イングラムM10
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イングラムM10は、ゴードン・イングラムが設計した小型短機関銃である。
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[編集] 特徴
イングラム短機関銃はウージーを参考に小型・簡略化したと思しきMR64を改設計したものであり、プレス加工を多用し低価格で量産が容易な設計であった。しかしあまりに小型であるがゆえに、また軽いボルトによる非常に早い発射サイクル(1050発/分)から、フルオート射撃時の制御が難しい。銃口にはサウンドサプレッサーやロングバレル脱着用のネジが切ってあるが、これは発砲音低減のためというより、フォアグリップ替りに掴んでコントロールしやすくする為だと云われている。またこれを装着していない場合は銃身下の短いスリングベルトを掴む。
なお映画などでは片手撃ちを行っている描写が見られるが、撮影用の空砲ならまだしも、実弾ではとてもできることではない。
[編集] 歴史
最初にSIONICE社で開発された「M10」は.45ACP弾使用モデルであったが、後には9mmパラベラム弾使用モデルのM10、続いてより小型化され.380ACP弾(9mmx17)を使う「M11」も開発された。SIONICE社のサブマシンガン部門を吸収し製造メーカーとなったMAC社の広報担当が、ハリウッド映画用の小道具としての銃器担当会社と組み、大々的にM10を貸し出す営業戦略を実施したことから人気が出て大量販売され、「MAC10」と呼ばれたこともあるが、現在ではオリジナル設計者の名から「イングラム」と呼ばれることが多い。しかしMAC社は経営方針を巡って内部分裂し、倒産し製造権はRPB社に移行する。
米国では州によってはフルオートの銃を一般人が持つことは禁じられている為、セミオートのみで市販もされた。しかし初期のMAC10/11はごく一部を改造する(部品の一部を削る)だけでフルオートに出来てしまったため、一挺200ドルの税金がかけられたり、禁止されている州では改良型が出るまで発売禁止措置となったりで、RPB社も倒産してしまう(一方でこの初期型は市場でプレミアが付き、価格が跳ね上がった)。RPBの元社長は新たにS.W.ダニエル社を設立し、9mmパラベラム弾を使用する「S.W.D. M11/9」と、.380ACP弾使用の「M11A1」を販売、前者はグリップより後方のレシーバーが延長(ボルトの後退距離が長い)されている。
M10は1969年に登場した当時、早速グリーンベレーやSEALsに採用され、限定使用されたとも言われる。イスラエル国防軍でも特殊部隊が装備し、1976年のエンテベ空港奇襲作戦などにおいて使用したといわれている。
またアメリカ各州の警察特殊部隊(SWAT)などでも用いられたが、こちらは1977年のルフトハンザ航空ハイジャック事件以降、より命中精度の高いH&K MP5と交代して退役した。
[編集] 登場作品
[編集] 映画・テレビドラマ
- 『マックQ』:ジョン・ウェイン主演のハリウッドのハードボイルド探偵映画。後半、主人公がM10を装備し、イングラムを最初に有名にした作品である。
- 『マトリックス』:MAC-11と言う名前で登場
- 『リーサル・ウェポン3』:マータフ刑事が押収品を使用する。
- 『007 ダイ・アナザー・デイ』:オープニングでボンドが使用
- 『戦争の犬たち』:物語後半に登場する主人公が率いる傭兵達はウージーサブマシンガンで武装しているが、撮影用の発火可能なウージーサブマシンガンが不足していたのか、一部のシーンでイングラムの前後にUZI風のパーツをつけて『ウージーもどき』のサブマシンガンを作り上げ撮影に使用した。これらは船上での発砲シーンで確認できる。(一部の兵はそのまま普通のイングラムを装備している)
[編集] 漫画・アニメ・小説
- 『バトル・ロワイアル 小説・漫画版』:桐山和雄が使用(M10の9mmモデル。桐山死亡後は七原秋也が使用)。
- 『魔法先生ネギま!』:実弾発射機能は有せず対非生命型魔力駆動体特殊魔装具-量産型-の一種として登場。
[編集] ゲーム
- 『バイオハザード2』:レオン、クレアが使用(M11のロングバレルモデル)。
- 『バイオハザード CODE:Veronica』:クレア、クリス、スティーブが使用(M11の二丁拳銃)。
- 『パラサイト・イヴ』:アヤ・ブレアが使用(M10ともに、M11が登場)。
- 『グランドセフトオートシリーズ』※サンアンドレアスではSWATが所持。
- 『カウンターストライク』:テロリスト(CSNEOではCSF)陣営のみ購入可能。.45ACPモデルで、サイレンサー装着ネジにフォアグリップを装着している。