スティーヴン・セガール
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スティーヴン・セガール(Steven Seagal, 1951年4月10日 - )はアメリカの俳優。
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[編集] 経歴
ユダヤ系の父とアイルランド系の母のもとミシガン州ランシング市に生まれる。7歳から格闘技に接する。青年期はカリフォルニア州フラートン市で過ごす。カリフォルニアにあるアミューズメント施設のジャパニーズ・ディア・パーク(Japanese Deer park)で空手の実演をした。
17歳で来日、英語を教えながら禅、合気道、剣道、柔道、空手を学ぶ。合気道7段。ほかにも太極拳を始めとして、複数の中国武術を学ぶ。大阪にある合気道道場の娘、藤谷美也子と1975年に結婚し、大本教に入信。藤谷文子と剣太郎セガールをもうける。1983年アメリカへ帰国。
1984年に女優アドリエーン・ラルッサと結婚。この時点でセガールは事実上の重婚となる。この重婚を知ったアドリエーンはこれが許せず、同年離婚。さらに最初の妻美也子とは1986年離婚が成立。
その後『ハード・トゥ・キル』で競演した女優、ケリー・ルブロックと1987年9月5日に結婚し一男二女を授かるが、1996年にまたも離婚。
熱心な仏教徒であり、最近では自身がプロデュースする映画の中で、仏教や禅の教えに影響を受けた役柄を演じることが多い。
[編集] 無敵の男を演じる
身長193cm。精悍な顔立ちをしている。代表作は『沈黙の戦艦』を始めとする沈黙シリーズ。元軍人や刑事、元特殊部隊の隊員など、東洋武術の達人で凄腕かつ冷静な主人公を演じる事が多い。一般的なアクション映画と異なり、困難もピンチもほとんどないまま、一方的に敵を壊滅させるストーリーが大半である。その圧倒的な強さが痛快で人気を博し、現在でもTVでたびたび再放映される。出演する映画の役柄がほとんど同じと言う事もあるが、映画の役に対しての「演じ分け」があまり見られず、いつも眉間に深い縦皺を寄せた仏頂面をしていて、髪の毛をうしろで束ね、黒ずくめもしくは中国風の服というスタイルで、胸を張って尊大な態度でのし歩くというイメージで定着してしまっている。
ちなみに数多くの作品の中、劇中で死亡したシーンがあるのは友情出演した『エグゼクティブ・デシジョン』ただ1作品である。この死亡シーンは、ハイジャックされた旅客機に特殊な連絡通路を備えたステルス機を使って接近し、連絡通路を旅客機に連結して乗り移る際、乱気流に巻き込まれ連絡通路が破損しセガールが空中に放り出されてしまうという内容だが、他の映画でのセガールの役柄を知る者にとっては、この程度で彼が死ぬとは考えにくかった。その為、映画が終わるまでに必ずセガールが蘇り、いつもの様に旅客機内の敵をなぎ倒すと予想していた者が多かった。しかし、結局彼は最後まで再登場することはなかった。とはいえ再登場しなかっただけで生きていた可能性もあり、このシーンでセガールは死んでおらず、セガールは映画の中で一度も死亡していない、と主張する者もいる。
ハード・トゥ・キルでも、全身に銃弾を浴びるが死には至らず、7年後に目を覚まして回復する。消息が判っている中では(つまり『エグゼクティブ・デシジョン』を除く)、彼が最もダメージを受けた作品である。
[編集] セガールアクション
合気道(尚、ナイフ格闘術はフィリピン系の武器術。他に空手、太極拳、なども多用) の技法を中心とした、武道家ならではのリアルな格闘アクションは、「セガールアクション」「セガール拳」と呼ばれることがある。ほとんど窮地に立たされることもなく次々と敵をなぎ倒し、素早い打撃法と関節技を用いて痛めつける。敵一人に対しては数発の打撃・投げ技等で無力化させてしまうが、「しぶとい敵」が現れると、徹底的に痛めつける事もある。あまりの圧倒的な強さにスリルに欠けるという見方もあるが、その超人的な強さや、キレのある独特のアクションが「売り」であり、多くのファンを獲得している。
だが、リアルであるが故にアクロバット要素が薄く、洗練されているが故に若干地味でもある。その為、人気のある派手なアクションに押され気味で、映画の興行成績も下降気味である。近年の作品では格闘シーンに、弱点であった派手なアクロバット要素を取り入れる為、代役(スタントマン)を使うことが多くなり、魅力が半減しているともいえる。
また、体重増加等の関係や我侭な性格の為か、セガールアクションそのもののキレも減退している。さらに、本国アメリカでビデオストレートとして制作されたほとんどの作品では、簡単なアクションシーンでさえも、スタントマンが代行している事が多い。なかでも『撃鉄2 -クリティカル・リミット-』のアクションシーンは酷いもので、スタントマンのアクションにセガールの顔が挿入されるだけという内容である。セガールとスタントマンの動きが全く合っていない箇所も多い。それは、セガールがいつも事前打ち合せとは違う動きをするからである。
ただし、「第二の故郷」日本での人気は根強いものがあり、アメリカではビデオストレートの作品でも、日本では劇場公開されている作品が多い(しかしそれらの作品はほとんど銀座シネパトスレベルの映画館での上映)。 長く伸ばした髪を後ろで束ねたヘアースタイルも有名だが、実は侍の髷を意識しているらしい。出演した映画の中で、興行的に大成功を収めたと言えるのはジョエル・シルバーがプロデュースしたものが多い。『DENGEKI』にセガールが出演する際、役作りの為の減量や、「髷」を切るように指示したと言われる(当人はかなり不満だったようだが、渋々従ったようである)。
[編集] 大の日本通
長期間日本の大阪に滞在しただけあって日本語(大阪弁)は堪能。淀川長治とは日本語で対談を行った。初主演作品の『刑事ニコ』のオープニングのシーンや、2005年公開の映画『イントゥ・ザ・サン』では日本語の台詞をふんだんに使っている。また、映画の宣伝の為来日した際でも、インタビューや出演したバラエティー番組等で大阪仕込のノリ・ツッコミを披露し、なかなか面白い応対をしている。また日本語に堪能である事から、多くの日本のテレビコマーシャル(アリナミンA 高速で爆走する車につかまりながら「こう見えても、疲れまんねん」と言う内容)に登場していた時期があった(このCMシリーズで娘・藤谷文子と共演)。
映画宣伝のため来日した際、出演したバラエティー番組で、尊敬する俳優は三船敏郎と答えている。
[編集] 趣味・こぼれ話
- 映画中で、ギターを上手に演奏するシーンがあることから分かるとおりギター愛好家で、ヴィンテージのギターやカスタムのアンプなどを大量に保有している。腕はかなりのもので、雑誌『Player』で2005年12月号、2006年3月号で特集された。なお、2005年にはアルバム『Songs From The Crystal Cave』でミュージシャンとしてもデビューしている(このアルバムではゲストミュージシャンとしてスティーヴィー・ワンダーも参加)。ほかにも料理などが得意とされているが、詳細は不明。
- スターだった時の名残りか、遅刻と早退の常習犯で、『沈黙の脱獄』と『沈黙の傭兵』を製作したキル・マスター・プロダクションとニュー・イメージから、映画製作を遅らせたとして訴えられた。その訴訟内容の中には勝手に脚本を書き換えたり、取り巻き連中による撮影の妨害という内容まである。
「僕は映画出演は好きじゃない」とインタビューで答えたことがある。
- スタント指導をしていた若い頃、アクションの動きの練習中に、ショーン・コネリーの手首の骨を折った事がある。
- ゴジラ(日本)のファン。
- 実際にCIAの特殊工作員だったという話があり、刑事ニコ/法の死角のビデオにもそのことが書かれているが、DENGEKI 電撃公開時に来日した際、インタビューで「CIAにいたことなどない」と本人が否定している。
- 拳銃コルトガバメントにはかなりの愛着をもっており、彼が演ずる主人公達は皆(エグゼクティブ・デシジョン以外)この銃を使用している。
- 嫌いな食べ物は、マグロの刺身(とんねるず・食わず嫌い王決定戦にて)
[編集] 受賞歴
- 最低監督賞:ゴールデンラズベリー賞『沈黙の要塞』
[編集] 主な出演作品
邦題は「沈黙」の名が冠され、「沈黙シリーズ」と呼ばれることが多いが、実質シリーズ作なのは『沈黙の戦艦』とその続編『暴走特急』のみ。
- 刑事ニコ/法の死角(1988) Above The Law
- ハード・トゥ・キル(1990) Hard To Kill
- 死の標的(1990) Marked For Death
- アウト・フォー・ジャスティス(1991) Out For Justice
- 沈黙の戦艦(1992) Under Siege
- 沈黙の要塞(1994) On Deadly Ground
- 暴走特急(1995) Under Siege2 "Dark Territory"
- エグゼクティブ・デシジョン(1996) Executive Decision
- 友情出演のため主演ではない。
- グリマーマン(1996) The Glimmer Man
- 沈黙の断崖 (1997) Fire Down Below
- 沈黙の陰謀 (1998) The Patriot
- 沈黙のテロリスト (2001) Ticker
- DENGEKI 電撃(2001) Exit Wounds
- DAKKAN 奪還 -アルカトラズ-(2002) Half Past Dead
- GEKITETZ 撃鉄 -ワルシャワの標的-(2002) The Foreigner
- 沈黙の標的 (2003) Out For a Kill
- 沈黙の聖戦 (2003) Belly Of The Beast
- ICHIGEKI 一撃(2004) Out Of Reach
- クレメンタイン(2004) Clementine ※ビデオ作品
- 沈黙の追撃 (2005) Submerged
- イントゥ・ザ・サン(2005) Into The Sun
- 沈黙の脱獄 (2006) Today You Die
- 沈黙の傭兵 (2006) Mercenary For Justice
- 沈黙の奪還 (2006) Shadow Man
- 撃鉄2 -クリティカル・リミット-(2006) Black Dawn ※ビデオ作品
- ドラゴン・スクワッド(2006) 猛龍 Dragon Squad ※製作総指揮のみ
- Attack Force(2006) ※日本公開待機作
- Flight Of Fury(2007) ※日本公開待機作
[編集] 日本語吹替えを担当する声優
- 大塚明夫:(主にテレビ版。最近はビデオ版も担当)
- 玄田哲章:(主にビデオ版、ワーナー・ブラザーズ配給のものが多い)
- 津嘉山正種:(初期のビデオ版)
- 屋良有作:(初期のビデオ版)
- 谷口節:(初期のテレビ版)
- 宇崎竜童:(『ハード・トゥ・キル』DVD版のみ)
セガール本人の声は、どちらかと言えばややか細く優しい感じで、その勇ましい顔つきとは対照的である。そのためセガールの吹き替えをする声優を選ぶのは難しかったようで、初期の頃は本人の声に印象の似た声優が選ばれていたが、役柄とのギャップがあったためか、最近では「顔」に合った声優が担当している。
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