イチジク
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?イチジク | ||||||||||||||
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無花果 果実 |
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分類(クロンキスト体系) | ||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||
Ficus carica | ||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||
イチジク | ||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||
fig tree |
イチジク(無花果、映日果、英語 木はfig tree、実はfig)は、クワ科イチジク属の落葉高木。学名はFicus carica。別名、蓬莱柿(ほうらいし)、南蛮柿(なんばんがき)、唐柿(とうがき)など。
「無花果」の由来は花を咲かせずに実をつけることから。実際には外から見えないだけで花嚢の内部に小さな花をつけている。別表記の「映日果」は中世ペルシア語のアンジールを中国で音写し、「果」を補足したもので、日本ではこれを「えいじつか」と読み、転じて「いちじく」と呼ばれるようになったとする説があるいっぽうで、果実が一ヶ月で熟すから、または、一日一果実ずつ熟すからという「一熟(いちじゅく)」から転じて「いちじく」と呼ばれるようになったとする説もある。中国の特産地である新疆ウイグル自治区のウイグル語でもアンジールと呼ばれている。中国の古語では他に「阿驛」、「阿駔」とも音写され、「底珍」、「天仙果」などの別名もある。
葉は三裂または五裂掌状で互生する。葉の裏には荒い毛が密生する。葉や茎を切ると乳汁が出る。
初夏に花軸が肥大化した花嚢の内面に無数の花をつける。このような花のつき方を隠頭花序(いんとうかじょ)という。雌雄異花であるが同一の花嚢に両方の花をつける。栽培品種には雄花がないものもある。
果実は秋に熟すと濃い紫色になる。食用とする部分は果肉ではなく花托(かたく)である。
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[編集] 用途
日本国内では主に生食する。またイラン、トルコでは収穫した果実を天日乾燥させ、カリフォルニアでは生食や木の上で乾燥させて収穫し、パン、ケーキなどの菓子類のほか、スープやソースとして調理し、食用としている。
[編集] 原料
乾燥させたイチジクから、ペースト、濃縮果汁、パウダーなども生産されている。
[編集] 醸造
[編集] 食品添加物
食品添加物の原料となる。イチジクの樹液にはフィシンという酵素が含まれており、日本の既存食品添加物名簿に収載され、使用が認められている。
また、イチジク葉抽出物は製造用剤などの用途で、かつて日本の既存食品添加物名簿に掲載されていたが、近年販売実績がないため、2005年に削除された。
[編集] 薬用
熟した果実、葉を乾燥したものは、それぞれ無花果(ムカカ)、無花果葉(ムカカヨウ)といい生薬として用いられる。果実を干したものは緩下剤に使われた。 また乳汁にはゴムに近い樹脂分が含まれるが、民間薬として、痔や疣(いぼ)に塗布したり、駆虫薬として内服した。
[編集] 栄養
果実には果糖、ブドウ糖、蛋白質、ビタミン類、カリウム、カルシウム、ペクチンなどが含まれている。クエン酸が少量含まれるが、糖分の方が多いので、甘い味がする。 食物繊維は、不溶性と水溶性の両方が豊富に含まれている。
[編集] 特産地
日本では愛知県の西三河地方が最大の産地である。有名な産地には下記がある。
- 茨城県稲敷市
- 富山県大沢野町
- 愛知県安城市、碧南市
- 京都府城陽市
- 奈良県大和郡山市
- 大阪府藤井寺市
- 兵庫県川西市
- 鳥取県西伯町、南部町
- 島根県多伎町
- 福岡県行橋市
- 中国・新疆ウイグル自治区
- イラン
- トルコ
- ギリシャ
- エジプト
- フランス
- カリフォルニア
[編集] イチジクにまつわる話
- エデンの園にあった禁断の果実は一般にリンゴと思われていることが多いが、当時の中東でリンゴが採れなかったこと、食べた後にヒトが性器を隠した葉がこのイチジクの葉として描かれていることが多いため、リンゴではなくイチジクなのではないかという説もある。イチジクは聖書にもよく登場する。
- 東南アジアには中国語で「無花果」と呼ばれる甘く味付けした菓子もあるが、原料はパパイヤを千切りにして干した物で、イチジクとは無関係である。
- カリフォルニアでは毎年8月に“Fig Fest”というイチジクのフェスティバルが開催されている。