サムワイズ・ギャムジー
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サムワイズ・ギャムジー(Samwise Gamgee、第三紀2980年 -)、のちの庭師家のサムワイズ(Samwise Gardner)、通称サムは、J・R・R・トールキンの中つ国を舞台とした小説『指輪物語』の登場人物。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 概要
「指輪の仲間」の一人で、主人公フロド・バギンズに仕えるホビットの庭師。好奇心旺盛で素朴な性格で、際立って勇敢なわけでも、また優れた能力を持っていたわけでもないが、作中では最も活躍した一人である。
父はハム・ギャムジー。母は子善家のベル。妻はローズ・コトン。美しのエラノールをかしらに七男六女を得た。
主人を心から敬愛し、フロドの指輪を滅ぼす旅では常にフロドにつき従い、フロドを支えた。彼の働きなしでは、フロドもその使命を果たすことはできなかったであろう。
[編集] 作中での描写
ホビット庄でも屈指のジャガイモ栽培の権威として知られたハムファスト・ギャムジーの末子として生まれる。元々の住所はホビット庄西四が一の庄・ホビット村の袋枝路3番地だが、指輪を廃棄する冒険行の後に主人であるフロドの袋小路屋敷を譲り受けた。父譲りの園芸の技術を持ち、また野外料理も得意で、指輪に関わる冒険行では常に調理器具を携行していた。ただこれら彼愛用の調理器具はサム自らの手によってモルドールに無数に走る亀裂の一つに捨てられた。
ほんの僅かな間ではあったが一つの指輪を所持していたことがあり、極めて平均的なホビットながらも、長くその名を語り継がれる事と成る。一つの指輪は彼も誘惑したが、その途方も無いヴィジョンを彼は一笑に付し、指輪をフロドに返している。大きな野心を持たず牧歌的なホビットの中でも、とりわけ「ホビット的分別」の持ち主といえよう。
ホビット庄に帰還の後に、彼は幼馴染のロージー・コトンと結婚し、長女のエラノールを始めとして13人の子をもうけた。またフロドより譲り受けた赤表紙本の最後の章をしたためたのも彼とされる。
フロドが西の海へと去った後、ホビット庄の庄長を7期の長きにわたって勤め平和を守るが、やがてかれも中つ国に残った最後の指輪所持者として、フロドを追って西の海の果て、神々の住む国へと船出する。
[編集] 人物として
彼の名「サムワイズ」だが、「幅広い親指」の意味を含む。親指は人間の手を他の動物と決定的に違うものとさせる機能を持っており、この指は生まれて育った環境によって、あるいは担っている仕事によって様々に変化する。力仕事をする者の親指は太く、細工物を作る職人の指には道具によってたこが出来、そして手を使って根気良く働く者の親指は幅広くなる。このため彼の名は、器用で真面目な庭師としての性格付けを表しているものだろう。
そんな彼は、主人のためなら火の中水の中という性格ではあるが、その主人の秘密に鼻先を突っ込んでしまう一面もある。彼の活動により、秘密裏に行われるはずだったフロドの出発はペレグリン・トゥックやメリアドク・ブランディバックらの知るところとなり、これによっていよいよ出発を秘密にできなくなってしまった。しかしこれが怪我の功名となり、フレデガー・ボルジャーの偽装工作ではモルドールからの追っ手を騙すことにも繋がるのだが。
その一方で上にも述べたとおり、極めて牧歌的な性格でもあり、指輪の見せた誘惑のための幻想も、一笑に付して振り払った。彼は指輪の力によって与えられるであろう広大な庭園を、一国の領主として召抱えた領民たちに管理させるよりも、指輪など無くとも容易く実現できる、自分で管理できるささやかな庭園を持つことを望んだのである。
彼の性格は逆境になるほど際立つ性質のものでもある。主人と二人でモルドールをひたすらさまよった時、指輪の責で心身ともに疲労しきったフロドを、その勇気と知恵で支えたのは彼である。その彼の性格だが、原型をイギリスの「ジョンブル」と呼ばれる精神性に求めることができる。この「イギリス人気質」ともいえる「困難になるほど俄然奮い立つ」という精神性は、イギリス・ロンドンが直接攻撃に晒された第二次世界大戦当時にも如何無く発揮されている。
このジョンブル精神は「危機的な状況を笑い飛ばそうとジョークが出る」という側面ももつが、これも彼の性格付けに影響が見られる。『指輪物語』では度々彼ら指輪の仲間は窮地に陥るが、軽口を叩き合って自分らを鼓舞している。
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