ズワイガニ
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ズワイガニ | ||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Chionoecetes opilio(Fabricius, 1788) | ||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
Queen crab Snow crab |
ズワイガニ Chionoecetes opilio は、エビ目・カニ下目・クモガニ科に分類されるカニ。深海に生息する大型のカニで、重要な食用種でもある。
目次 |
[編集] 特徴
オスの甲幅は最大15cmほどだが、メスはその半分くらいの大きさである。メスが小さいのは、短期間に産卵、抱卵、幼生放出を繰り返すので脱皮ができないためといわれる。オスとメスの大きさがあまりに違うためか、多くの地域でオスとメスに別の名前がつけられている。エチゼンガニ、マツバガニ、ヨシガニ、タイザ(タイザガニ)などはオスを指し、メガニ、オヤガニ、コッペガニ、コウバコガニ、セコガニ、セイコ(セイコガニ)、クロコなどはメスを指す。
体色は全身が暗赤色をしている。甲羅は三角形で、鋏脚と第5歩脚は短いが第2-4歩脚が長く、大きなオスが脚を広げると70cmほどになる。
山口県以北の日本海と、茨城県以北からカナダまでの北太平洋、オホーツク海、ベーリング海に広く分布する。
水深50m-1200m ほどの砂泥底に生息するが、おもな生息域は水深200-600mほどの深海である。食性は雑食性だが肉食が強く、貝類や多毛類などを捕食する。
[編集] 陸揚げ漁港
食用として重要なカニで、冬になると生息地の沿岸で多量に漁獲される。
2002年度(平成14年)の漁獲量
[編集] 食材
冬の味覚として人気が高い。体色は暗赤色だが、熱を加えると赤くなる。塩茹でや蒸しガニなどで食べられ、缶詰などの原料にもなる。上品で甘みがある肉とこってりした味の中腸腺(カニミソ)、メスの卵巣(内子)も食用にする。
甲羅によく付着している黒いつぶつぶはカニビルの卵で、これが付着しているカニは脱皮後の時間が長いことを示しており、身入りが良いとされる。農林水産省の発表によると北海道沖日本海産のベニズワイガニから 60pg-TEQ/g を超えるダイオキシン類が検出されており、食の安全と安心を守るためにも妊婦のカニミソの摂取を制限するなどリスク管理された食材への利用が望まれる。
[編集] 観光産業と蟹
蟹は冬の味覚の王様といわれるほど人気が高い食材であり、関西地方では、旅行代理店などが温泉地と結びつけた蟹ツアーを商品として扱っている。北近畿・北陸には蟹需要によって発展した温泉地も多い。これらの温泉地は蟹需要により冬場に最も集客が見込める。
ただし、これらの大量消費地の蟹は冷凍であることが多いため、本格的な蟹料理を求める消費者の声も高く、浜坂・香住・浦富などの港町の民宿・旅館も次第に広く知られるようになった。また、間人・津居山・佐津・柴山などの漁港で水揚げされた蟹がブランド化される現象も起こっている。これらの蟹は、脚に色違いのタグを取り付け、偽物の流通を防ぐ対策をしている。
地域ブランドの一例
- 松葉ガニ
- 越前ガニ
- 間人ガニ
- 津居山ガニ
国内で漁獲されるだけではなくロシア等からも輸入されている。
[編集] 近縁種
- ベニズワイガニ Chionoecetes japonicus Rathbun, 1932
- ズワイガニとよく似ているが、分布域は日本近海に限られ、生息する水深も500-2700mと深い。和名のとおり体が赤く、他にもズワイガニに比べると甲羅が丸く、脚が平たい。ズワイガニと比較すると若干味は劣るとされるが、食感は繊細で甘みがあり、価格も手頃であることから人気は高い。(香住港(兵庫県美方郡香美町)で水揚げされるベニズワイガニは、「香住ガニ」と呼んでいる。)
- なお、両種が生息する水深700mほどでは、両種の交雑個体とみられる個体も報告されている。