クリリン
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クリリンは、鳥山明の漫画『ドラゴンボール』及びそれを原作とするアニメに登場する主要キャラクターのひとり。アニメ版の声優は田中真弓。
原作での初登場は其之二十五「ライバル? 参上!!」、アニメでの初登場は第14話「悟空のライバル? 参上!!」
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 人物
孫悟空の無二の親友。「強くなって女の子にもてたい」という動機から多林寺(少林寺のオマージュ)で修行を始める(食い扶持減らしの為に修行に出されたという説もある)が、過酷な修行と先輩たちからのいじめに耐え切れずに寺を飛び出し、その後武天老師(亀仙人)の元を尋ねてきた。悟空とは亀仙流の兄弟弟子。悟空と共に戦う仲間の中では、ヤムチャに次ぐ古参である。
初登場時には当時の悟空と同じくらい身長が低く、頭は剃っていた。後に身長は伸びるが、悟空がさらに伸びたため、ドラゴンボールの主要キャラクターの中では餃子(チャオズ)に次いで小柄である(ただし、クリリンの身長は同じ話でもコマによって明らかに異なることがあり、武天老師のほうが小さい場合などがある)。
性格は登場当初は、強くなることへの焦りからか、トゲトゲしいものであったが、徐々に軟化し、作品内でも随一の良識派もしくは常識人となっている(作品の初期には筋斗雲に乗れなかったが、「後期のクリリンなら乗れるのでは?」という意見も出ている)。時にややきついジョークを口にすることもあるが、師匠の影響もありほどほどにスケベで、本質的には善良な好人物であり、読者・視聴者からの人気も高い。
戦闘経験も豊富で、天津飯と並ぶ多彩な技の持ち主。ナメック星においては、力はあっても未熟な悟飯をリードし、ドドリアに一杯食わせる、ベジータを相手に引いた所を見せない、フリーザに奇襲をかけるなど、実力以上の立ち回りの巧さをみせている。
かわいい彼女を持つこと・結婚することが長年の夢であり、実際アニメではフリーザ編直後にガールフレンドを作り、互いに結婚を意識する仲にまで進展していた(直後に破局するが…)。テーマソングに願望を歌った「一度は結婚したいマンボ」がある。「自分も結婚したかった」と心のなかで呟いたり、実際に発言するシーンが何度も登場するが、最終的にその夢が作品中で果たされることになる(しかし結婚後、劇場版では自由気ままとは言え、子供である悟天、トランクスに対し「独身はいいよな」と発言する一幕もあった)。
主人公の親友という設定から、その死が物語のターニングポイントとなる事も多い。
坊主頭の時代に額にあった6つの点はお灸の痕であり、1980年公開の映画『少林寺』に登場したものと同じである。
[編集] 軌跡
- エイジ736 - 誕生。
- エイジ740 - 多林寺(おおりんじ)に弟子入り。
- エイジ749 - 8年間修行した多林寺(おおりんじ)を出奔し、12歳の悟空とともに亀仙人に弟子入りする。当初、悟空のことは良く思っておらず、一方的に毛嫌いしていたが、厳しい修行を共にする内に友情を芽生えさせる。
- エイジ750 - 修行開始から8ヵ月後、悟空とともに第21回天下一武道会に出場。予選1回戦でかつて属していた多林寺のナンバー1を難なく倒し、決勝戦1回戦で悪臭を放つバクテリアンに苦戦するも鼻がないことに気付き勝利、2回戦でジャッキー・チュン(変装した亀仙人)と対戦、師匠相手に善戦するも敗れる。
- 武道会終了後しばらくして、悟空とレッドリボン軍との戦いなどに半ば巻き込まれる形ではあったものの、様々に助け活躍する。
- エイジ753 - 新弟子のヤムチャとともに亀仙人の下で3年の修行に励んだ後、第22回天下一武道会に出場、決勝戦1回戦は鶴仙流の餃子(チャオズ)と対戦し超能力に苦戦するも辛勝。2回戦(準決勝)では悟空と最初で最後の直接対決となるが、悟空との実力差はすでに開いており、敗退。(第21回天下一武道会の連載分が収録されたコミックス巻末にある読者投稿のコーナーで、天下一武道会で悟空対クリリンを実現させて欲しいという意見が掲載されており、それに答える形で実現したと思われる)
- 大会後、ピッコロ大魔王の手先タンバリンにより殺される。「ひとつめのターニングポイント」(ここからシリアスな展開が盛り込まれ、本来のギャグ調の流れは影を潜めることとなる。)この死等に激怒した悟空が苦闘の末にピッコロを倒した後、ドラゴンボールによって生き返る。
- エイジ756 - 新たな技も身に付け第23回天下一武道会に出場。予選を勝ち抜き本大会に進出、1回戦でピッコロ(マジュニア)と戦い、善戦するも敗北。
- エイジ761 - サイヤ人ラディッツが地球に来襲。実力差に気付かず尻尾の一振りで一蹴される。1年後に新たなサイヤ人が襲来することを知り、神様の神殿と地上で修行に励み、この期間で飛躍的に実力を上げている。
- エイジ762 - ベジータとナッパ、二人のサイヤ人が来襲。サイヤ人の放ったサイバイマンの大半を一撃で掃討するも、ナッパとの戦闘ではピッコロ、孫悟飯と共に苦戦を強いられる。その後すんでのところで来援した悟空がナッパを倒す。
- 悟空がべジータとのタイマン戦を希望したため、悟空の足を引っ張ると考えた彼は悟飯と共に戦場を一時去ることを決意。しかし悟空が苦境に陥ることを知ると離脱した戦場に戻り、悟飯、ヤジロベーと共に悟空を救うために果敢に戦った。最後まで生き残り、瀕死のべジータにとどめを刺す寸前にまでいたるが、孫悟空の要望を受け入れべジータを逃がしてしまう。
- その後、べジータとの戦いで殺された仲間たちを生き返らせるべく悟飯とブルマとともにナメック星へ向かい、ドラゴンボールの収拾を試みる。フリーザの一味やべジータと邂逅し、避けながらボール集めを行っていた。
- ギニュー特戦隊の接近を察知し焦ったべジータと共闘関係を結び、グルドとリクーム、悟空の体を奪ったギニューと戦う。隙を見て7つのドラゴンボール全てを奪いポルンガ(ナメック星の神龍)を呼び出すことに成功。
- ピッコロを甦らせることに成功するが、ドラゴンボールにより不老不死となるという望みを断たれて激怒したフリーザとの戦いの過程で、半ば悟空へのみせしめとしてフリーザに殺される(「ふたつめのターニング・ポイント」)。これにより激怒した悟空が、超サイヤ人に変身してフリーザを倒すことになり、フリーザとの戦闘終了後、ポルンガ(ナメック星の神龍)の力により再び生き返る。
- エイジ766 - 人造人間が出現すると予言された現場へ挑む。しかしこの頃になると悟空以外の初期キャラクターは戦闘力のインフレから完全に置いて行かれており、クリリンも戦力になることは出来なかった。また人造人間18号に一目惚れし、人造人間の停止装置を踏み潰したことで、結果的に人造人間セルが完全体になる遠因を作ってしまう。
- 悟飯がセルを消滅させてから数年後、人造人間18号と結婚し、マーロンという娘をもうける。この頃には武道家をやめることを決意し、それまで剃っていた髪も伸ばすようになる(髪を伸ばした理由として18号がハゲ頭を嫌がったとも考えられる)。
- エイジ773 - 18号にうながされる形で、賞金目当てのお遊び気分で天下一武道会に4度目の出場。1回戦をあっさり勝ち抜くが、その後の魔人ブウに関わる事件に巻き込まれる。すでに戦士として戦うことをやめているためブウとの戦いには直接関わっていないが、ダーブラにより石となり、復活した後ブウにチョコレートにされて食べられ、3度目の死を迎えた。その後、ドラゴンボールにより復活した。また、アニメ版においては死んでいる間、界王の下にいる姿が見られた。
[編集] 技
- かめはめ波
- 両掌に気を集中させ、一気に放出させる気功波。亀仙人が開発。弟子の中では習得は最も遅れた。第22回天下一武道会の餃子戦で初使用。
- 気円斬(きえんざん)
- 気を円盤状のカッターに練り上げ、その物体を寸断する独自に編み出した技。その実用性の高さから、後に多くの戦士たちがコピーあるいは同種の技を使っている。ややスピードがなく避けられやすいのが欠点。ナッパ戦では油断したナッパをあと一歩で仕留めることが出来たが、ベジータの「よけろ」のひと言で好機を逃してしまう(狙いの外れた気円斬は背後にあった岩山を切断)。このときは頬をかすめる程度だったが、戦闘のプロであるサイヤ人相手にも充分に有効な技であることが分かる。フリーザ戦では連発して使用し、フリーザの尻尾を切断している。(ゲームでは「気円烈斬」と命名され、対戦相手を追跡する)。サイヤ人戦で初使用。アニメではセルにも使用して命中させているが切断できず、逆に気円斬が砕けてしまった。
- ドラゴンボールZ3でのクリリンの第二必殺技は気円斬であるが、ドラゴンボールZ Sparking!の場合は標準気弾、タメ打ちででている、ダメージは必殺技よりかなり低い。
- 太陽拳(たいようけん)
- 気を発光させて相手の目を眩ませる技。元々は天津飯の技であり、相手の強さに関係なく眩ませられるため、実用性は高い。敵から逃亡する際に使用することが多い。ナメック星で初使用。ドドリア、フリーザから逃れるために使った。
- 追跡エネルギー波
- 自動で標的とした者を追尾するエネルギー波。名前はゲームより。第23回天下一武道会で、マジュニア(ピッコロ)に対して使用。
- 拡散エネルギー波
- 「拡散かめはめ波」とも呼ばれる。当初一つのエネルギー波(かめはめ波)と見せかけ、その後複数のエネルギー波として分裂させることで複数の敵を倒す技。名前はゲームから。栽培マン達に対して使用。
[編集] 補足
原作及びZまでで3回の死を経験しており、餃子(チャオズ)とトップタイである。
鼻が無いが、何故か鼻糞を飛ばしたり、臭いを嗅ぐシーンが登場する。これについては、原作者の鳥山明が「ミス」と明言している。また、後に髪を伸ばした際、何故か額にあったお灸の跡まで消えていた。
ヤジロベーは、クリリンの特徴(髪と鼻がない)を聞いて「バケモノじゃねぇか!」とツッコミを入れていた。
13歳時で飛行機などの操縦ができる。
当初はレギュラー化させるつもりはなく、一発キャラのつもりで登場させたと鳥山は語っている。同時に、ここまで人気が出ることを想定していなかったことも明かしており、「鼻くらい付けてやればよかったかな」と語っている。
クリリン役に田中が選ばれた理由は、鳥山が「銀河鉄道の夜」のジョバンニ役を見ての御指名だったとされている(後に田中は原作にて「声が似ている」という理由からヤジロベー役も担当している)
他のキャラクターからの呼称は、殆どが呼び捨ての中、原作ではブルマからは「くん」付けで呼ばれ、アニメでも無印までは「クリリンくん」で通していた。が、Zからは親しい間柄になったためブルマからも呼び捨てにされていることが多い。チチからは「クリリンさん」と呼ばれた事もあるが、呼び捨てにされる事も多い。
18号と交際・結婚に至る経緯は全く触れられていないが、これに関して原作者の鳥山は「恋愛描写が苦手なため省いた」と発言している。それが逆にファンの想像を掻き立てる結果となって、ネット上には2人が結婚に至る経緯をとりあげたSS(ショートストーリー)が数多く存在している。
名前の由来は特になく、「頭がクリクリしているから」という印象からつけられたもの。
英語ではKuririnだが、ナメック星ではKAMESEN KULILINと書いてある帽子をかぶっていた。
[編集] 地球人最強?
作中内のインフレの激しさから、実力を発揮するシーンは少ないが、ナメック星で最長老に潜在能力を引き出され、戦闘力10000のグルドや23000のギニュー(悟空体)と互角以上に戦うなど大幅なパワーアップを果たしている。これは地球に初めてやって来た頃のベジータを凌駕する数値である。後には、ヤムチャから「地球人の中では一番強い」と言われている。
「地球人の中では一番強い」と言うヤムチャの発言に対しては、第二段階セルの動きを気功砲で封じたり、魔人ブウに一矢報いた天津飯のほうが強いのではないかという異論(ただし天津飯は三つ目族という宇宙人の末裔とされているため、「人間」の枠に含めるべきかは微妙)の他に、鼻や白目が無いことからそもそも地球人ではないのではないか、(人造人間が地球人に含まれるのであれば)人造人間のほうが強いのではと怪しむ向きもある。
しかし、動物型地球人が存在したり、月にウサギがいたりするこの世界では、「鼻や白目がない」程度は問題にならないとの意見もある。ゲーム等では白目の部分が書かれている場合もあり、原作(漫画)のカラーページでも白目にされている。
また、さよなら絶望先生には「地球人最強なのにサイヤ人があまりに強すぎて影に隠れている」というネタがある。
[編集] 劇場版への登場
劇場版に初登場したのは、第2作目『ドラゴンボール 魔神城のねむり姫』。
[編集] なんでオレだけ
「ドラゴンボールZ」以降の劇場版ではほぼ毎回登場するが大抵やられ役となり、「なんでオレだけ…」という台詞を出る度に発言している(自分だけあっさりやられたりズッコケたりすることに対し)。その為、劇場版を知るファンの間では、よく知られた台詞となっている。だがこのズッコケ役としての立ち回りゆえに彼を愛するファンも多く、その台詞が放映されるたびに映画館が笑いに包まれた。
[編集] 劇場版での活躍
Z劇場版1作目では悟空を助けるためガーリック城へと駆けつけるも、崩れてきた天井に頭を打って気絶してしまう。
Z劇場版2作目『この世で一番強いヤツ』では、悟飯と共に悟空の元へと駆けつける。悟空が元気玉を作る為の時間稼ぎをするが、Dr.ウイローから攻撃を受ける。
Z劇場版3作目『地球まるごと超決戦』では、ターレス軍団の一人アモンドと戦うが敗れる。
Z劇場版4作目『超サイヤ人だ孫悟空』では、冒頭で悟空と共にスラッグ軍団の軌道をそらす。その後悟空と悟飯・ピッコロの元に駆けつけようやく自分の出番とスラッグに戦いを挑むが、吹っ飛ばされてしまう。
Z劇場版5作目『とびっきりの最強対最強』では、クウラ機甲戦隊の一人・サウザーと闘うも敗れる。
Z劇場版6作目『激突!!100億パワーの戦士たち』では、悟飯、ピッコロとともにビッグゲテスターのロボット兵と闘い、装甲の非常に硬い相手を数体撃破する。戦闘中に捕獲されてしまうが、その後悟空の手により救出される。
Z劇場版7作目『極限バトル!!三大超サイヤ人』では、悟飯が決戦場へ向かってしまった為にチチに尻を叩かれる形で決戦場へその後人造人間の闘いを観戦する中顔にエネルギー弾が飛んできたり、氷で滑ったり、飛んできたべジータに激突したりと、お笑い的な面がより増えていた。
Z劇場版8作目『燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』では、カラオケで翼をくださいを熱唱していた。しかし非常に音痴で、ブルマとトランクスは呆れ果て、ベジータは激しく憤っていた。悟飯、トランクスとともに新惑星べジータに赴くが、戦力にならないだろうからとブロリーとの戦いには参加しなかった。
Z劇場版9作目『銀河ギリギリ!!ぶっちぎりの凄い奴』では天下一大武道大会にて対戦相手のピッコロが試合放棄した為(本人のやる気のない態度に対し)、運良く勝利。しかし準決勝のバトルゾーンにてザンギャに敗れる。
Z劇場版10作目『危険なふたり!超戦士はねむれない』では、ピッコロの胴着を身に着けた姿で悟飯を助けたことがある。悟飯ははじめ、自分を助けてくれたのがピッコロだと勘違いしていた。その後はブロリーに敗れ、倒れて放置されている彼の呟きでラストを閉めた。
Z劇場版11作目『超戦士撃破!!勝つのはオレだ』では、バイオブロリーに苦戦する18号の救援に駆けつける。その後、悟天とトランクスの兄貴分として、最後まで戦闘に参加し、二人とともにかめはめ波でバイオブロリーを破るなど珍しい(?)活躍を見せていた。
Z劇場版13作目『龍拳爆発!!悟空がやらねば誰がやる』では、タピオンを復活させる為にドラゴンボールを探す。ヒルデガーンとの戦いの際は不在。
[編集] ドラゴンボールGT
ドラゴンボールGTではベビーに操られ、ツフル星移住計画の順番待ちをしているシーンで初登場。しかし変装したブウが割り込みをしたため、地球に残留。洗脳が解けた後は操られた17号に殺され、その後生き返っている。元々原作だけでも死の経験数は最多だったが、これを含めると単独トップの計4度死を経験したこととなる。ウミガメからもその死の多さを突っ込まれることとなった。
年齢と引退後長期間経ったことによる、大幅な戦闘力の低下を思わせる発言があったが、時々18号と組み手などをしていた事が最終回で明らかになった。全く変わらない亀仙人、子供になってしまった悟空と比べると、グレーの髪やヒゲなど年齢を感じる容姿。そしてそれは「ドラゴンボール」という作品を見続けてきた視聴者、読者と共に歩んできた「時」でもあり、彼と悟空の会話をもって「ドラゴンボール」の長きに渡る物語はその幕を閉じるのである。
[編集] 『CROSS EPOCH』でのクリリン
クリチョッパ海上列車コースターの運営者としてONE PIECEのトニートニー・チョッパーと共に登場。帽子を被っている。途中列車強盗に襲われるも、それが知人のピッコロとゾロであったために一緒に目的地まで運んでいる。