超硬合金
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超硬合金(ちょうこうごうきん、Cemented Carbide)とは、硬質の金属炭化物の粉末を焼結して作られる合金で、単に超硬とも呼ばれ、これを利用した工具を超硬工具と云う。一般的には炭化タングステン(WC、タングステン・カーバイド)と結合剤(バインダ)であるコバルト(Co)を混合して焼結したものを指す。主に切削加工や金型などの耐磨耗性を要求される分野で使用される(粉末冶金、サーメットも参照のこと。)
使用目的によっては、材料特性を向上させるために炭化チタン(TiC)や炭化タンタル(TaC)などを加える。超硬合金は高温時の硬度低下が少なく、非常に摩耗しにくいことから金属加工用(旋盤加工、フライス盤加工など)切削工具の材料として専ら使われている。最近は更に摩耗に強いアルミナ(Al2O3)や炭窒化チタン(TiCN)などの硬質物質自体を超硬工具表面にコーティング(化学気相成長(CVD)や物理気相成長(PVD))した切削工具が主流になりつつある。 超硬工具は自動車部品(エンジン部品、トランスミッション部品、ステアリング部品など)の加工の際に特に多く使用されており、個々の部品の加工精度の向上や製造コストの低減といった面で大きく寄与している。
超硬工具は他にも広い用途があり、例えばシールドトンネルを掘る際にシールドマシンの先端に取り付けて固い岩盤を砕くための刃や、道路補修時のアスファルト表面除去具、アルミ缶などの深絞り用金型やコインの打ち抜き用金型などが挙げられる。
1923年にドイツの化学者シュロッターが製法を開発し、1927年にはドイツのクルップ社が「ウィディア」と名づけて販売を始めた。日本では1929年に東芝の前身である芝浦製作所と東京電気が日本初の超硬合金を開発したことに始まり、それを「タンガロイ」と称して市販したのが始まりとされている。
その後日本では時期をおかずに、住友電線製造所(現在の住友電工)により「イゲタロイ」が、三菱鉱業(現在の三菱マテリアル)により「ダイヤチタニット」がそれぞれ開発され、前述の「タンガロイ」と合わせて超硬合金あるいは超硬工具の御三家となる。主に営んでいた事業分野がそれぞれ異なる(金属部品加工、電線製造、鉱山経営)ことを反映して、当初の開発の目的(想定する用途)は異なっていた(一般金属の切削加工関連、電線の引き抜き用金型関連、鉱山の掘削関連)ようであるが、結局同じ超硬合金という材料にそれぞれが辿り着いた点は興味深いことである。