スオミM1931短機関銃
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スオミM1931短機関銃のデータ
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正式名称 | スオミM1931短機関銃 | |
全長 | 875mm | |
銃身長 | 462mm | |
重量 | 4.87kg | |
口径 | 7.62mm×25 | |
装弾数 | 20・40・50箱型弾倉
71発ドラム弾倉 |
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発射速度 | 900発/分 | |
製造国 | フィンランド | |
製造 | ティッカコスキ銃器工廠 |
スオミM1931短機関銃は、20世紀にフィンランドで開発された短機関銃である。
目次 |
[編集] 開発経緯
20世紀、フィンランド軍の制式短機関銃は試作型のスオミM1922短機関銃を経てラティ/サロランタM1926軽機関銃を使用していた。M1926はコッキング・ハンドルとボルトを別にし、射撃中の反動を押さえることに成功、またレシーバー後部のキャップを回転させることにより、発射速度の調整が出来た。銃身の交換も容易な上、セレクティブ・ファイア機構も備えていた。しかし、大きくカーブしたバナナ型弾倉は送弾不良などが多発した。
[編集] スオミM1931短機関銃の登場
スオミ式短機関銃など、これまでにさまざまなフィンランド軍の兵器開発に携わっていた銃設計技師エイモ・ラティは1930年、M1926の装弾不良などの欠点を解決するためにM1926で使用されていたバナナ型弾倉から新たにドラム型弾倉を採用、セレクターにも改良を加えたスオミM1931短機関銃の試作型を発表、翌年の1931年にフィンランド軍に制式採用された。主な特徴は71発のドラム弾倉のほかに20発・40発・50発の箱形弾倉が使用できた。コッキング方式はボルトアクションの用に行い、発射時の反動が少なかった。銃自身は非常に重く6kgは越える(71発ドラム弾倉装填時7.36kg、当時の短機関銃にしては重い方である)。 スイス、デンマーク、スウェーデンでもスオミM1931短機関銃はライセンス生産され、大戦中はフィンランドに駐留していたドイツ軍でも使用された。
[編集] スオミM1931短機関銃の長所・短所
長所
- 射撃時の反動が少ない
- レシーバー後部のキャップを回転により発射速度の調節が可能
- 銃身交換が容易
短所
- 6kg以上という重さ
[編集] スオミM1931短機関銃、その後
1939年11月30日、フィンランド領内に4個軍・計70万人の大兵力でソビエト軍が侵攻、冬戦争の始まりである。兵力・火力ともに不利だったフィンランド軍はこのとき頑強に抵抗しソビエト軍に多くの損害を与えた。スオミM1931短機関銃もこのときフィンランド軍で使用され、スキー部隊(通称:シッシ部隊)により本銃を使用した一撃離脱攻撃でソビエト軍を一時的に国境外に追い出すことに成功した。しかしそれも一時的でソビエト軍の大兵力の前にフィンランド軍が敗走し1940年の休戦協定でカレシア地峡などを失った。その後も継続戦争でもスオミM1931短機関銃は戦い抜き、1990年代までフィンランド軍で使用されることになった。 ソビエト軍は多大な損害を与えられたこの短機関銃を戦後持ち帰り、シュパーギンPPSh-41短機関銃など短機関銃開発の参考にした。ちなみに「スオミ」とはフィンランドのことを示す。