタルのリバースエンジニアリングに成功したことも奇妙に思える。
90年代にかけて、HQ-7は中国人民解放軍空軍基地、陸軍、艦船などに多数配備された。また、より高性能、長距離のHQ-9が開発されるまで、10年以上中国人民解放軍海軍艦船の主力短距離対空ミサイルであった。
未確認の情報によれば中国はVLS発射型のHQ-7を開発しており、054型フリゲートに配備されると思われる。
[編集] バージョン
- HQ-7 地上配備型: 航空基地など。
- HQ-7 自走型: 4x4自走車にHQ-7x4発、追跡レーダーなどが搭載される。
- HQ-7 艦船配備型:
- HQ-7A (輸出名: FM-90)
HQ-7ミサイルの速度、距離を強化し、赤外線追跡カメラを追加したもの。1998に開発された。
[編集] 仕様
- 全長:3.00m
- 直径:0.156 m
- 翼幅:0.55 m
- 発射重量:84.5 kg
- 実用高度:30~5,000m
- 最低射程距離:500m
- 最長射程距離:8,600m (目標速度:400m/s)、10,000m (目標速度:300m/s)、12,000m (低速目標)
- 速度:Mach 2.3 (750m/s)
- 誘導方式:指令誘導+光学誘導
- 弾頭: HE-FRAG with proximity fuse
- 命中率:70~80%
- レーダー探知距離:18.4 km
- レーダー誘導距離:17 km
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 中華人民共和国の兵器 | 地対空ミサイル | 艦対空ミサイル