エドワード殉教王

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エドワード殉教王（ - じゅんきょうおう　Edward the Martyr, 962年頃 - 978年 3月18日）は、ウェスト・サクソン王国の王。

975年、父エドガーが亡くなり宮廷貴族の間で王位継承戦がおこなわれそうになり、カンタベリー大司教ダンスタンの努力によって、幼年であったエドワードに王位が帰すも、978年に弟エセルレッドを擁立した継母エルフリーダに暗殺される。エドワード2世は善きキリスト教徒であると考えられ、さらに彼の遺体をめぐっていくつかの奇跡が見られたために、1001年 6月21日に列聖された。

978年3月18日、エドワード2世はドーセットにある狩猟場で狩を楽しんだ後、継母エルフリーダの息子であり義理の弟エセルレッドを訪ねた。猜疑心を持ち合わせていなかったエドワード2世は、勧められるまま蜂蜜湯を馬の背にまたがり飲み干していると、継母エルフリーダの手下たちがエドワード2世に背中に短剣を突き刺したのだった。彼の遺体は、盲目の女性が継母エルフリーダの慈悲により暮らしていた近くの小屋に運ばれたが、その時最初の奇跡が起きた。その晩、小屋はこの世のものとは思えない光に包まれ、盲目の女性は視力を回復していた（その後その場所にはセント・エドワード教会が建設された）。視力を回復した女性の小屋から死体は移され、ウェアハムにある湿地帯に埋められたが、1年後、突然遺体を埋めた場所に火柱が立ち上がり住人たちを驚かせ、エドワード2世の遺体が発見されたのである。その場所からは泉が湧き出し、エドワード2世の死を悼む人々がたくさん訪れた。

中世ではエドワードの信仰は広く知れ渡っており、次のような話が残されている。

イングランドの聖王エドムンドゥスは、聖ヨハネのためのたのみごとなら、だれからたのまれても断らなかった。あるとき、ひとりの巡礼が、聖ヨハネの墓地にもうでるために熱心に喜捨を乞うた。王は、そのとき侍従がその場にいなかったので、自分の高価な指輪をあたえた。その後かなりして、海外でのこと、イングランドのある騎士に、ひとりの巡礼がその指輪をあたえてこう言った。「これをイングランドの王さまに渡してください。そして、王さまがこの指輪をあたえられた巡礼は、王さまがこれをおあたえになる機縁になった、王さまが敬愛されているその人であり、いまその者が王さまにこれをお返しするのだと申しあげてください」と。こうして、聖ヨハネ自身がその巡礼だったことがわかった。