タリア・グラディス
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タリア・グラディスはアニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の人物。(声:小山茉美)
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 個人データ
[編集] 劇中での活躍
ザフト所属で、C.E.73年に進水した新造戦艦ミネルバの艦長を務める。シン・アスカ、レイ・ザ・バレルをはじめとした若手クルーを纏め上げる艦長としての掌握力、圧倒的不利な状況での胆力、戦局に応じた判断力に優れ、クルーからの信頼も篤い。ちなみに彼女がミネルバの艦長に就任した件に関しては、一部からは色仕掛けをしたという陰口をたたかれていた。(小説一巻参照)また、その噂の度合いは彼女自身地球にまで届いているのかと思うほどである。(小説二巻参照)更に小説におけるオーブ入港時、ウナト・エマ・セイランを大ダヌキと称し、カガリとは正反対に全く信用していなかった。この時、アスランとカガリの関係においても、戦犯の息子と代表首長のロマンスは複雑すぎるととらえていた。
劇中において男の子と一緒に写った写真を艦長室の卓上に飾っており、後のタリア自身の発言によってこれが彼女の息子であることが解っている。また、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルとはかつて恋仲であったことを示す回想があり、肉体関係を示唆するシーンも劇中で描かれている事から、彼への未練もまだ残っているようである。タリア自身も身勝手であるという自覚があったらしい。
先の大戦、特に第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦において疲弊したプラントが、指導者としてデュランダル議長の元で約2年の歳月を経て行なわれた国家再建によって復興し、戦後の就航第一号として建造された戦艦ミネルバの艦長に任命される。
その進水式のためにアーモリーワンを訪れていた際、大西洋連邦のファントムペインによる新型モビルスーツ強奪事件に遭遇し、アーモリーワンはコロニー内部で戦闘状態となる。コロニー外壁を破壊して逃走する強奪部隊を追撃したインパルスを追うように、成行きで乗艦していたデュランダル議長、オーブ代表カガリ・ユラ・アスハとその護衛として同行していたアスラン・ザラを艦に乗せたまま、タリアは進水式前のミネルバを緊急発進させ、追撃を開始する。ファントムペインの母艦であるコード名「ボギーワン」(戦艦ガーティー・ルー)を追撃するも、ファントムペイン隊長のネオ・ロアノークのけれん味ある作戦や連合のエクステンデッドのMS戦闘力によりミネルバは苦境に陥るが、アスランの助言もあり、持ち前の決断力によって辛くも苦境を脱することに成功する。しかし、艦の被害も大きく、ボギーワンの逃走は許してしまう結果となる。
旧ザラ派の残党によるユニウスセブン落下事件(ブレイク・ザ・ワールド)に際し、デュランダル議長を友軍艦へ移送後、地球への降下を行いつつ艦首砲による粉砕作業と言う難行を指示する。この時はイザーク・ジュールが指揮する破砕工作班の作業支援として出撃していたシンのインパルス、アスランのザクウォーリアが所在不明の未帰還であり、艦首砲の巻添えとなる惧れがあったものの、地球への被害拡大阻止を優先し、苦衷の表情で艦首砲の発射を命じている。
大気圏降下中にインパルス、ザクの2機を回収した後、アーモリーワンの混乱によって乗艦することになったカガリ、アスランの2名を送り届けるために、ミネルバをオーブへ向かわせる。オーブではカガリの好意により補修及び補給が行なわれたが、この時にオーブでモルゲンレーテ社造船課Bのマリア・ベルネスと名乗ったマリュー・ラミアスと邂逅を果たす。
オーブ出航後は地球連合軍との戦闘を経てザフト軍カーペンタリア基地へ向かう。カーペンタリアにおいて、FAITHに任命されたアスランがデュランダル議長の命を受けてミネルバに合流すると共に、タリア自身もFAITHに任命される。この頃から、タリアは議長の意図を理解しかねて疑問視する傾向になり始める。
その後ガルナハン、マルマラ海、クレタ沖とミネルバと共に転戦し、ジブラルタル基地へ向かう。オーブが地球連合軍として参戦すると同じくしてアークエンジェルが戦闘へ介入してくるが、先の大戦の英雄的人物であり、同じ女性艦長としてまだ見ぬ(実はオーブで会っているが)ラミアス艦長に対し尊敬にも近い思いを持っていたが、艦やパイロットに人的被害が発生するにおいて、苦悩しながらも遂にはアークエンジェル攻撃の命令を下すことになる。
アークエンジェル追撃戦においてシンがフリーダムを撃墜し、ヘブンズベース戦での功績により議長権限にてレイ・ザ・バレルと共にFAITHに任命されたこと、同時期にロゴス討伐の命令がデュランダルより下ったこと、そしてアスランがメイリン・ホークと共にグフイグナイテッドで軍を脱走し、レイと共に追撃に向かったシンにより撃墜されたことなど、タリアの身の回りで説明も無くデュランダルが手を回している事が多数発生した事により、デュランダルに対する疑念を深めていくが、その真意を問いただすことも出来ず、沈鬱な想いで過ごすことが多くなる。
ロゴス討伐におけるヘブンズベース攻略の後、ヘブンズベースから一人逃亡したロード・ジブリールを追ってオーブへ転進する。オーブがジブリールの身柄引渡しを拒んだため開戦となるが、アークエンジェルと再び対峙、マリュー・ラミアスとの激戦を繰り広げるものの、お互いに決定打なく撤退する。撤退の際、ジブリールがオーブからシャトルで脱出した事により、今回の作戦はオーブ討伐ではなくジブリールの身柄確保(生死を問わず)であるとして、戦闘の停止を決断している。しかし本当の撤退した理由はジブリール討伐という大義名分の裏にオーブを討伐する目論見がデュランダルにあったことが彼女にはわかっていたからである。彼女にとってオーブに対する思いはマルマラ海、クレタ沖での戦闘で多大な損害を被るものの、カガリの好意により補修及び補給が行なわれるなど、決して悪い感情は持っていなかった。また小説版4巻では今までの身の回りの件でデュランダルが裏で手を回していることに対するささやかな反抗だと描かれている。
ジブリールを追って宇宙に上がるが、地球連合軍の月面ダイダロス基地に建造されたレクイエムによってプラント本国が攻撃されると、ダイダロス基地攻略の強襲作戦を指揮、モビルスーツ部隊の活躍もありこれを制圧することに成功する。
レクイエム制圧後にデュランダルによって全世界に対しデスティニープランが発表されると、その内容や、反抗の動きを見せた大西洋連邦の月面アルザッヘル基地へのレクイエムによる攻撃を含めたデュランダルのやり方に対し戦慄を覚える。
大量破壊兵器の行使に対し結集した三隻同盟によるレクイエム及びメサイア攻略に対しその防衛に参加、またもアークエンジェルと激戦を繰り広げるが、敵艦のトリッキーな戦法とアスランのインフィニットジャスティスが放ったファトゥム-01によりミネルバはメインスラスターを破壊され月面に不時着、戦闘不能となりタリアは総員に退艦を命じる。その後、副長のアーサー・トラインにクルーのことを頼み、自分は単身メサイアに向かう。
タリアが駆けつけた時、デュランダルに対しキラ・ヤマトが銃口を向け、この世界を、生きる未来を、キラがデュランダルに語っている場面であった。同じくメサイア内にたどり着いたレイがそのキラの言葉を聴き、これまでレイにとって絶対的存在であったデュランダルはそのレイにより撃たれる。撃たれて傷ついたデュランダルに近づき、同じく駆けつけてきたキラ(FINAL PLUSではキラとアスラン)に対し、男児がいる事と、いつかマリューに会って貰いたいと言う伝言を遺言として残し、二人が去った後、微笑みながら瀕死のデュランダルと、泣き崩れるレイを母親の様に優しく抱きしめながら、崩壊するメサイアの爆炎の中に消えていった。