Web日記
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Web日記(ウェブにっき)は、主に個人がWWW上で不特定多数に公開する日記の総称。HTMLやCGIなどによって動作する日記ツールなどを用いて書かれる。
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[編集] 概要と分類
日記圏、日記才人、エンピツ日記、さるさる日記など、日記を公開しているウェブサイトを専門に扱ったリンク集サイト、無料レンタルサイトがある他、はてなダイアリーのように日記の作成・公開を主な用途として想定してサービスを提供するサイトも存在する。最近では、そこに公開される情報の内容、姿勢、意図から倫理まで踏まえて、学問的な調査、研究の対象としようという動きもでてきた。日本Web日記学会(現・日本ウェブログ学会)というものも立ち上げられている。
又、最近ではその表現技法も多様化の一途を辿っている。Web日記は(A)『日記を作品とする場合』と(B)『日記を単なる記録としている場合』の二つに大分される。最近ではその前者である(A)が進化を極めている。(A)『日記を作品とする場合』を分類すると、さらに(Aa)『一般的に非日常的な体験を描く日記』と(Ab)『表現技法により一般的に日常的な体験に面白さを加え、描く日記』、(Ac)『自己満足、又は初心者が試験的に表した面白みのない日記』におおよそ分かれる。
又(Ab)も、その表現技法によって分類され、(Ab1)『文章を過度に大きくする、過度に着色させるなど、文字に変化を持たせる』、(Ab2)『文章中に事実とは関係ないが、面白いと思われる言葉、単語、言い回しを含める』、(Ab3)『四コマ漫画等に代表される画像表現を使う』、(Ab4)『有名人、流行のものに対し特異な情報を流す』となる。
しかし、多くのWeb日記では、上記の特徴を混在させており、明確な分類は難しい。
[編集] 歴史
Web上での日記書きは、インターネットの黎明期より、誰でもかける身近なコンテンツとして個人の間で行われていた。しかし、1996年「日記猿人」(にっきえんじん)という日記リンク集の誕生により様相が大きく変化する。日記猿人は投票システムを持ち、登録した個々のサイトのランキングを出すことに特徴があった。この新しいシステムの元では多くのサイトがランキングを上げようと目論見、内容はエンタテインメント性を強めていった。そして数多くの人が読んで楽しめるサイトになっていった。
この間、ランキング上位のサイトのアクセスは指数的に増大し、これまで個人のものであった日記が、集客力を持つコンテンツに変わったのである。Web日記の知名度が高まると、自分でも書いてみようとする人が多く現れ、日記書きは大ブームとなった。また日記書きとその読者、もしくは日記書き同士に交流が生まれオフ会なども頻繁に開かれていた。日記猿人の人気は2000年頃まで続き、その後は、日記才人に受け継がれた。また、日記猿人以前には日記リンクスというサイトがあった。
一方、ランキングサイトなどとは無関係に、同好の士によりある程度閉じたコミュニティとして存在している場合もある。なお、この場合は不特定多数に向けたエンターテインメント性を志向することはあまりないとされ、実際に一般的でない隠語などが多用される場合も多い。文章のひとまとまりごとに起点側と終点側のアンカーを同時に設定して、他サイトからのリンクを張りやすくする(リンク先URLを取得しやすくする)工夫がよく行われる。また、リンクを張った後、まず自分でリンク先のWeb日記へアクセスする慣習もある。ブログで使われるトラックバックに近い行為であるが、Webサーバまたはアクセス解析のリファラログにより管理人によってのみ認知される場合が多いため、ブログのように他人から分かるように表に現れることは少ない。Web日記更新の検知は、大手ランキングサイトではなく、利用者個人によってWebサーバ上に設置されたアンテナシステム(朝日奈アンテナ、なつみかんなどが有名)が利用されることが多い。最近は、設置の手間が省けること、Webサーバでのプロセス使用権限を必要としない、何より無料で使用できることから、はてなアンテナの利用率も伸びてきている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Web日記の分析、批評
- Web日記を公開するための主なソフトウェア
- Web日記リンク集サイト