シトロエン・BX
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シトロエン BX(Citroën BX)は、フランスの自動車会社シトロエンが製造、販売したハッチバック型の乗用車。
目次 |
[編集] 概要
シトロエン・BXは、GSAとCXの車格の間を埋める目的で1982年に発表された。1985年にはブレークと呼ばれるステーションワゴンを追加し、1993年に後継車種のエグザンティアが登場するまで製造された。
11年間、毎年改良を加えられたBXだが、大きく改良された1987年以降の後期型とそれ以前の前期型に大別される。
外装の差異は前後バンパーやフロント・ウィンカー、フロント・フェンダーの形状変更など小規模であるが、内装は前期型と後期型でかなり異なる。
前期型では、GSAやCX(前期型)と同様のボビン(回転ドラム)型スピード・メーターをはじめ、ウィンカー(セルフキャンセルされない)やライト、ワイパー、ホーン、ハザードのスイッチ類をメータークラスターに集中配置するなど個性の強いものを採用していたが、後期型では一部クラスタースイッチが残ったもののメータ類が全てアナログ式に、ウィンカー(セルフキャンセルされる)やライトなどのスイッチ類もコラムレバー型の一般的なものに変更された。
前期型、後期型ともに機能的で、ロングホイールベースから足元も非常に広く、実用的なグローブ・ボックスや各収納スペース、広大なリアのトランクなどを備え、1980年代の自動車デザインの流行であったスペース効率の追求を徹底していた。 もちろんリアシートを折りたたむことで、トランクスペースを拡大し巨大な荷物も積む事ができた。(ハイドロニューマティックサスペンションの機能により、荷重によるリアの沈み込みは全く無い)
デザインは内外装ともにイタリアのカロッツェリア、ベルトーネ社が担当。ベルトーネはBXを機にシトロエンと関係を深め、XMやZX、エグザンティアでもデザインを担当した。
なお、このモデルはXMやZXと並んでシトロエン車最後のリア・ハーフ・スカートをはくモデルとなっている。特徴的な1本スポークステアリングもこの時期のモデルが 最後となった。
ボディサイズは、全長4230×全幅1660×全高1365、ホイールベース2655(単位はmm)
980kgと非常に軽量化されたボディ(日本仕様 1040kg~1110kg)は、フロントボンネットやリアハッチゲートがFRP製であった。(最後期型ではボンネットがスチールに変更された)
エンジンは、排気量1.4L、1.6L、1.9Lで4気筒OHC、1.9Lの4気筒DOHCのガソリンエンジン、排気量1.7L、1.9Lの自然吸気、および1.7Lターボディーゼルの4気筒OHCのディーゼルエンジンを搭載していた。 これらをシトロエン伝統のFF方式で駆動した。 またFFだけではなく、市販用に四輪駆動モデルも存在していた。
サスペンションは、フロントがストラット式でリアがトレーリングアーム式。スプリングは、前後共にハイドロニューマティック。(ハイドロニューマティックは、BXで初めてストラット式サスペンションと組み合わされた)
[編集] バリエーション
BXには、 世界ラリー選手権・グループBの参戦資格を得るために200台製造された「4TC」と言うモデルが存在した。
外観は、ワイドトレッド化にともない前後フェンダーがブリスターフェンダーとなり、フロントライトの間に補助ライトが4灯埋め込まれ、リアには大型スポイラーが装着されていた。
エンジンは、プジョー504用エンジンがベースの、排気量2.1Lで4気筒OHCターボのガソリンエンジン。それを縦置きでフロントオーバーハングに積み、4WD方式で駆動した。当時の最先端、フルタイム4WD+ビスカス・カップリングではなく、パートタイム4WDであった。初期のアウディ・クワトロとほぼ同じである。
サスペンションは、前後ともにダブルウィッシュボーン式に変更されたものの、スプリングはそのままハイドロニューマティックを使った。
競技用エヴォリューションモデルでは回頭性の向上を狙いラジエターとチャージクーラーは後方に移されたものの、ハイドロニューマティックはそのまま使われた。このサスペンションの耐久性は低く、「悪路ポリス」と揶揄される、非常にハードな1986年アクロポリスラリーでは、出走3台すべてが序盤すぐにリタイアしている。WRCでは、モンテカルロ・ラリー、スウェディッシュ・ラリー、アクロポリス・ラリーに出場している。
競技での成績不振と高価格で、市販車のほとんどは売れ残り、廃棄された。正確な台数は不明だが、現存40台程度と推測されている。
[編集] 販売
シトロエン社史上、2CVに続く販売台数を誇り、ヨーロッパにおいてVWゴルフ(2型)と並ぶ一大ベストセラー車となった。 これは、ハイドロニューマティックサスペンションの信頼性が上がったことや水冷エンジン(プジョー製)、ハイパワーディーゼルエンジン(プジョー製)の採用などの他に、使いやすく、そして合理的な構造になっていたこともその一因と考えられる。
[編集] 日本での販売
当初は西武自動車販売が輸入していたが、1989年からはマツダが加わり、ユーノス店でも販売され、エグザンティアに世代交代するまで10年近くも輸入された。現在の所、累計で日本で最も多く輸入されたシトロエン車である。
カテゴリ: 自動車関連のスタブ項目 | シトロエン | 自動車の車種