カーバイド
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カーバイド (carbide) は炭化物の総称で、「シリコン・カーバイド」(炭化ケイ素、SiC)のように用いる。単に「カーバイド」といった場合には、特に炭化カルシウムを指す。また、超硬合金の意味でも用いられる。炭化物は原子間の結合力が強く、概して高融点で硬度が高い。
[編集] 製造
炭化カルシウム CaC2 を主成分とする固体である。自然界に多く産する炭酸カルシウム CaCO3 を強熱して熱分解させた酸化カルシウム CaO にコークス(主成分は炭素)を混ぜて、約2000℃の高温で強熱すると、カーバイドが得られる。
カーバイドと水を反応させるとアセチレンと水酸化カルシウムを生じる。
- CaC2 + 2 H2O → C2H2 + Ca(OH)2
アセチレンは燃料や有機化合物合成に用いられる。
[編集] カーバイドランプ
カーバイドと水を反応させて得られる可燃性のアセチレン (C2H2) を利用した照明器具をカーバイドランプ(アセチレンランプ)という。発生したアセチレンに火を付け裸火により照明とする。揮発性の石油類を用いないこと、乾電池よりも長時間安定した照度を確保することができたことから炭鉱や鉄道の保守など労働現場に欠かせない器具であった。現在では、ほとんど用いられることは少なくなったがアンティークとして、夜釣りの際の集魚灯代わりなどにも需用があり少数ではあるものの流通している。
燃料となる市販のカーバイドは灰白色の塊状固体である。これには不純物としてリン化カルシウムや硫黄などが含まれている。この不純物のため、市販のカーバイドによって発生したアセチレンはわずかな不快臭を呈する。これは不純物に由来するリン化水素や硫化水素のためである。なお、純粋なカーバイドは無色透明の結晶である。