携帯電話
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
携帯電話(けいたいでんわ)は、長距離を携帯して移動しながら長距離間の通信に使用できる、小型電話機のこと。またこの電話機を利用して行われる移動体通信サービスの総称。 なお、携帯電話のことを携帯と略すのは誤用として、嫌がる利用者もいる。また、携帯が携帯電話なのか他の携帯するものなのかはっきりしないことがあるため、携帯電話の事である場合はあまり略さないほうがよい。
通信手段として有線通信の通信線路(電話線等)を用いずに、基地局との間で電波による無線通信を利用する。マルチチャネルアクセス無線技術の一種でもある。
電気通信役務の区分では、かつての自動車電話から発展した電話網を指す。各種統計などで、第二世代デジタルコードレス電話を起源として異なる発展をしたPHSを含む場合は、「携帯電話・PHS」と併記し、「携帯電話」にはPHSを含まない。なお、通信衛星による自動車・携帯電話に関しては衛星電話の項を参照のこと。
目次 |
[編集] 歴史
[編集] 世界史
携帯電話の構想は、電話機が考案されて間もない頃からあった。電波を使用して無線で通信でき、かつ人間同士が音声にて会話することが夢として描かれていた。モールス符号を用いる無線電信機は携帯電話の元になる技術であり、これが携帯電話の可能性を考えさせるものであったが、実用化されても爆発的に普及するようになるものだとはこの時点では考えられていなかった。
具体的な研究は古くから行われてきたが、電波のノイズの問題やバッテリーの問題、また通信速度など多くの問題により電話機が非常に大型になってしまうが故に、携帯ができるものではなかった。
1960年代になると、両手で持ちながら会話できるほどの大きさまで小さくすることができた。それでも重量が大きく、短時間の通話でも疲弊してしまうものであったが、1970年代になると頑張れば片手で持てるほどの大きさまで縮小することができた。これは1970年に大阪府で開催された日本万国博覧会にワイアレスホンとして出展された。1980年代になると事業として成立する程になり、一部の先進国で車載電話機として携帯電話機の販売、及びサービスが開始された。この頃は固定電話機と比較すると導入価格、通信費用は共に数十倍であり、また通信エリアも都市部に限定されていたため余程の理由が無ければ導入できる代物ではなかった。
1990年代になると普及していき、本体に液晶ディスプレイが搭載され始めた。1990年代半ばには通信方式がアナログからデジタルへと移行し、着信音に好みの音楽が設定できる着信メロディや、ポケットベルと連帯したメールが使用できるようになった。1990年代後半にはインターネット網への接続が可能となり、通信速度が向上し、画像やJAVAを使用したゲームなどの通信が可能となった。
2000年代に入ると第三世代携帯電話が登場し、テレビ電話が可能となったほか、パソコンと接続してデータ通信が行えるようになった。また発展途上国で爆発的に普及し始め、2006年時点では20億人が携帯電話を持っているとも言われる。
[編集] 日本史
日本で、携帯電話が発売されたのは1987年で、当時は市販受信機により誰でも会話の内容を聞くことが可能なアナログ式であった。1993年に、会話の内容を聞くことが困難であり周波数使用効率にも優れたTDMA方式の第二世代携帯電話(2G)(PDC方式)サービスがNTTドコモにより開始された。そして、2000年10月以降は、すべてデジタル式となっている。
1979年の旧・日本電信電話公社による自動車電話サービス事業の開始から、電電公社と事業を引き継いだNTTが自動車電話事業を独占していたが、1988年から1989年にかけて、旧・IDOや旧・DDIセルラーが新規参入を果たし、初期費用や通話料金などの引き下げ競争が始まり、今まで、企業の経営幹部層(エグゼクティブ)にほぼ限られていた自動車電話のユーザーが、土木工事現場の連絡用などにも広がりを見せるようになった。
その中で、1989年、画期的な小型携帯電話「マイクロタック」が発売され、NTTドコモ(1992年NTTから分離独立)も同様の小型携帯電話「mova」を開発して対抗した。
通信業界全体の大きなターニングポイントとなった1994年には、自動車・携帯電話機の買取制度が導入され、初期費用の大幅な値下げが行われたのとともに、新規参入の第二弾であるデジタルホングループ(現ソフトバンクモバイル)とツーカーグループの参入もあって、競争はさらに加速され、結果として携帯電話が広く一般に普及する下地が作られた。
翌1995年1月17日の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では、有線インフラに壊滅的被害が発生した中、無線の強さを発揮した面もあるものの、同時に当時の携帯電話は一部地区を除いて119番への接続が出来ず、また被災地周辺では繋がりにくい状態が発生する、など、後にも述べられる複数の問題点も同時に露呈している。
同年にはPHSという新しい携帯通信サービスが始まり、通話料の安さと携帯電話に先駆けて始まったSMSのPメール(旧・DDIポケット)がヒットした事で若年層に普及したものの、たくさんの基地局を設置する必要があるマイクロセル方式を採用していた事による開始当初の電波状態の不安定さや、既に普及が始まっていた携帯電話との相互通話が当初は不可能だったという仕様上の問題もあって、逆に携帯電話の普及に弾みがつく結果となった。
文字転送サービス及び携帯電話でのE-mailの普及も相まって1986年頃から始まりバブル経済期に一世を風靡した無線呼び出し(ポケットベル)は、1999年頃から急速に携帯電話に取って代わられることになった。
携帯電話・PHSの契約数を多く獲得する目的で、購入時の端末価格を抑えるために、月々の基本料金から販売店へのバックマージンを支払うというビジネスモデル(インセンティブ制度)により、1円から数百円など端末原価を大幅に下回る価格で端末が乱売される事もあったが、その反面、中途解約に対して違約金を請求される「縛り」という問題もある。
2000年前後から、各キャリアの契約者数の延びが高まり、以前のように「無線の強さ」よりも、限られた電波帯域を奪い合う弊害の方が大きくなってきた。とりわけ大きな地震が起きるようになると、一番手軽に対外情報を確認できるツールとして一斉に携帯電話を使うのが当たり前になってきているが、そのたびに各社携帯電話会社の設備容量を超える発着信が頻発し発信規制を敷くなど、1995年の兵庫県南部地震の頃とは変わってきている。規制は通話だけではなく、各社の通信サービスも対象となり、手持ちの端末がなにも機能を果たさなくなることが珍しくなくなっている(キャリアによっては、通話と通信(iモードなど)の規制を分離できるので、状況によって使い分けることが可能)。最大手のNTTドコモによると、大規模地震の時の発信数は通常時の数十倍と発表されている。そのため、公共インフラ機関など災害時の復旧を優先的に必要とする所向けに、発信規制時も優先的に接続できるサービスが提供されたり、効率的に情報をやりとりできる臨時伝言板サービスが設けられるなど対応が細やかになってきている。
2005年にはツーカーグループのKDDIへの吸収合併、2006年にはボーダフォンの日本からの撤退に伴う同社日本法人のソフトバンクによる買収、2007年にはイーモバイルの新規参入など、業界の再編も発生している。
[編集] 年表
[編集] 世界の年表
- 2005年5月17日 世界電気通信デーに合わせて、中華人民共和国各地でPIMカード分離式PHSが発売。都市ごとにカードを入れ替えて複数の都市で使えるようになる。
- 2006年10月末 全世界のPHS累計稼動数が1億加入を突破した(PHS国際化推進団体のPHS MoU Groupによる)。内、中華人民共和国のPHS加入数が9,330万人。
[編集] 日本の年表
- 1985年 NTTが初のポータブル電話機「ショルダーホン」発売
- 1987年 NTT、「ショルダーホン」より小型化した携帯電話機発売
- 1988年 日本移動通信(IDO、現au)及び関西セルラーなどDDIセルラーグループ各社(現au)が新規参入。NTTの独占体制が崩れる。
- 1989年 DDIセルラー(現au)が初の超小型携帯電話機「モトローラ・マイクロタック」発売
- 1992年-1993年 NTTよりNTT移動通信網各社(現NTTドコモグループ各社)へ移動体通信事業移管
- 1993年 NTTドコモ、初のデジタル方式(PDC)携帯電話開始
- 1994年携帯電話機の売り切り制開始
- 1994年 デジタルホングループ(当時・現ソフトバンクモバイル)、ツーカーグループ新規参入
- 1997年 デジタルホングループ、携帯電話初のショートメッセージサービス「スカイウォーカー」導入
- 1998年 DDIセルラー、初のCDMA方式cdmaOne開始(IDOは1999年に開始)
- 1999年 1月1日午前2時をもって携帯電話・PHSの番号11桁化(0x0-yz→090-xyz・070-xyz)
- 1999年 NTTドコモとIDO(現au)、アナログ(ハイキャップ)方式終了
- 1999年 デジタルホン・デジタルツーカーグループが統合しJ-フォングループに。社名も「J-フォン」を冠したものに変更
- 1999年 携帯電話からのインターネット接続サービス(携帯電話IP接続サービス)「iモード」、「EZweb」、「J-スカイ(現Yahoo!ケータイ)」開始
- 2000年 DDIセルラー・IDO、アナログ(TACS)方式終了。これによりアナログ方式は全キャリアでサービス終了
- 2000年10月1日 KDD・DDI・IDO合併によりKDDIが発足(発足の少し前の7月に、DDIセルラーグループとIDOの全国統一ブランド「au」を導入)
- 2000年 沖縄セルラーを除くDDIセルラーグループ各社が株式会社エーユーに統合(関西セルラーを存続会社とした合併。本社が大阪にあったのはそのため)
- 2000年 J-PHONE(現ソフトバンクモバイル)から携帯電話では初のカメラ付き携帯電話が発売される。
- 2001年 KDDIが株式会社エーユーを吸収合併
- 2001年 NTTドコモ、自社開発の第三世代携帯であるW-CDMA方式「FOMA」開始
- 2002年 携帯電話の番号に、「080」が追加される。
- 2002年4月1日 KDDI・沖縄セルラー(au)、cdmaOne方式の発展型第三世代CDMA2000 1xMC方式「CDMA 1X」開始
- 2002年 J-フォングループの持株・事業会社をJ-フォン株式会社に一本化
- 2002年 J-フォン、NTTドコモ開発の第三世代携帯であるW-CDMA方式「ボーダフォングローバルスタンダード(VGS)」(現SoftBank 3G)を開始
- 2003年 J-フォン株式会社、ボーダフォン株式会社に社名変更
- 2003年 KDDI・沖縄セルラー(au)、PDC方式終了
- 2003年11月28日 KDDI・沖縄セルラー(au)、CDMA2000 1x EV-DO方式「CDMA 1X WIN」開始
- 2005年3月31日 NTTドコモ、プリペイド式携帯電話の新規受付を終了
- 2005年10月1日 ツーカーグループ3社(株式会社ツーカーセルラー東京、株式会社ツーカーセルラー東海、株式会社ツーカーホン関西)がKDDIと合併。事実上、KDDI への吸収
- 2006年1月28日 モバイルSuica JR電子マネー「Suica」対応開始
- 2006年4月1日 1セグメント放送「ワンセグ」開始
- 2006年4月1日 携帯電話不正利用防止法が全面施行
- 2006年6月30日 KDDI ツーカーが新規受付を終了
- 2006年8月1日 ドコモHSDPA(いわゆる3.5世代)を開始
- 2006年10月1日 ボーダフォン株式会社、ソフトバンクモバイル株式会社に社名変更および、HSDPA運用開始
- 2006年10月24日 番号ポータビリティ制度開始
- 2007年3月31日 13年ぶり新規参入のイー・モバイルが定額データ通信サービス「EMモバイルブロードバンド」開始予定
- 2007年 4月以降 携帯電話事業者が新規に提供する第三世代携帯電話端末は、110番通報や119番通報のレスポンスタイムを固定電話並に向上するため、原則としてGPS測位方式による位置情報通知機能に対応
- 2008年3月31日 KDDI ツーカー事業がサービス終了予定
- 2008年3月31日 ソフトバンクモバイルがPDC(第2世代)サービスの新規受付を終了予定
[編集] 端末・技術・製品
[編集] 端末
端末(電話機)は単に「携帯」と呼ばれることも、また俗称として「ケータイ」「ケイタイ」と表記されることも多い。NTTドコモや電電ファミリーの制作した技術文書では移動機と書かれることが多い。
携帯電話の端末には、アンテナ、スピーカー、マイクと、これらを制御する電子回路と、入力のためのボタン(ボタンは暗闇でも見やすいよう大体光るようになっており、色は緑、オレンジ、赤、白、青などがある。また、輝度を変えることができるものもある)と、電源から成っているが、機能の増加からパーツは増える傾向にある。最近の端末ではディスプレイを搭載しており、液晶や無機EL、有機EL、発光ダイオードなどさまざまな素材が利用されている。アンテナは初期よりほとんど露出していたが、2003年頃からは内蔵型の傾向が多くなり、現在の端末のアンテナはほとんどが内蔵型である。
また電源も初期には一次電池が使われていたが、二次電池の発達により1990年代にはニカド電池が、2000年代はリチウムイオン電池が主流と成っている。
端末のデジタル化によりCPUや主記憶装置を利用してコンピュータ化が進み、電話帳機能や発着信履歴の保存の機能の内蔵により内部にはフラッシュメモリによる不揮発記憶装置による補助記憶領域も備え付けられるようになった。更には携帯電話が画像や音楽といったマルチメディアなデータを扱えるようになると、補助記憶装置の必要性は更に増し、内蔵の補助記憶装置のみでは力不足と成っていった。そのため2000年代に入ると外部にメモリーカードのスロットを設け、外部メモリによる記憶も可能とした。初期ではSDカードやメモリースティックが用いられていたが、端末に占める容積が大きかったためminiSDカードやmicroSDカード、メモリースティックDuoなどの、携帯電話に特化したメモリーカードが開発された。
[編集] 形状
1990年代は、ストレート型やフリッパー型が主流で、折りたたみ型はほとんどなかったが、メールやカメラ機能などが充実するにつれて、2000年頃からは大画面化に有利な折りたたみ型が主流となり、ストレート型はほとんど見られなくなった。2003年頃からは、折りたたみ型の画面側が回転する回転2軸ヒンジ型や、メインディスプレイが常に外側を向くスライド型、回転型(リボルバー型)が増えてきたほか、2006年にはワンセグ対応機種の登場にともなってサイクロイド型というのも現われた。また、上記の基本形状の他にも、サブディスプレイや外部アンテナの有無、バッテリーの位置などさまざまな要素が重なり合う。
形状 | 画像 | 特徴 |
---|---|---|
ストレート型 | 固定電話の子機のような、最も簡単な構造のもの。折りたたみ型が主流となって以降は、デザインを重視した端末での採用が多い。 | |
フリッパー型 | ストレート型のキー部分にカバー(フリップ)を付けた構造のもの。フリップ型と呼ばれることもある。構造的にあまり差異がないためストレート型に含まれることもある。カバーの部分がスライドする端末も存在する。
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折りたたみ型 | 中央部で折りたためる構造のもの。その形状から、海外では「クラムシェル(貝殻)」とも呼ばれる。現在、最も多いタイプ。折りたたんだ時にも情報を表示できるように、背面にサブディスプレイをもつものが多い。
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回転2軸ヒンジ型 | 折りたたみ型の構造に折りたたみ用ヒンジの軸と直交する軸を持つヒンジを加え、折り畳んだ時にメインディスプレイが内側だけでなく外側にも向くように180度回転できるもの。本体(キー側)・開閉ヒンジ・回転ヒンジ・ディスプレイ部、という構造。 | |
サイクロイド型 | 折りたたみ型の構造に加え、ワンセグ視聴のために、メインディスプレイが横向きに90度回転するもの。(現在では右方向のみに回転する形状となっている。)回転した後もディスプレイ中心線と端末の中心線は一致する。 | |
スイング型 | 折りたたみ型の構造に加え、ディスプレイ側ボディを横向き回転させることができるもの。サイクロイド型に似ているが、左右90度ずつ回転でき、横向きにしたときの位置が中央ではなく左右にずれている。
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デュアルオープン型 | 通常の折りたたみ型は縦方向に開閉するものだが、横方向にも開閉できるもの。本体の側面に、開閉ヒンジを支える別の回転ヒンジがついている。
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スライド型 | 2つに分かれた本体が、縦または横方向にスライドする構造のもの。 | |
爪切り型 | ![]() |
回転型(リボルバー型)の構造に回転軸と直交する軸を持つ折りたたみヒンジを加え、折りたたみ型のような開閉も可能なもの。画面側が爪切りのてこ部のように可動する。回転2軸ヒンジ型に似ているが、スイング型のようにディスプレイを横に90度回転させて使うこともできる点が特徴。本体(キー側)・回転ヒンジ・開閉ヒンジ・ディスプレイ部、という構造。
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回転型 (リボルバー型) |
![]() |
2つに分かれた本体が、回転するようにスライドする構造のもの。
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PCカード型 | データ通信に特化した構造で音声通話機能を省略したもの。PCカードスロットを内蔵したノートパソコン・PDAなどのモバイル機器向け。
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CFカード型 | ![]() |
PCカード型と同様、データ通信に特化した構造で音声通話機能を省略したもの。CFカードスロットを内蔵した小型モバイル機器向けで、アダプタを利用することでPCカードスロットにも装着できる。
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PDA型 | 大型のタッチパネルや文字入力用のキーボードを備え、PDAとして利用できる。データ通信以外にも音声通話機能も有している。
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[編集] 機能
通話とSMS程度の機能のみの機種から、PDAをしのぐ高機能な機種まで、さまざまな製品が存在する。高機能機種の中には、内蔵するオペレーティングシステムの機能を利用者に開放し、利用者自身でプログラムを追加したり開発したりできるものもあり、スマートフォンと呼ばれる。
日本では、高機能(高価)な機種でもインセンティブ(販売報奨金)により安価に流通可能なビジネスモデルのため、高機能機種が広く普及している。また韓国も高機能機種が多いことで知られる。その他の国では、契約と端末の分離により端末の価格が機能に比例することや、コンテンツサービスが発展途上であり必ずしも高機能な端末が必要とされないことなどから、安価で基本的な機能の端末にも根強い人気がある。
カメラ付き携帯電話が登場し、カメラ機能を利用した画像解析機能によりQRコードやJANコードが読み取れるようになった。特にQRコードは大容量の文字データを格納することができるため爆発的に普及した。
他、携帯機器 : デジタルツールとしての携帯端末の多機能化なども参照。
[編集] 端末供給メーカー
国際的に端末を供給しているのは以下の企業である。括弧内は本社所在地。
尚、海外のメーカーで日本でも販売しているメーカーは頭に「※」を付けて区別している。
[編集] アジア
- 日本電気(NEC)(Nシリーズ)
- パナソニック モバイルコミュニケーションズ(旧・松下通信工業)(Pシリーズ)
- 三菱電機(Dシリーズ)
- 富士通(Fシリーズ)
- ソニー(ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ)(SO・S・SY・SEシリーズ)
- 日本無線(Rシリーズ)(※携帯電話端末からは撤退)
- シャープ(SHシリーズ)
- 日立製作所(Hシリーズ)
- カシオ計算機(CAシリーズ)
- 尚、日立、カシオは合弁会社であるカシオ日立モバイルコミュニケーションズを設立し共同開発している。
- 東芝(Tシリーズ)
- 三洋電機(SAシリーズ)
- 鳥取三洋電機(STシリーズ)(※現在はSAシリーズ)
- 京セラ(Kシリーズ)
- パンテック&キュリテル(PTシリーズ)
- サムスン電子(SS・SG・SCシリーズ)
- 日立国際電気(KOシリーズ)
- パイオニア(PEシリーズ)(※撤退)
- ケンウッド(KE・Kシリーズ)(※撤退)
- デンソー(旧・日本電装)(DE・DNシリーズ)(※撤退)
- セイコーインスツル(SK・SIシリーズ)
- ※サムスン電子(韓国)
- ※LG電子(韓国)
- ※パンテック&キュリテル(韓国)
[編集] アメリカ大陸
[編集] ヨーロッパ
[編集] サービス
通常は、屋外で高速移動中でも安定した通話・通信が可能。基地局を整備することにより、広いサービスエリアにおいて利用可能。第三世代携帯電話は、高速パケット通信と高い周波数利用効率が特長。なお、高速な無線アクセスとしても利用可能であるが、利用形態によっては高額な課金に注意が必要となり、この現象が俗にパケ死と呼ばれる。また、電話機端末単体による通話・通信の総トラフィックに占める割合が高い傾向にある。また、デジタルツールとしての多機能化も関係している。
[編集] 通話
携帯電話での通話時の音声伝送方式は、当初はアナログ方式を採用しており途中からデジタル方式へと切り替えられた。当初サービスが開始された時点でのアナログ方式での通信は、暗号化されずにそのまま送信されていたため、ノイズが乗りやすいだけでなく傍受が容易に行えた。そのためより迅速に暗号化が可能なデジタル化が行われたという背景もある。
国によってはその頃、固定電話網もアナログ方式からデジタル方式(ISDN)への切り替えが進んでいたが、固定電話網のデジタル方式はPCMであるのに対し、携帯電話網の方はより圧縮度の高い音声コーデックを使用しており、両電話網の相互接続通話の際には、アナログ方式同士ならば単純であるところ、デジタル方式では(アナログ・デジタル併存の時期を含め)コーデック変換が、網関門交換機において必要となっている。
また、音声コーデックの方式は携帯電話事業者、さらには同一事業者であっても異種方式の携帯電話の場合はそれぞれによって異なるため、事業者相互・方式相互の音声コーデック変換も必要となる。このため、全てがアナログの時代には単純な話であったところが、デジタル方式以降はコーデック変換の組み合わせによっては変換ロスにより、本来期待されるべき通話音声の品質よりも劣化してしまうと言う現象も起こっている。基本的には、同一事業者・同一方式の携帯電話同士の通話の場合はそのような変換による品質ロスは起こらないため、本来の通話品質を発揮できることとなる。
[編集] 通信
当初は通話機能だけであった携帯電話だが、音声通話のデジタル化により端末全体がデジタル化し、これによりデジタルネットワークへの接続が可能となった。デジタルネットワークの中でも、世界的に普及しているインターネットへの接続が早くから行われ、携帯電話でインターネット網にアクセスできるようになった。
これにより携帯電話を対象にしたウェブページが携帯電話会社から公式サイトとして設立されたり、また個人でインターネット上に携帯電話を対象にした勝手サイトと呼ばれるサイトが開設されるようになる。
また携帯電話の高速通信化により、通信機能を利用して携帯電話で金銭の管理を行うモバイルバンキングやオンライントレードも行えるようになった。
従来では携帯電話では携帯電話を対象にして作られた簡素なHTMLによるウェブページしか表示できなかったものが、近年ではフルブラウザが実現し、パソコン向けに作成されたコンテンツの閲覧が可能となった。また日本のみだがパケット定額制も行われている。
[編集] 通信規格
携帯電話の通信規格はおおむね以下のようになっている。
地域 | 2G | 3G |
---|---|---|
日本 | PDC、cdmaOne | W-CDMA、CDMA2000 |
韓国 | cdmaOne | CDMA2000、W-CDMA |
北米 | cdmaOne、TDMA、GSM(850/1900MHz) | EDGE、CDMA2000、W-CDMA |
その他 | GSM(900/1800MHz)、cdmaOne | EDGE、W-CDMA、CDMA2000 |
2Gで世界的に主流のGSMは日本と韓国でのみサービスされていない。日本では2Gとして独自方式のPDCが主流であったため、独自の端末やサービスが普及する一方、海外端末メーカーの参入や国際ローミングサービスが進まず、「鎖国」的状態にあった。韓国では2GとしてcdmaOneを全面的に採用し、やはり独自の市場を形成している。北米は2GとしてGSMよりも他方式のほうが普及しており、またGSMの周波数も他と異なるなど、日韓ほどではないが固有の事情が存在する。日本のcdmaOneおよびCDMA2000は、UHFテレビ放送波との干渉回避のため、上りと下りの周波数が他国と逆転している。このため一部の国際ローミング対応端末を除いて他国との互換性がない。
第三世代携帯電話(3G)は、第二世代携帯電話が各国・各地域で独自の方式を採用したがために全世界での同一方式の利用が出来なかった反省を踏まえ、IMT-2000において第三世代携帯電話においては全世界で利用できるようにするための指標が立てられたが、結局は各地域に置いて独自の第三世代携帯電話サービスが始められた国や地域も多く半ば形骸化している。 現状ではW-CDMAが欧州を中心に主流となりつつある。日本ではDoCoMo、ソフトバンクモバイルが採用し、国際ローミングや海外メーカー参入が促進されている。CDMA2000は北米・アジア地域を中心に主流になりつつある。日本ではau(KDDI)が採用している。拡張規格にCDMA2000 1xがある。 EDGEへと移行する携帯事業者も多い。W-CDMAに必要な広い連続電波帯域幅の確保が難しく、移行コストがかかりすぎる。国際ローミングのためにcdmaOneからGSMへ変更し、電波帯域の互換性を保ったまま高速化したい。などの必要性によって、ますます増加している。北米ではその広がりに対応して、シャープPV200やソニーVAIO UXなどGSM/GPRS/EDGE対応製品が2006年に発売されている。
[編集] 料金形態
[編集] 世界の料金
料金は基本的に、音声通話の場合は通話時間、データ通信の場合は通信時間またはデータ量で算出される。 また、世界中でデータ通信の定額制も広く普及しつつある。[要出典]
ポストペイド契約の場合は、このほかにさらに基本料金が加算される。プリペイドの場合は基本料金はないが、最後に入金してからの経過日数によって有効期限が定められているため、使用頻度が低くても定期的に入金する必要はある。
[編集] 日本の料金
料金体系はほぼ世界の料金体系と同様である。 音声通話の場合は通話時間、データ通信の場合は通信時間またはデータ量で算出される。 また、世界的に早い時期にデータ通信(パケット通信)の定額制を導入している。(NTTDoCoMo:パケ・ホーダイ au by KDDI:EZフラット(2004年8月からダブル定額/ダブル定額ライト) ソフトバンクモバイル:パケットし放題(旧Vodafone時代のデュアルパケット定額))
最近では、音声通話の定額制も一部で始まっており、大々的にCMを行うなど話題を呼んでいる。
[編集] 日本のサービス
2001年には通信速度の高速化、電波利用効率の更なる改善、通話・通信品質の向上、国際ローミングサービスの拡充などを目的としたCDMA方式の第三世代携帯電話(3G)(FOMA、W-CDMA方式)サービスがNTTドコモにより開始された。2002年にはKDDIがCDMA2000 1xのサービスを開始。
なお、日本以外ではアナログ式が残る地域(例・北米)も存在する。
日本での携帯電話事業は、2006年現在
- NTTドコモグループ(NTT DoCoMo)
- KDDI(au by KDDI・Tu-Ka by KDDI)
- 沖縄セルラー電話(au by KDDI)
- ソフトバンクモバイル(ソフトバンク系列)
- イー・モバイル(イー・アクセス系列)
である。日本では、携帯電話事業者は、当初地域ごとに別の会社でなければならなかった。その後KDDI(沖縄を除く)やソフトバンクモバイルは、全国地域会社を統合している。
当初、BBモバイル(ソフトバンク)、イー・モバイル(イー・アクセス)が1.7GHz帯・W-CDMA、アイピーモバイルが2.0GHz帯・TD-CDMA方式による新規参入を表明、2005年9月に基地局の免許を申請し、フィールドテストなどが行われている。同年11月にはこの3社に対し総務省が参入の認定を行い免許を交付した。[1]
その後、BBモバイルは当初、2007年4月1日にサービスを開始する予定であったが、ボーダフォンを買収し、その既設施設と割り当て周波数帯を利用するため、2006年4月ソフトバンクに交付された免許の返上を申し出た。そして2006年10月、ボーダフォンをソフトバンクモバイルへ商号変更・ブランド名をソフトバンクとし事業を展開した。
イー・モバイルはHSDPAにより2007年3月31日にデータ通信専用型サービスを開始した。
[編集] 日本の電話サービス
日本国内では、サービス上の料金制度として、月額基本料に無料通話分を含んだ、通話の状況に合わせたパック料金がある。また、料金前払いのプリペイド式携帯電話もある。国外では、固定電話よりも普及の早い発展途上国もあり、時間貸しの公衆電話としての利用もある。
日本の場合、電報、コレクトコール、ダイヤルQ2、ナビダイヤル等、テレドーム等は、全部または一部の事業者から利用不可のものがある。また、フリーダイヤル等は掛ける先(着信)側での契約がされてないと掛けられない。新幹線公衆電話(秋田・山形新幹線を除く)からはNTTドコモ以外の事業者には発信できない。
また、留守番電話機能、着信転送機能やキャッチホン機能を備えたサービス・端末が一般的である。
[編集] 日本のデジタル化後の動向
現代の携帯電話端末では着信の際、発信者が非通知設定・通知不可能・公衆電話発信の回線等でない限り、ディスプレイに発信者番号が表示される(固定電話のナンバーディスプレイと同等の機能)。また、端末の電話帳機能に登録している番号に合致した場合には、登録した名前も表示できるものもある。 この機能を悪用した、ワン切りという問題がある。
着信音に用いる音楽を着信メロディ(※1)、操作しない状態でディスプレイに表示されている画面を待受け画面と呼ぶ。最近では受信音を歌唱音声を含めた音楽データそのもので鳴らすこと(着うた)ができる機種もある。現代では前記の着信番号に連動して、着信時の演奏曲を設定できる機能が普通となっている。
2000年頃からの携帯電話は多機能化しており、インターネットに接続できる機種(iモード、Yahoo!ケータイ、EZwebなど)や、デジタルカメラを内蔵して静止画を撮影可能な機種(写メール、iショット、フォトメールなど)、さらには動画撮影までできる機種(ムービー写メール、iモーション、ムービーメールなど)、 アプリケーションをダウンロードして実行できる機種(iアプリ、S!アプリ、EZアプリ (Java)、EZアプリ (BREW)など)も多い。一部、テレビ電話も出来るようになった(FOMA/Vodafone 3G/au)。
一方、多機能化により2003年頃から、電話機に組み込まれたソフトウェアの不具合(バグ)が頻発しているが、キャリアショップへの持込みによるソフトウェア書き換えの導入や、エアダウンロードによるネットワーク経由でのソフトウェア更新技術の導入により端末の回収、全交換に至るものは減少している。 ただし、ソフトウエア書き換えを実施し書き換えに失敗した場合、移動機内部のデータ消失や起動不可能になるケースもあり、万全の準備をして手順どおり書き換えを行うべきである。
2006年よりワンセグ放送に従い、ワンセグ対応端末も発売された。P901iTV・W33SA・905SHの3機種が発売された。現在は、P903iTV・D903iTV・SH903iTV・SO903iTV・W33SA II・W41H・W43H・W43H II・W44S・W43SA・W51CA・W51K・W51SA・W51SH・W51T・W52T・911SH・911T・805SCがある。
なお、2002年頃からの動向としては以下があげられる。
[編集] 日本の全般
- 折りたたみ型の一般化
- リムーバブルメディアとしてのメモリーカードの普及
- デジタルカメラの高性能化(光学ズーム機能や画素数の向上)
- 赤外線通信機能
- 通信料割引率の競争
- パケット通信料金の定額制
- ヒンジを2つ以上搭載する機種の出現

[編集] 日本の多機能化
多機能化の内容は、PDA化とも言える、PDA寄りの機能の追加から始まり、次第にPDAの枠を越えて発展を続けている。携帯機器の項目も参照。
- cHTMLメール対応(デコメール、デコレーションメール等)
- 時計代わりの利用(目覚まし時計)
- パーソナルコンピューター的な利用
- PIM機能
- ゲーム機
- ドラゴンクエスト・ファイナルファンタジーなどの有名RPGの搭載
- 携帯音楽プレーヤーとしての利用
- 音楽をダウンロードして再生(海外ではiTunesと連携した携帯電話が発売)
- 音声や音楽、画像や映像の録画や再生等
- GPSによるナビゲーション
- 地上波テレビ・ラジオ(FM・AM)放送の視聴等(ワンセグ対応を含む)
- テレビ電話搭載
- 非接触型ICカード(FeliCa等)の搭載による、電子マネーサービスや、各種認証機能の搭載
- 防犯ブザー(自動通報装置を備える)
- 歩数計機能の搭載
- 音声読み上げ装置
- タッチパッドの搭載
- その他(傾向、技術)
- 高機能化に対して高齢者・学童向けのシンプル機能
- ビジネス向けモデル等の出現 (スマートフォンも参照)
- 記憶データ等の個人情報対策として指紋・顔認証機能搭載
- HDD搭載携帯電話
- 無線LANを搭載しモバイルセントレックスサービス対応
- Symbian OSやLinux等、汎用OS搭載によるソフトウェア開発の短縮化
- 有名ブランドなどを冠した端末の登場(例:AQUOSケータイ、ウォークマンケータイなど)
[編集] ビジネスモデル
[編集] 世界のビジネスモデル
[編集] 日本のビジネスモデル
日本の携帯電話のビジネスモデルは、垂直統合モデルと呼ばれる。これは、通信事業者が指導的立場に立って端末やサービスの仕様を決定し、端末メーカーやコンテンツプロバイダはこれに従うというものである。端末やコンテンツが事業者ごとに囲い込まれるため、新機能や新サービス、またそれを生かしたコンテンツを足並みをそろえて速やかに普及させることができる。
また、端末は事業者を通じて契約商品として販売され、その後の料金収入を当て込んだ多額のインセンティブによって端末販売価格の大幅な値引きが可能となるため、高機能端末の普及も促進される。しかし、利用者が事業者と端末の組み合わせを自由に選ぶことはできない(電話番号と事業者の関係については番号ポータビリティにより一定の手数料は必要だが自由化されたが、事業者と端末の関係については引き続き固定されたままであり、たとえばNTTドコモの端末をソフトバンクモバイルの契約で使うことはできない)し、ある事業者のもとで提供されているコンテンツ(たとえばJavaアプリ)を他の事業者で利用することも難しい。
一方、海外のビジネスモデルは水平分業モデルと呼ばれ、事業者は通信サービスの提供、端末メーカーは端末の開発に専念し、両者はほぼ対等の立場となる。特にGSM方式やW-CDMA方式では、SIMカードにより契約と端末が分離されているため、端末は(固定電話機のように)事業者とは直接関係のない単なる電気製品に過ぎない。したがって、利用者は基本的には事業者と端末の組み合わせを自由に選ぶことが可能であり、コンテンツも特定の事業者に縛られるようなことはない。(かつては日本でも通信事業者ブランドではなく、NECやパナソニックなどの端末メーカーブランドの端末が販売されていたこともある。)その反面、端末販売価格はインセンティブが働かないため製造コストがそのまま反映され、とくに高機能端末は非常に高価となりなかなか普及しない。また、端末やサービスの仕様については、最低限の共通規格を除けばばらばら(端末メーカー次第)であり、新機能や新サービスのスムーズな普及も難しい。
※なお、海外でも北米のようにSIMカードを使わない方式が一般的な地域では、契約と端末の分離があまり進んでいないため、垂直統合と水平分業の中間のようなスタイルとなる。
このようなビジネスモデルの違いにより、日本と海外では端末やサービス、ひいては携帯電話を取り巻く文化に至るまで、大きな違いが生じている。日本のビジネスモデルやサービスは、海外の事業者から成功事例として注目されており、その手法を取り入れた例も増えている。具体的には、事業者を通じて販売する端末については、その事業者でしか使えないように制限をかける(SIMロック)かわりに販売価格を大幅に値引いたり、海外版のiモードやYahoo!ケータイなど事業者固有の機能を盛り込んだりしている。 一方、近年の日本では、インセンティブに頼る端末販売政策の限界(市場の飽和による新規契約数の頭打ち傾向)や矛盾(SoftBank 3G端末のSIMロック解除目当ての短期解約や転売)が表面化しており、業界は対策を迫られている。
日本のソフトバンクは、2006年にスーパーボーナスと呼ぶサービスを導入した。これは、割賦販売という形式で、いままでインセンティブに隠れていた端末本来の価格を利用者に意識させる(また、短期の解約や機種変更については、インセンティブの未回収分を直接利用者から徴収する)ものであり、インセンティブモデルの見直しに向けた大胆な試みであるが、利用者の困惑や反発も予想され、その成否が注目される。
ただ、各社間の販売合戦が繰り広げられた結果、料金体系は複雑なものへと変化し、利用者にとってはどの料金体系を選択すれば良いのか分かりにくくなっている。さらに広告宣伝では「無料通話パック分の○か月(あるいは無期限)繰り越し」「通話料ゼロ円」「パケット料ゼロ円」といった、メリットばかりを強調したキャッチコピーが目立つようになり、景品表示法違反の可能性があるとして、2006年12月12日、公正取引委員会がソフトバンクに警告、KDDI、NTTドコモに対して注意処分を行った。
[編集] 文化
[編集] 世界の文化
[編集] 日本の文化
携帯電話の普及により、携帯電話の独自のUIから特有の文化が多く生まれている。まず言えるものとして絵文字が利用される。絵文字は携帯電話のサービス会社ごとに異なるが、パソコンなどの他のOSとの互換はない。また2000年代前半のではギャル文字と呼ばれる崩し文字が流行したり、ポケベル打ちと呼ばれるものも存在した。
社会問題としてパケ死やケータイ不況、携帯電話ウイルス、クローン携帯なども問題となっている
[編集] 日本の社会的現象
各グループの激しい競争がもたらしたこれらの方法によって、携帯電話は国民の2人に1台まで普及したが、普及につれて、さまざまな社会問題も引き起こしている。ユビキタスも参照のこと。
- 電磁波の問題 - 基地局・携帯端末双方のアンテナから発せられる電磁波の、人体などへ悪影響を及ぼす可能性が取りざたされている。特に頭部に接して使用するために、脳腫瘍の発生を警告する意見もある。電磁波過敏症。
- 対電子機器の問題 - 心臓ペースメーカーなどの医療用電子機器に接近させた場合、それらの動作に影響を与える可能性が指摘されている。電波障害。心臓ペースメーカー利用者と遭遇する率が高いと考えられる、電車内や医療機関内などでの携帯端末利用の自粛が叫ばれている。ただしこれは3. の理由での自粛を促すための合理化に過ぎない場合もあり、3G携帯電話においては、心臓ペースメーカー利用者の衣服越しに接触するくらいの距離でないと影響しない。一部のキャリアでは3G化で利用できないサービスなどがあり、未だPDCを使い続けるユーザも多いため、キャリア側のサービス拡充化などの3G化対策が必要。また航空機の機内で利用することにより、航法機器への悪影響を与える可能性も指摘されている。一般的に世界中のエアラインで搭乗デッキから離発着時・水平飛行時の一切において、携帯電話端末の電源を切るまたはオフラインモード(一切の電波を出さない)にすることが求められている。これに反すると、航空法に基づく処罰がなされる場合もある。
- マナー - 医療機関内や図書館内など、本来静粛が求められる場所での着信音や通話による問題。他にも、携帯電話の開け閉め時の音(物理的な開閉時の音、あるいは電子的な効果音)という、折りたたみ式端末が一般化して以来顕著になったような例もある。
- 道路通行中での使用 - 自動車や自転車の運転中に行う通話(特に着信への応答操作)、歩行中のメール操作など。意識が外界と携帯端末に分散し注意力が低下するため、事故を起こす原因になると指摘されている。
- 携帯電話依存症の問題 - 上記で挙げた「歩行中でもメールの操作に夢中」などの行為も、その表れと考えられる。
- プリペイド式携帯電話の犯罪行為への悪用の増加 - いわゆる「オレオレ詐欺」や「090金融」などに使用された。これを受け、NTTドコモは2005年3月を以てプリペイド式携帯電話の新規販売を停止。なお、既存利用者は当面は利用可能である。
- 架空請求メールやチェーンメールなど、いわゆる迷惑メール(スパム)の問題
- デジタル万引きの問題
- 出会い系サイトがらみの犯罪 - 児童買春、美人局など。
上記2.や3.への対策として、病院内や混雑した列車内での使用を禁止したり制限する動きも一部にあるが、2と3のどちらに主眼を置くかなどの見解の相違から、どのように使用すべきかという指針は必ずしも統一されていなかった。
しかし、近年では一定基準を設ける動きが出ている。関東の17の鉄道事業者は、2003年9月から車両内での携帯電話の使用方法を統一した。電車内で(お年寄りや身体障害者、妊婦、乳児連れの人等の)優先席付近では電源を切り、それ以外はマナーモードに設定して通話は禁止としている。
また、2004年9月頃から、名古屋市営地下鉄ではW-CDMA方式のものを除き、携帯電話各社についてプラットホームでは圏外になるような対策が行われた(改札口付近では利用可。)。ところが、実際にはプラットホーム内に圏外すれすれの微弱な電波が漏れている駅も多い。名古屋市交通局は、総務省の「電波の医用機器等への影響に関する調査結果」(2002年7月2日)に基づく処置であるとしているが、これについては問題視する意見がある(圏外すれすれでは、端末は最大出力の電波を送信するようになる等)。[2]
4.については、冒頭にも記述したとおり、1999年11月改正の道路交通法で自動車・オートバイを運転中に携帯電話を使用して事故等を起こした場合の罰則事項が追加されたが、それでも改善の目処が立たなかったため、2004年6月成立・同11月施行の改正法により、ハンズフリー装置を利用した通話等を除き、罰則対象となった。
また、日本国外の話題としては、近年日本同様携帯電話の普及が著しいアイルランドでは、土葬する際に故人が愛用していた品々を棺に入れておくという意味以外に「早すぎた埋葬」対策として、万が一棺の中で蘇生した時に携帯電話で助けを呼べるよう携帯電話を棺に入れる事例が急増している。
[編集] 日本のその他
毎年1月1日0時の2時間前後は、「おめでとう電話」「おめでとうメール」と呼ばれる新年の挨拶の通話やメールが集中し、繋がりにくくなる。各社は、緊急でない利用を控えるよう広報をし、通信規制を行い対応する。
さらに、携帯電話・PHSの普及拡大などにより、固定電話の利用も減少した。特に、新生活を始める若者は電話加入権の負担を嫌い、また、携帯電話・PHSだけでも困らないことから固定電話を設置せず、携帯電話・PHSだけを持つ者もみられる。これらのこともあり、外出先で利用される公衆電話は、携帯電話・PHSの普及率の上昇と引き換えに利用が減少した。日本における公衆電話の設置台数は、1989年の約83万台から2003年には約50万台に減少している。携帯電話とPHSを合わせた普及率が固定電話の普及率を追い越したのは2000年である。
2003年には、異常課金に利用者が驚く事が続出した、クローン携帯問題が話題になった。
振り込め詐欺や架空請求の手段の1つとして、携帯電話、特にプリペイド式携帯電話が悪用される事が多かったため、2005年5月に、携帯電話不正利用防止法が施行され、携帯電話・PHSについて契約者の本人性確認の義務付けや、不正な譲渡の禁止等がなされた。
[編集] 業務区域
[編集] 世界の業務区域
[編集] 日本の業務区域
- 1999年9月末時点での各社の業務区域
地域 | NTT移動通信網 | セルラー / IDO | デジタルホン | ツーカー |
---|---|---|---|---|
北海道 | NTT北海道移動通信網 | 北海道セルラー電話 | デジタルツーカー北海道 | |
東北地方 | NTT東北移動通信網 | 東北セルラー電話 | デジタルツーカー東北 | |
新潟県 | NTT移動通信網 | |||
関東甲信地方 | 日本移動通信 | 東京デジタルホン | ツーカーセルラー東京 | |
東海地方 | NTT東海移動通信網 | 東海デジタルホン | ツーカーセルラー東海 | |
北陸地方 | NTT北陸移動通信網 | 北陸セルラー電話 | デジタルツーカー北陸 | |
近畿地方 | NTT関西移動通信網 | 関西セルラー電話 | 関西デジタルホン | ツーカーホン関西 |
中国地方 | NTT中国移動通信網 | 中国セルラー電話 | デジタルツーカー中国 | |
四国地方 | NTT四国移動通信網 | 四国セルラー電話 | デジタルツーカー四国 | |
九州地方 | NTT九州移動通信網 | 九州セルラー電話 | デジタルツーカー九州 | |
沖縄県 | 沖縄セルラー電話 |
- 2007年3月1日時点での各社の業務区域
地域 | NTTドコモ | au | ソフトバンクモバイル | TU-KA |
---|---|---|---|---|
北海道 | NTTドコモ北海道 | KDDI | ソフトバンクモバイル | |
東北地方 | NTTドコモ東北 | |||
新潟県 | NTTドコモ | |||
関東甲信地方 | KDDI | |||
東海地方 | NTTドコモ東海 | |||
近畿地方 | NTTドコモ関西 | |||
北陸地方 | NTTドコモ北陸 | |||
中国地方 | NTTドコモ中国 | |||
四国地方 | NTTドコモ四国 | |||
九州地方 | NTTドコモ九州 | |||
沖縄県 | 沖縄セルラー電話 |
[編集] 周波数帯域利用状況
[編集] 世界の周波数帯域利用状況
日本国外や、他の移動体通信等に関する詳細は、移動体通信#各地域別周波数帯域利用状況を参照のこと。
[編集] 日本の周波数帯域利用状況
周波数帯域 | サービス |
---|---|
800MHz帯 | NTTドコモ : mova(PDC)、FOMA(W-CDMA、プラスエリアのみ) au : cdmaOne、CDMA2000 1x(EV-DO含む) |
1.5GHz帯 | NTTドコモ : PDC(movaデュアルバンド、関東・東海シティフォン、関西シティオ) ソフトバンクモバイル : SoftBank 6-2シリーズ(PDC) ツーカー : PDC |
1.7GHz帯 | イー・モバイル:W-CDMA(HSDPA) NTTドコモ : FOMA(W-CDMA、東名阪地域のみ) |
2GHz帯 (FDD:上り1.9/下り2.1) |
NTTドコモ : FOMA(W-CDMA、プラスエリア除く) au : CDMA2000 1x(W02H、A5515Kおよび2006年以降の一部WIN端末) ソフトバンクモバイル : SoftBank 3G(W-CDMA) |
2GHz帯 (TDD:2.0) |
TD-CDMA : アイピーモバイルが参入計画中 |
[編集] 脚注
- ^ 参入計画の最初では、BBモバイルはTD-CDMA、イー・モバイルはTD-SCDMA(MC)の各方式での参入を計画し実証実験も行っていたが、結果としてW-CDMAによる事業展開を取ることとなった。
- ^ 携帯マナー向上に“見切り”をつけた名古屋の試みで考える
[編集] 関連項目
- 移動体通信 : 方式間の全般的な技術比較・周波数帯域・電話網構成・課金方式など
- 無線アクセス : 無線通信を利用したデータ通信の方式間比較など
- マルチチャネルアクセス無線 : チャネルアクセス制御方式など
- 携帯機器 : デジタルツールとしての携帯端末の多機能化など
- プリペイド式携帯電話
- カメラ付き携帯電話
- 携帯電話の事業者一覧
- 携帯電話を題材にした作品
- 料金制度
- フィルタリング (有害サイトアクセス制限)
[編集] 外部リンク
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