QRコード
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QRコードとは、1994年にデンソー(現・デンソーウェーブ)が開発したマトリックス型二次元コードの一種。白と黒の格子状のパターンで情報を表す。なお、QRコードという名称(および単語)は同デンソーウェーブの登録商標となっている。 QRはQuick Responseに由来し、高速読み取りができるように開発された。日本では最も普及している二次元コードと言える。
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[編集] 特徴
バーコードは横方向にしか情報を持たないのに対し、QRコードは縦横に情報を持つ。そのため、格納できる情報量が多く、数字だけでなく英字や漢字のデータも格納できる。また、推奨はされていないが、濃淡の判別が可能な色あいであれば、色も付けた状態でも読み込む事が可能である。
QRコードには、最初に作られたモデル1と、大型化に対応したモデル2がある。大きさはバージョン1の21×21セルからバージョン40の177×177セルまで、4セル刻みで決められている。
3隅の四角い切り出しシンボル(位置検出パターン、ファインダパターン)が特徴的である。加えて、7列目と7行目などのタイミングパターン、随所に入れられた小さい四角のアラインメントパターン(モデル2のみ)が固定で、それ以外の部分に符号が記録される。
1997年10月、AIM International規格になり、1998年3月にはJEIDA規格、1999年1月にはJISのJIS X 0510、さらに2000年6月にはISO規格のISO/IEC 18004となった。特許権者のデンソーウェーブは、規格化された技術に対し特許権を行使しないと宣言している。
数字のみ | 最大7,089文字 |
英数 (US-ASCII) | 最大4,296文字 |
バイナリ (8ビット) | 最大2,953バイト |
漢字・かな (Shift_JIS) | 最大1,817文字 |
レベルL | コードの面積比7%まで復元可能 |
レベルM | コードの面積比15%まで復元可能 |
レベルQ | コードの面積比25%まで復元可能 |
レベルH | コードの面積比30%まで復元可能 |
[編集] QRコードの用語
最新(2004年11月20日改定)のJIS規格書(JIS X5010)の「適合条件」の中では、新規用途またはオープンシステム用途にあってはQRコードシンボルのモデル1は推奨されないシンボル形式となっている。よってここではQRコードシンボルのモデル2について記述する。
- モジュール(Module)
- QRコードのシンボルを構成する最小の単位セル。モジュールの大きさは型番により決定され、 最小は「型番1」の21×21モジュール。最大は「型番40」の177×177モジュール。 データの1ビットが1モジュールに相当する。
- 型番(Version)
- 1から40の番号で表されるシンボルの大きさ。 最小は「型番1」の21×21モジュール。最大は「型番40」の177×177モジュール。
- 誤り訂正レベル(Error Correction Level)
- QRコードに汚れなどがあっても正確に読み取れるように、読み取り不能や読み取り間違いのモジュールを 修正するために付けられる誤り訂正語のデータ語に対する割合。下記の4レベルがある。
- レベルL - コード語の約7%が復元可能
- レベルM - コード語の約15%が復元可能
- レベルQ - コード語の約25%が復元可能
- レベルH - コード語の約30%が復元可能
- モード(Mode)
- QRコードの中に定義される文字列の表示方法を表す。一般的にはよく使われるモードは、数字データモード、 英数字データモード、8ビットバイトデータモード、漢字データモードの4つと、その4つを組み合わせた 混合モードである。
- モード指示子(Mode Indicator)
- 次のデータ文字列がどのモードで符引化されるかを示す4ビットの識別子
- 文字数指示子(Character Count Indicator)
- モードの中でデータ文字列の長さを定義するビット列
- マスクパターン参照子(Mask Pattern Reference)
- シンボルに適用されるマスク処理パターンのために使用するビットの識別子。
- マスク処理(Masting)
- QRコードを読み取り易くするために行う処理。マスク処理パターンは8種類用意されており、その中で最も、 明モジュールと暗のモジュール数を均一化し、画像の高速処理の障害となるパターンの発生が抑えられるマスクを採用する。 マスク処理は、符号化領域のビットパターンとマスク処理パターンをXOR(排他的論理和)する。
- コード語(Code Word)
- 実際QRコードで読み取りたいデータが書き込まれたデータ。
- 誤り訂正語(Error Correction Word)
- QRコードに汚れなどがあってもデータ語を正確に読み取れるように、読み取り不能や読み取り間違いのモジュールを 修正するために余分に付けられるビット。誤り訂正語はデータ語から計算して作成される。
- 埋め草コード語(Pad Code Word)
- 空のコード語位置を埋める目的で使用るするデータを示さない仮のコード語。 コード語の数がシンボルの容量に満たない場合に使用される。
- 埋め草ビット(Padding Bit)
- データビット列の終端パターンの後にある最終コード語の空の位置を埋める目的で使用するデータではないゼロのビット。
- 残余ピット(Remainder Bit)
- 符号化領域が8ビットのシンボル文字で割り切れない場合に,最終シンボル文字の後にあるシンボル符号化領域の 空の位置を埋める目的で使用されるデータではないゼロのビット。
- 残余コード語(Remainder Code Word)
- データ及び誤り訂正コード語の総数が,シンボルの容量を満たさない場合に、シンボルを完成させるために 空のコード語位置を埋めるために使用する埋め草コード語。
- 終端パターン(Terminator)
- データの終りを表すビット列。データの最後に使用し、0000のビット列になる。
[編集] 主な用途
開発当初は自動車部品生産の現場で使われたが、その後は様々な商品の管理などに広く使われている。また、カメラ付き携帯電話・PHS端末にQRコード対応(携帯電話・PHS内蔵カメラでコードを撮影し、QRコードの情報内容を認識させる)のものが登場し、後述の新たな利用法が生まれている。なお、携帯電話で初めてQRコードに対応したのは、J-PHONE(現・ソフトバンクモバイル)のJ-SH09である。
具体的には、印刷媒体(広告や地図など)やウェブ画面において、詳細情報のあるウェブサイトや、携帯端末向けウェブサイトの、URLを記録したQRコードを印刷・表示し、これらサイトへのアクセスを容易にすることや、個人データを格納したQRコードを名刺に印刷し、携帯電話機のアドレス帳登録を容易にすることなどである。また、ネットショッピング等の決済等でも使われ始めている。
[編集] マイクロQRコード
11×11セル~17×17セルの、QRコードの小型版である。切り出しシンボルは1つしかない。データ量は数字で5~35桁と、従来のバーコードと同程度だが、(同じ桁数で比べて)10~100分の1の面積に印字できる。
マイクロQRコードは、2004年11月、JIS X 0510として規格化された。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- QRコードドットコム
- Q作くん(QRコード作成)
- QRのススメ 作成と活用
- 無料高性能カラフルQRコード作成