ソブリン金貨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ソブリン金貨 (Sovereign) とは、イギリス発行の1ポンド金貨の名称である。ソベリン金貨ともいう。
直径22mm、重量7.98805g(123.27447グレイン)、金純度91.67%の標準金。通用最低重量は123.074グレイン以上。この金貨の価値は、当時の金の公定価格である、標準金1オンス=3ポンド17シリング10ペンス半に相当する。
イギリスが金本位制を採用した1816年貨幣法(55 GeorgeⅢ.c.68)で制定され、1817年から鋳造された、唯一の無制限法貨。以後、1917年まで国内流通用の貨幣として発行された。 一時楯と紋章の図案の物もあったが、セントジョージが竜を退治している図案がこのソブリン金貨の代表的な図案である。なお、当時のイギリス硬貨にはこの金貨を含め、ほとんどの硬貨に額面表示は無かった。 鋳造当時の表面肖像はジョージ3世であったが、以後ジョージ4世、ウィリアム4世、ヴィクトリア女王、エドワード7世、ジョージ5世、ジョージ6世、それに現女王エリザベス2世の肖像のものが、鋳造されている。
また、イギリス本国でだけでなく、広く英植民地でも流通したため、ロンドン以外にも、メルボルン、パース、シドニー、プレトリアなどで鋳造された。これらの硬貨には鋳造所を示すミントマークが刻まれ、判別を容易にしている。
長期間にわたって大量に鋳造され現存するので、この金貨もフランスのナポレオン金貨のように、地金型金貨に準じた扱いで取引されているが、ヴィクトリア女王のヤングヘッドタイプ以前のものについては、年号により非常に希少なものも存在し、高値で取引されている。
同様の金貨に、半ソブリン(10シリング)、2ポンド、5ポンドの各金貨があるが、2ポンドや5ポンド金貨は2ソブリンなどというような表現はしない。
なお、1974年からは、完全な地金型金貨として発行されており、現在も1ポンドの法定貨幣であるが、実際には金地金価格と連動した価格で取引されている。
この金貨をソブリン(君主)と呼ぶのは、1489年に発行されたの20シリング=1ポンド金貨に、当時の国王ヘンリー7世の肖像が刻まれていた事に因む。