ダイノボット
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ダイノボット(Dinobots,Dinobot)はタカラ(現:タカラトミー)のロボット玩具シリーズ『トランスフォーマー』(以下TF)に登場する架空の部隊名および人物。シリーズを通し、おもに恐竜に変形するキャラクターにその名が使われる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] ダイノボット部隊/Dinobots
『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』にて恐竜メカに変形するサイバトロンの部隊として登場。玩具はダイアクロンの恐竜ロボの流用。アニメでは地球の恐竜化石に触発されたホイルジャックが開発した。全員がロボットモードで飛行可能である。戦闘力は強大だが、「三度の飯より戦い好き(グリムロック談)」と自称するほど好戦的で、知能に難がある。「オレ、○○」と名前を言ってからしゃべる癖がある(例えばグリムロックだと「オレ、グリムロック」となる)。 スワープ以外の全員恐竜形態では特殊装甲により飛び道具を全て弾き返し合体兵士級の質量攻撃以外に対してほぼ無敵だが、ロボット形態では防御力が一段下がり、それを看破したメガトロンの号令による一斉攻撃の前に敗れた事もある。
[編集] メンバー
- 指揮官グリムロック(Dinobots Commander Grimlock 声:喜多川拓郎)
- 部隊のリーダー。ティラノサウルスに変形。他のメンバーと比して目立つ特技はないが、総合的戦闘力に優れ、最強を自負し傲慢。人間を蔑視していたが誉めそやしに弱くそこから協力することもあった。また、第29話「ダイノボットの逃亡 PARTⅡ/Desertion of the Dinobots 2」で窮地を救われたことから、カーリーの言うことは素直に聞き、コンボイのよりもカーリーの命令の方がいいと言うほどである。
- 「ザ・ムービー」ではチャーの誇らしげに語る武勇伝に聞きほれ、単純さ故にウィーリーと喧嘩するもすぐに仲間となった。
- 「2010」では性格が幾分か丸くなり、天真爛漫な愛嬌者の面が強く出てきている。単純さが図らずも解決の糸口となったこともある。一度事故で知能が飛躍的に向上したこともあったが、その結果、仲間のダイノボットたちを遠ざけてしまい、結局、自分が新たに作り上げた合体戦士に知能を譲り渡している。この合体戦士こそ、最強の頭脳を持つことで知られるコンピューティコンである。
- 「バイナルテック」では、敵の計略により、恐竜形態での制御を失った上に重傷を負ったが、どのような形であっても戦列への復帰を望むと訴え、フォード・マスタングに変型するボディに移植された。もともと問題児であった彼は、BT化の際にはフォード社の特殊車両開発部によく当り散らしていたという。
- また、現在日本での発売は未定だが「Transformers Classics」にて新規設計の玩具が発売された。
- 名前の由来は“grim(恐ろしい)”+“lock(錠前、この場合は鉤爪の意)”。
- 密林戦士スラージ(Demolitions Sludge 声:堀内賢雄、石井敏郎:2010時)
- ブロントサウルスに変形。脚力が強く地割れを起こし、同種の技を持つフレンジーをおののかせた。サウンドウェーブの心理分析では「最強の指導者に追従する」という結果だがメガトロンは「馬鹿」と評した。名は湿地帯での戦いを得意とする設定から“泥沼”や“ぬかるみ”を意味するsludgeから来ている。
- トリケラトプスに変形。口からの火炎放射の威力は灼熱ガスで「バーベキューにしてやる」と豪語したサンダークラッカーのお株を奪った。能力を使いこなせるようになった後は仲間に纏わり付くタールだけを蒸発させられるように。襟巻き部はビーム反射能力を備え攻守の釣り合いが取れている。サウンドウェーブの心理分析では「ひたすらに好戦的」だがメガトロンは「喧嘩好き」と評した。
- 「2010」ではグリムロックが死んだものと思われた時、リーダーになろうとする発言をしていた。
- slagの意味は“残滓、鉱滓”であり、そうなるまで溶かし尽くすという設定から。
- 砂漠戦士スナール(Desert-warrior Snarl 声:城山知馨夫、塩屋翼:2010時)
- ステゴサウルスに変形。スワープと共に先の三体の活躍から新造された。製作者のホイルジャック曰く「ソーラーエネルギーを充填させた時が真骨頂」だが、そうでなくとも戦闘能力は他のメンバーに遜色ない。尾のスパイクからのビームは撃墜にも使う。語源は“(野獣の)嘶き”であり、初代では唸るように自分の名前を叫んでいた。
- 砲撃戦士スワープ(Bombarder Swoop 声:塩屋翼)
- プテラノドンに変形。チップ・チェイスによるモチーフ選定の理由は変化をつけるため。それだけに飛行能力と合わさった戦闘能力に優れるが、肝心の翼部ミサイルを忘れた一幕もある。部隊の中では比較的知能は高く人懐っこい性格。
- 名は“降下、飛び掛って襲い来る”意味の単語から来ており、実際のプテラノドンの生態を踏まえた、TF全般でも傑作の部類に入る命名と云える。
[編集] 玩具
TFへの導入に際してボディカラーの青の部分が赤に変更されたが、スワープはそのままの色彩でアニメに登場。又、日米の安全基準の差異からスワープは嘴に先端の膨らみ(ファンの間では“温度計”と比喩される)がつけられ翼の角も丸みを帯びている。また左右対称になっているスナールの骨板(モチーフの配列がアシンメトリーとわかる完全骨格の化石が見つかるのは90年代)やスラージの変形モード名、そしてグリムロックの姿勢などに時代を感じさせる。
国内では残念なことに製造元トイボックスが許可しなかったせいでオメガスプリームが未発売なことからデバスターのライバルとして対峙するCFも流れ、声優陣の熱演もあり人気キャラとなった。
日本展開の『ヘッドマスターズ』まで登場したが、スナールとスワープは初代末期に絶版となっている。
[編集] その後の作品に登場したダイノボット
- ビーストウォーズシリーズ
- 『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』および『ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー』では、特殊戦闘員ダイノボットが登場。こちらは部隊名ではなく個人名である。元はデストロンの一員であったが、メガトロンを裏切りサイバトロンに加わった。『メタルス』で戦死するが、後にメガトロンの手によりクローンである特殊戦闘兵メタルスダイノボットが作られた。詳細は各作品の項目を参照。名前の使用は商標登録を復活させるためであり、その後海外の玩具ではリアルビースト版と同形(金型は別)のGrimlock(function:Attack Specialist)が出ており「G1時代に名を馳せた戦列の要」というバイオカード記述から同一人物と判断でき、ビーストモードはより命名と合致する。タスマニアデビルとなるマクシマルズはSnarlだが関連は未詳。
- トランスフォーマー スーパーリンク
- 強襲員ダイノボット
- 恐竜型テラーコン。詳細は作品の項目を参照。
- メガダイノボット
- ティラノサウルス型のグリムロックとプテラノドン型のスワープが合体するサイバトロンの戦士。アニメ版には登場せず、玩具も日本未発売。単体でのデザインや変形機構はG1ダイノボットを意識したものとなっている。
[編集] 関連キャラクター
[編集] 前身
ダイアクロンでは時空を操るワルダーの新司令官、ブルースター将軍が中生代よりタイムスリップさせた恐竜の軍勢に対し、「目には目を」の定石に則り開発されたという設定の恐竜メカともなる新戦力。タカラのスタッフがラインナップに変化をつけるべく幼稚園児の生の声を聞き、できっこないとの回答に大人気なく発奮し開発したという逸話がある。それゆえか、ふんだんに取り入れられた鍍金パーツと手に持ち切れない程の武器で豪華な仕様となっている。尚、ダイアクロンの人間が操縦するメカ故に取り込まれた開閉式のコクピット部は、自我意識を有するTFへの転用時には合理的設定は特に付されなかった。
[編集] 後継
TFシリーズと同じくタカラが玩具を担当する『勇者エクスカイザー』には、ダイノボットの変形機構を流用したガイスター四将が登場。それぞれ元のデザインは、陸将ホーンガイスト=スラッグ、海将サンダーガイスト=スラージ、地将アーマーガイスト=スナール、空将プテラガイスト=スワープである。しかしこれらの玩具は発売されておらず、現在でもダイノボットを流用しての再現をというファンの声も多い。各キャラクターの詳細は作品の項目を参照。