スクラップド・プリンセス
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スクラップド・プリンセス(略称:ステプリ)は、富士見ファンタジア文庫から発行されている榊一郎のライトノベル。イラストは安曇雪伸。第1回龍皇杯優勝作品。また、これを原作とする漫画、アニメ作品。
目次 |
[編集] 概要
廃棄王女(はいきおうじょ)とされた少女パシフィカを様々な刺客から守りながら逃亡の旅を続けていく、カスール姉弟の家族の絆を描いたストーリー。貴種流離譚の体裁を取っている物語である。
2002年には漫画化、2003年にはアニメ化など、他メディアへの展開も行っている。
[編集] 世界観
この世界の文明は中世ヨーロッパぐらいのものになっている。そして、世界宗教ともいえる「マウゼル教」がある。
- マウゼル教
- スクラップド・プリンセスの世界で最も広まっている宗教。マウゼル神を崇めている。
- 聖都グレンデルでは、一年に一回神の啓示として、「グレンデルの託宣」が行われている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 主要登場人物
(カッコ内はアニメ版のCV)
[編集] 廃棄王女
- パシフィカ・カスール(折笠富美子)
- カスール家の次女で廃棄王女。15歳。
- ラインヴァン王国の王女だったが、グレンデルの託宣により「世界を滅ぼす猛毒」とされて殺されそうなところをユーマ・カスールとキャロル・カスールに救われ、そのまま養女となる。
- 自分の為に人が傷つく事を嫌う優しさと、過酷な運命を受け入れ時に挫けそうになりながらもなおあがく強さとを持ち合わせる。
- 「んみゅ?」や「んにゅ?」、驚いた時には「んにょわ~」など意味不明な口癖がある。
- シャノンに対する傍若無人な台詞が目立つが、かなりのお兄ちゃん子。卵料理をこよなく愛する。
- パシフィカのファンは、パシフィカンと言われる。
[編集] <守護者>(ガーディアン)
- シャノン・カスール(三木眞一郎)
- カスール家の長男。父親から剣士としての訓練を受けていて、片刃の刀を愛用する。ラクウェルとは双子の姉弟で、ラクウェルの主張により弟ということになっている。
- 何から何まで面倒くさがる性格で、髪を切ることすら面倒くさがるが、パシフィカのことは大事に思っており、口ではあれこれ言いつつも彼女の危機には全力で立ち向かう。
- アニメでは描かれないが、意識領域(容量)・・・俗にいう潜在魔力が一般人よりはるかに大きい。(※意識領域だけならラクウェルを上回る。)ただ、制御が出来ない為普通では魔法を使う事は出来ないが、ラクウェルに仮想制御意識の魔法をかけてもらい、魔法を使うことがある。
- <竜機神>(ドラグーン)ゼフィリスの御者たる<竜騎士>(D・ナイト)でもあり、<秩序守護者>に対してのほぼ唯一の戦力として活躍する。
- キノコが嫌い。理由はカビの親戚と考えただけでも嫌だから。
- シャノンのファンは、シャノラーと呼ばれる。
- ラクウェル・カスール(大原さやか)
- カスール家の長女。魔法を得意とするが肉体労働は苦手。シャノンとは双子だが、ラクウェルの主張により姉ということになっている。
- 可愛いものが好きで、タウルスのクーナン商店のマスコットキャラクターであるスーピイくんがお気に入り。
- 魔法を使う能力は母親ゆずりで非常に高いが魔法オタクの気があるらしく、ことあるごとに様々な魔法を試そうとする。魔法を改良し、攻性魔法トールの外観をスーピィくんに変えたりしている。(※魔法に卓越しているのは、人並み外れた意識領域を持っている為である)
- おっとりのんびりした性格でどこかずれた天然なところがある。姉として弟妹達の事を時に見守り、時に諭す。パシフィカを狙う者には容赦なく、けして望む訳ではないがやむをえないと判断すれば相手を殺す事にも躊躇をしない。
- 酒には極端に弱く、酔うと、世界征服をめざす悪の魔法使いに変貌する。
- ラクウェルのファンは、ラクエリストと呼ばれる。
[編集] <守護者>の因子を持つもの
シャノンとラクウェル以外は<守護者>の因子を持っているが、二人ほど強く発現しなかったという表現である
- ウイニア・チェスタ:(川澄綾子)
- タウルスの宿屋「大熊亭」で働く宿主の孫。(アニメでは宿主は彼女の叔父)
- 異民族の血を引いており、そのため子供の頃はイジメにあっていた。その経験から、引っ込み思案で常に一歩引いた所から諦観的に物事を見る癖がつく。他人と深く関わらないようにしていたが、たまたま逃避行の途中、「大熊亭」に宿泊したパシフィカと接して友情を築く。またその際に起きた事件で出会ったクリスに淡い思いを抱くようになる。
- レオポルド・スコルプス:(近藤隆)
- タスコ領領主、名門スコルプス男爵家の長男。通称レオ。王宮騎士団アンヴァー・ナイツの入団を目指し、騎士道を学ぶ修行をしている。
- パシフィカを廃棄王女と知らずに一目惚れし、自分の中では彼女の婚約者になっている。(※実際には、ちゃんとした婚約者が居る事が作中にて語られている。)
- (原作)ファンの間では、彼のBGMは「ウルトラマンレオ」のテーマ曲になっている。
- キダーフ・ジャイロット(小野大輔)
- パシフィカの命を狙う、<魔蟲>(バグ)使いの暗殺者。通称サイレンサー。キーボードから発する人間には聞こえない音で、<魔蟲>に指示をする攻撃方法を用いる。
- どこか軽薄な感じで、語尾に「ねぃ」とつける。
- いつの間にやら人気を博していた。
- ベルケンス・タンホグリオ(田中正彦)
- 闘気を拳に込めて相手に叩き込む「ガントレット」(俗称:シャイニングフィンガー)を必殺技(?)に持つ、豪胆な一風変わった異教検察官。
- パシフィカを気に入っている。
- エルフィディーネ(豊口めぐみ)
- 反マウゼル教を指針としたいわゆる「異教集団」の旗頭として、<廃棄王女>を名のる金髪碧眼の少女。マウゼル教会に「魔の落とし子」(スパウン)などと言われる「異能力者」(ピキュリアン)で、少しだけ未来を見ることができる。
- ユーマ・カスール
- カスール三姉弟妹の父/義父。
- 昔はラインヴァン王国の外人部隊<モータル・ストーム>に所属していたこともあり、やたら強い。その実力はシャノン以上で、シャノンに剣術を教えた。
- パシフィカが14歳のときに死亡。
- キャロル・カスール
- カスール三姉弟妹の母/義母。
- 昔はラインヴァン王国宮廷魔導士団<ジェイド・サーキット>に所属していたこともあり、やたら強い。ラクウェルとシャノンに魔法の基礎を教えた。
- パシフィカが4歳のときに病死。
[編集] <竜機神>(ドラグーン)
- ARFFI・M4・シリアル26<ゼフィリス>(水橋かおり)
- ブラウニン機関に作られた「汎環境邀撃型自由塑形兵器」(All Round Free Forming Intercepter)M4タイプ(通称、竜機神<ドラグーン>)。本体は竜を思わせる形状の巨大兵器だが普段は異空間に隠してあり、蒼い髪の少女というインターフェイス(実体を持つ高密度の幻)を出して行動する。シャノンを「仮初の主」とあおぐ。
- 無表情であまり感情を表に出さないためとっつき難い印象を与えるが、性格は一本気で誠実。仲間に対しては深い情を示す。
- ドラゴンということで、パシフィカに「スーピイくん」と呼ばれたことがある。
- 狂竜事件後にロールアウトしたドラグーンの末妹。
- ARFFI・M4・シリアル7<グロリア>(佐久間紅美)
- ゼフィリスと同じ竜機神<ドラグーン>。シリアルナンバーは7でゼフィリスの姉妹機にあたる。
- 放浪の途中、パシフィカたちが立ち寄った湖でカエルの姿でパシフィカたちの前に現れた(ちなみに昨年はアメンボ)。ゼフィリスと同じくある目的の為にこの世界にやってきたが、途中で主を失い、自らも身体を大幅に損傷し、理性を失い壊れかけた状態のまま稼動し続けていた。「もう休んでもいい」というパシフィカの一言に礼を言い、機能を停止する。
- ARFFI・M4・シリアル14<ナタリィ>(こおろぎさとみ)
- ゼフィリスと同じ竜機神<ドラグーン>。シリアルナンバーは14でゼフィリスの姉妹機にあたる。
- かつての戦闘時に竜機神<ドラグーン>としての体裁を保てなくなるほどに破壊され、同じくブラウニン機関に作られた「自由軌道要塞」<ヴァンガード>(セーネスらは「スキッド」と呼んでいる)の中枢制御システムに自己を移植して生きながらえていた。
[編集] 特務部隊
- クリストファ・アーマライト:(水島大宙)
- 特殊部隊オブスティネート・アロウに所属する少年。通称クリス。折りたたみ式のハルヴァートを用いて戦う。その戦闘能力は極めて高く、諜報・暗殺など裏の仕事を専門とする同部隊においてトップクラス。
- 幼い時から「優秀で使い勝手のいい兵器」として育てられてきた為、人間的感情に乏しく、命令に従う事だけを考え生きてきた。だが、パシフィカ暗殺の命を受け、パシフィカや、世界を敵に回しても自分の意思で彼女を守ろうとするシャノン、自分と同じように他人と深く関わる事を恐れていたウィニアと出会う事で人間らしい感情を取り戻していく。
- 後に部隊を統括するアイリス・バイラッハの養子ということなり、クリストファ・バイラッハとなる。
- ファファル・アーマライト:(桑谷夏子)
- クリスと同じ部隊に所属する特務戦技兵。三叉剣(カタール)を用いて戦う。
- 特務戦技兵らしくない、明るくさばさばした性格の少女。
- デニス:(鳥海浩輔)
- 特殊部隊オブスティネート・アロウに所属。
- サットン:(塩山由佳)
- 特殊部隊オブスティネート・アロウに所属。
- ジルヴェステ・バイラッハ:(浅野るり)
- 特殊部隊クリムゾン・ソードの隊員。未来予知の能力を持ち、近い未来ほど確実に予知できる。クリスたちは予知を超えた動きができるらしい。
- バロネスの養子になったクリスの戸籍上の姉にあたる。微笑みのまま涙を流す特技を持ち、主にクリスが「お姉さん」と呼ばない時に涙を流すが、クリスが「お姉さん」と呼ぶと涙は止まる。
- アニメでは登場回数が少ないせいか、本名ではなく「ジル」と表記されていたり、微笑みのまま涙を流すこともない。
[編集] <秩序守護者>(ピースメーカー)
- ガリル・シヴィリアン:(中井和哉)
- 第四の<秩序守護者>。シヴィリアン・タイプ。
- <廃棄王女>一行に最初に接触してきた<秩序守護者>。パシフィカ達に人外の勢力を認識させた。
- そして最初に消滅した<秩序守護者>。その後も名前は出てくるが、ガリル当人の印象は薄い。
- ステア・シヴィリアン:(根谷美智子)
- 第三の<秩序守護者>。シヴィリアン・タイプ。
- からめ手大好きのセクシーお姉さん。
- 五千年に及ぶ人類の守護・観察により、矛盾の塊で醜い人間のことを憎むようになった。
- 悪役らしい悪役であるといえる。
- シーズ・アーティラリイ:(半場友恵)
- 第二の<秩序守護者>。砲兵型(アーティラリイ・タイプ)。(初期の頃は重武装砲兵型と表記されていた)
- アーティラリイ・タイプはシヴィリアン・タイプとは桁違いの破壊力を有しており、通常は異相空間に圧縮状態で保持されているのだが、ゼフィリスに対抗するため「解凍」された。
- 少女の姿で「解凍」が停止してしまい、その際にパシフィカ達に拾われてスィンとして一緒にすごした。その後ステアの手によって完全解凍され<秩序守護者>として目覚める。
- ソコム・アーティラリイ:(中井和哉)
- 第一の<秩序守護者>。砲兵型(アーティラリイ・タイプ)。
- 最も機械的な性格の<秩序守護者>。文句なしに強い。
- しかしステアやシーズほど彼について触れられることはなく、ガリルほどではないが印象は薄め。
[編集] ラインヴァン王国
- バルテリク・ラインヴァン(石波義人)
- ラインヴァン王国国王。パシフィカとフォルシスの実父。
- グレンデルの託宣によって「世界を滅ぼす猛毒」とされたパシフィカを殺すよう命じた。
- フォルシス・ラインヴァン(間島淳司)
- ラインヴァン王国第一王子。パシフィカの双子の兄。
- 純粋でとても優しい性格。
- エルマイア・ラインヴァン(篠原恵美)
- ラインヴァン王国第一王妃。パシフィカとフォルシスの実母。
- グレンデルの託宣によって「世界を滅ぼす猛毒」とされたパシフィカを助けるため、キャロル・カスールを頼った。
[編集] ギアット帝国
- セーネス・ルル・ギアット:(松岡由貴)
- ギアット帝国第三皇女であり、ギアット帝国危機管理組織<紅>(スカーレット)局長でもある。通称<獣姫>。
- ハスキー・ボイスで男勝りな性格と口調。「刀」と魔法を使い、その実力はシャノンと同等に渡り合えるほど。
- エイローテ・ボーチャード:(南央美)
- ギアット帝国危機管理組織<紅>(スカーレット)において、セーネスの側近を務める才媛。そして、セーネスの幼馴染み。
- おっとりしているが、並外れた知識と聡明さを併せ持ち常に冷静である。
- 生まれつき足が悪く、杖がないと歩けない。(原作)
[編集] その他
- デザート・イーグル
- カスール家で飼われていた雌鶏。毎朝、パシフィカと激闘を繰り広げていた。
- スーピィくん
- パン屋のマスコットキャラクター。ラクウェルが大変気に入り、攻性魔法の外観に用いたりしている。
- 作者・榊一郎氏の似顔絵イラスト、通称「榊ドラゴン」が元ネタ。
- レナード・カンヴァス(成田剣)
- エルフィディーネを反マウゼル教を指針としたいわゆる「異教集団」の旗頭として、<廃棄王女>を名のらしていた張本人。
- いつも仮面をかぶっていて素顔が見えないが、‘渋い聖人‘ぽい雰囲気の人物。
- ヒューレ(小西克幸)
以上で、作品の核心的な内容についての記述は終わりです。
[編集] 既刊一覧
- 本編(全13巻)
スクラップド・プリンセス
- 捨て猫王女の前奏曲
- 赦されざる者達の騒動歌
- 異端者に捧ぐ鎮魂歌
- 半熟騎士の行進曲
- 捨て犬少女の夜想曲
- つかの間の歌劇曲
- 通りすがりの子守歌
- 終わりなき恋歌
- 獣姫の狂詩曲
- 遥かなる追想曲
- 路地裏の挽歌
- 反逆者達の多重奏
- 天に響く聖譚詩
- 短編(全5巻)
スクラップド・プリンセス サプリメント
- さまよう者達の組曲
- 恋人達の狂騒曲
- 聖地に流れる円舞曲
- 竜乙女の変奏曲
- 語られざる譚詩曲
- ファンブック
- 超解!スクラップド・プリンセス(ドラゴンマガジン編集部/編)
[編集] 漫画
- 矢吹豪/著、榊一郎/作、安曇雪伸/案 の作品
- スクラップド・プリンセス1 逃亡者達の協奏曲
- スクラップド・プリンセス2 逃亡者達の協奏曲2
- スクラップド・プリンセス3 逃亡者達の協奏曲3
- 池田恵/著、榊一郎/作、安曇雪伸/案 の作品
- スクラップド・プリンセス す・て・プ・り
[編集] アニメ
スクラップド・プリンセス(2003年4月8日~10月7日 WOWOW 全24話)
- 監督: 増井壮一
- 企画: 安田猛、小川洋、成澤章、福井政文、藤沢美枝子
- 原作: 榊一郎
- 原作イラスト: 安曇雪伸
- 連載: 月刊ドラゴンマガジン、月刊ドラゴンエイジ、富士見ファンタジア文庫刊
- シリーズ構成: 吉田玲子
- キャラクターデザイン: 小森高博
- 総作画監督: 小森高博、工藤裕加
- 美術デザイン: 竹内志保
- デザインワークス: 神宮寺一
- 美術監督: 菱沼由典
- 色彩設計: 岩沢れい子
- 撮影監督: 宮原洋平
- 音響監督: 菊田浩巳
- 音楽: 七瀬光
- 音楽プロデューサー: 伊藤善之
- 音楽製作: ランティス
- プロデューサー: 南雅彦、加藤淳、阿部祐督、根岸悟
- アニメーション製作: ボンズ
- 主題歌
- オープニングテーマ: 「Little Wing」
- 作詞: 影山ヒロノブ、奥井雅美
- 作曲: 影山ヒロノブ
- 編曲: 河野陽吾
- 歌: JAM Project featuring 奥井雅美
- エンディングテーマ: 「大地の la-li-la」
- 作詞: 畑亜貴
- 作曲、編曲: 上野洋子
- 歌: 上野洋子、伊藤真澄
- サブタイトル
- 捨て猫王女の前奏曲
- 半熟騎士の行進曲
- 赦されざる者の騒動歌
- 出会いと別れの協奏曲
- 吟遊詩人の子守歌
- 騎士たる者たちの迷走歌
- 捨て犬少女の円舞曲
- 絆と祈りの夜想曲
- 異端者たちに捧ぐ鎮魂歌
- 偽王女の小夜曲
- 獣姫の狂詩曲
- 二人の姫の戦闘歌
- 遥かなる追想曲
- 失われた五重奏
- 力と謀略の歌劇
- 川のほとりの二重唱
- つかの間の世俗歌
- 路地裏の哀歌
- 母の嘆きの無言歌
- 聖なる崩壊の序曲
- 孤独な神の受難曲
- 時を超えた輪舞曲
- 限りあるものの聖譚曲
- 守りし者たちの交響曲
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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