シュパーギンPPSh-41短機関銃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シュパーギンPPSh-41(ロシア語:ППШ-41ペーペーシャー・ソーラク・アヂーン)は、第二次世界大戦時にソ連で開発された短機関銃である。
目次 |
[編集] 開発経緯
1939年~1940年に発生したソ連軍によるフィンランド侵攻(冬戦争)では、ソ連軍は兵力と火力でフィンランド軍を圧倒した。しかし、フィンランド軍スキー部隊及びスオミ短機関銃を使用した森林地帯のゲリラ戦に非常に悩まされることとなった。スオミ短機関銃のような銃身長の短い短機関銃は取回しがよく、ゲリラ戦に使用するには非常に有効だった。これにより近接戦闘時の短機関銃の有効性を再認識したソ連軍は早速、新型短機関銃の増産を決定した。ソ連軍はそれまで短機関銃としてはPPD-34・PPD-40短機関銃を使用していた。しかし非常に重く、製造過程が複雑で大量生産には不向きであった。そこでソ連軍は大量生産の可能な短機関銃の開発を進めることになった。
[編集] PPSh41短機関銃の登場
ソ連の銃技師ゲオールギイ・セミョーノヴィチ・シュパーギンは1940年このPPd短機関銃を簡略化し再設計、1941年にPPSh41短機関銃(和名:シュパギン式短機関銃1941年型)の開発に成功した。同年行われた選考でも優れた成績を示した本銃は軍に制式採用され、ソ連軍の前線部隊に大量に配備された。
PPSh41短機関銃の主な特徴としては、PPd短機関銃から使用されていたドラム式弾倉・木製ストックの採用、単純な構造で銃身内はクロームメッキ仕様のため、特に手入れしなくとも確実に動作する信頼性があった。また機構のバランスも良く、以前のPPd短機関銃に比べると発射速度は900発/分と格段に上がり、銃口先端には跳ね上がり防止のためマズル・コンペンセイターが装備されている。ただPPd短機関銃から採用されていたドラム弾倉は、弾薬装填にゼンマイを使用し、ドラム内に均等に弾薬を並べることが大変だった。また装填中に弾薬が弾け飛び、ゼンマイで指を切断するといった事故もしばしば起きた。そこで35連発用の箱形弾倉などが試作され、戦争後期にはかなりの数が配備されたようである。
[編集] PPSh41短機関銃の長所・短所
長所
- ドラム弾倉採用により弾数が非常に多かった
- 発射速度が高い
- 単純構造によりメンテナンスフリー
短所
- 弾薬装填がゼンマイ式のため難しい
- 銃全体の重量がPPd短機関銃と殆ど同じで重い
[編集] PPSh41短機関銃、その後
PPSh41短機関銃は正式採用後、終戦まで500万丁以上という大量生産が行われソビエト赤軍を代表する短機関銃となった。またドイツ軍は大量に鹵獲した本銃を使い勝手の良さから戦地でそのまま使用したり、自国の主力拳銃弾である9mmパラベラム弾を使用しているMP40短機関銃の箱形弾倉を使用出来るように改造して使用した。(名称:MP717短機関銃)
戦後になってもしばらくは旧東側諸国の主力短機関銃として使用された。
PPSh41短機関銃は通称「ペーペーシャー」と呼ばれていたが、ドイツ兵からは「バラライカ」、また日本兵からは「マンドリン」などいろんな俗称で呼ばれた。
[編集] PPSh41短機関銃・データ
- 全長 840mm
- 銃身長 26.9mm
- 重量 3.5kg
- 使用弾薬 7.62mm×25
- 装弾数 71発(円形ドラム弾倉)
- 発射速度 900発/分
[編集] PPSh41短機関銃の登場するメディア作品
- 戦争のはらわた(映画):主人公のシュタイナー伍長がソ連軍から捕獲して使用
- ラストエンペラー(映画):ソ連兵が使用
- ブラザーフッド(映画):朝鮮人民軍が使用
- 大地の子(海外ドラマ):ソ連兵が使用
- ヒトラー ~最期の12日間~(映画):ソ連兵が使用
- レッドスナイパー 独ソ最終決戦前編、後編(映画):ソ連兵が使用
- CALL OF DUTY(Windows用ゲーム):ソ連兵が使用
- HIDDEN & DANGEROUS 2(Windows用ゲーム):ソ連兵が使用、プレーヤーも使用可能。