グラハム・ボネット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
グラハム・ボネット(Graham Bonnet, 1947年12月23日 - )は、イギリス生まれでロサンゼルス在住のロックシンガー。レインボーやアルカトラスのヴォーカリストとして有名である。
[編集] 経歴
1968年10月ポップ・デュオMARBLESでデビュー。大ヒットシングル「Only One Women」を残したが、1969年に解散した。ブランクの後1977年、アルバム「Graham Bonnet」にてソロデビューを果たす。この作品はオーストラリアなど数カ国でゴールドディスクを獲得し、二作目のソロ「No Bad Habbits」もヒットした。もともとはAOR系の歌手だった。
1979年、リッチー・ブラックモア率いるハードロックバンドレインボーに加入。アルバム「ダウン・トゥ・アース("Down to Earth")」で初めてハードロックを歌うが、絶賛され、世界でもスターとなる。これ以降、ハードロックの世界でのミュージシャン活動に突入。しかしファッション的にはこのジャンルに適応する事を拒み、リッチーに髪を伸ばしてハードロックファッションをしろと言われるが拒否。ショートカットのオールバックの髪型に白いスーツを続ける。
尚、ステージ衣装のスタイルを指令通りに変更しないボネットに怒り心頭したリッチーは来日公演中、スタッフに命じてボネットの衣装を全部破棄させた。着替えの白スーツが見つからず困っているボネットに黒の革ジャンとリーバイスを差し出すリッチーを無視し、急遽外出してアロハシャツと白パンツを手配して本番に備えて周囲を驚かせた程、革ジャンに代表されるハードロック的衣装の出で立ちを嫌った。日本公演中にリッチーより解雇通知を受け、レインボー脱退。
レインボー脱退後の1981年、ソロ三作目「孤独のナイト・ゲームス("Line UP")」をヒットさせる。この作品も各国で評価され、シングル「Night Games(邦題:孤独のナイトゲームズ)」によって、グラハムはソロ・ポップシンガーとしての評価を高めていく。(1983年に西城秀樹が「ナイトゲーム」のタイトルでカヴァーする。)
1982年にMSG(マイケル・シェンカー・グループ)に加入。ポップな明るさとそれまでの暗さが混在した名作「黙示録("Assault Attack")」を発表。しかし、マイケルとの不仲が原因でこのバンドも1年で脱退した。脱退時のエピソードとして、ヨーロッパツアーのリハーサル中に『トイレに行ってくる』と言い残したままアメリカの自宅に帰ったという話は有名だが、真偽のほどは明らかになっていない。しかし相当陰湿なイジメを受け続けていた為、我慢の限界を超えたとの証言を多く残している。この当時、「もう二度とハードロックは歌わない」と宣言していたが、後にロスに拠点を移しアルカトラスの結成に着手する事になる。
1983年には、元ニュー・イングランドのメンバーを集めて、自らがリーダーとなるアルカトラスを結成し、スタジオアルバム「アルカトラス("No Parole From Rock 'N' Roll")」を発表。当時はまだ無名だったスウェーデン出身のギタリスト、イングヴェイ・マルムスティーンをオーディションによって加入させて世に送り出す。来日時のライブビデオも好評であった。 イングヴェイ脱退後の1985年にはアルバム「ディスタービング・ザ・ピース("Disturbing the Peace")」を発表。"80年代で最も演奏テクニックを持つギタリスト"と言われるようになるギタリスト、スティーヴ・ヴァイを世に送り出すが、彼も1年ですぐに脱退してしまった。 続いてアリス・クーパー等と作品を制作していたギタリストであるダニー・ジョンソンを加入させて三枚目のスタジオアルバムとなる「デンジャラス・ゲーム("Dangerous Games")」を制作するが、アルカトラスはまもなく解散した。
1988年にインペリテリに参加し、アルバム「Stand In Line」発表した。鬼気迫る凄まじいボーカルで復活し、大好評を博す。ギタリストのクリス・インペリテリも世界に知られるようになる。しかしグラハムはこのバンドも1年で脱退した(グラハムは2002年に「システムX("SYSTEM X")」を制作するというワンポイント契約でインペリテリに一時的に復帰した)。ちなみに、クリス・インペリテリは、イングヴェイ脱退後のアルカトラスのギタリストオーディションの際に落とされた経験をもつ。
その後はコージー・パウエルとレイ・フェンウィックのプロジェクトであるフォースフィールドに参加したり、ソロアーティストとして活躍している。
[編集] ディスコグラフィ
- 1970 THE MARBLES - THE MARBLES
- 1977 GRAHAM BONNET - GRAHAM BONNET
- 1978 GRAHAM BONNET - NO BAD HABITS
- 1979 RAINBOW - DOWN TO EARTH
- 1981 GRAHAM BONNET - LINE UP
- 1982 THE MICHAEL SCHENKER GROUP - ASSAULT ATTACK
- 1983 ALCATRAZZ - NO PAROLE FROM ROCK'N ROLL
- 1985 ALCATRAZZ - DISTURBING THE PEACE
- 1986 ALCATRAZZ - DANGEROUS GAMES
- 1988 IMPELLITTERI - STAND IN LINE
- 1989 FORCEFIELD - TO OZ AND BACK
- 1990 FORCEFIELD - LET THE WILD RUN FREE
- 1991 GRAHAM BONNET - HERE COMES THE NIGHT
- 1993 BLACKTHORNE - AFTER LIFE
- 1997 GRAHAM BONNET - UNDERGROUND
- 1999 GRAHAM BONNET - THE DAY I WENT MAD
- 2000 ANTHEM - HEAVY METAL ANTHEM
- 2002 IMPELLITTERI - SYSTEM X
- 2006 WELCOME TO AMERICA - TAZ TAYLOR BAND