S.M.A.Pカード
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S.M.A.P.カード(スマップカード)とは、郵政省(現・総務省)の認可法人「通信・放送機構(TAO)」の研究開発事業として札幌圏で実験された非接触型ICカードの名称である。Sapporo Multi Access Portの略。ソニーのFeliCaの技術を採用している。
2001年から実験がスタートし、公募によって募られたモニターにあらかじめ1000円分がチャージされたカードが配布された。モニター公募は追加や新規実験のために数回行われ、最終的に約6000枚が発行されたとされる。運用は札幌総合情報センター株式会社が担当。
札幌市営地下鉄の主要な数駅に入金機が設置され、乗車カードとして札幌市営地下鉄と札幌市電で、また電子マネーとして札幌市内や新千歳空港に設置された自販機の他、さっぽろ地下街内の2店舗で利用できた。
また、総務省や国土交通省によって、複数の通貨をチャージして海外でも使用できる「複合型ICカード」や地下鉄代金を自動的に一番安い料金体系で後払いできる「ポストペイ(事後精算)」の実証実験なども行われた。
実証実験が終了した2004年3月以降も札幌市や札幌総合情報センター株式会社、機器メーカーからなる「S.M.A.P.カード実験協議会」が設立され本格的な導入へ向けた実験が続けられたが、2005年1月になって「実用化検討に必要な基礎技術、運用技術が蓄積でき、一定の成果を得ることができた」として突然実験の終了が告げられ、3月15日を持って使用を終了した。
S.M.A.P.カードの実験は「札幌圏における共通ICカードの実現」が目的の一つであったが、終了期には既に他の電子マネーの導入が札幌でも始まっており、独自規格による実用化が困難であったと思われる。また2004年11月に新紙幣が登場した際にも入金機の改造は行われないままとなっていて、その対応も迫られていた。
実験終了後もカードの回収は行われず、チャージされていた金額は後日郵便為替で返金された。その後、入金機や自販機のリーダーは撤去されたが、改札機のリーダーは2006年6月現在も取り付けられたままとなっている。
[編集] 地下鉄での対応
地下鉄は当初東西線のみの対応だったが、後に全線に拡大された。東西線と他路線では改札機リーダーの仕様が異なる。精算機にチャージ機能を備えていなかったため、カードの残額が不足していても出場する事ができ、不足額はチャージ時に精算する方式をとった。
地下鉄の利用額に応じてポイントがたまり、共通ウィズユーカードと交換できる「S.M.A.P.マイレージ」も実施された。獲得ポイントや利用状況はWebサイトから確認することができた。
路線バスとの連絡運賃割引が適用されなかった他、当時さっぽろ雪まつり真駒内会場の最寄り駅であった自衛隊前駅の臨時改札にICカード対応改札機が設置されなかったため、カード利用者が出場できなかった、などの混乱も起きた。
札幌市交通局では2008年度末を目処に新たなICカード「STカード(仮称)」を導入するとしているが、改札機に取り付けられたままとなっているリーダーを流用するのか、またS.M.A.P.カードで実験され、継続実施を望む声が多かった「ポストペイ」などが実用化されるかは不明である。
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