ティホン・フレンニコフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
![]() |
クラシック音楽 |
---|
作曲家 |
ア-カ-サ-タ-ナ |
ハ-マ-ヤ-ラ-ワ |
音楽史 |
古代 - 中世 |
ルネサンス - バロック |
古典派 - ロマン派 |
近代 - 現代 |
楽器 |
鍵盤楽器 - 弦楽器 |
木管楽器 - 金管楽器 |
打楽器 - 声楽 |
一覧 |
作曲家 - 曲名 |
指揮者 - 演奏家 |
オーケストラ - 室内楽団 |
音楽理論/用語 |
音楽理論 - 演奏記号 |
演奏形態 |
器楽 - 声楽 |
宗教音楽 |
メタ |
ポータル - プロジェクト |
カテゴリ |
ティホン・フレンニコフ(Tikhon Nikolayevich Khrennikov 〔Тихон Николаевич Хренников〕, 1913年6月10日 オルロフ州イェレツ - )はソ連の作曲家。
芸術家としての力量よりも、政治的な才覚や権勢欲によって有名になったが、交響曲とピアノ協奏曲(各3曲)や、ヴァイオリン協奏曲とチェロ協奏曲(各2曲)のほか、歌劇、オペレッタ、バレエ音楽、室内楽、機会音楽や映画音楽を残している。
偽書とほぼ確定している『ショスタコーヴィチの証言』には、フレンニコフに関する尾篭なアネクドートが収録されている。
目次 |
[編集] 生涯
少年時代にピアノを学ぶ。十代でモスクワに移り、グネーシン音楽大学でミハイル・グネーシンとイェフライム・ゲルマンに1929年から1932年まで師事。その後は1932年から1936年まで、ヴィッサリオン・シェバリーンに作曲を、ゲンリフ・ネイガウスにピアノを師事。最初のピアノ協奏曲は在学中の作品であり、最初の交響曲は卒業制作であった。
1948年にアンドレイ・ジダーノフによってソ連作曲家同盟の書記長に任命され、1948年度ソ連作曲家同盟総会の席上でプロコフィエフとショスタコーヴィチに名指しで「形式主義者」の烙印を押し、その後も在任中に両大家を激しく譴責したことにより、こんにちフレンニコフに対する評価はすこぶる悪い。また、いかさまの選挙によって、ソ連崩壊までその書記長職に居座った。その一方で、その地位を有意に用いて、国内の作曲家を擁護し、援助したとの証言もあり、プロコフィエフとショスタコーヴィチが1950年にスターリン賞を授与されたのも、フレンニコフの弁護あればこそであった。
1960年代に演奏会場に復帰し、自作のピアノ協奏曲を演奏した。ヴァイオリニストのレオニード・コーガンやチェリストのムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、ピアニストのエフゲニー・キーシンの協力を得て、自作の協奏曲を録音している。1980年代に入って再び精力的に作曲活動に復帰し、《交響曲 第3番》では、かつて糾弾した音列技法を用いている。1994年に上梓された回顧録(ISBN 5714005635)は、ソ連時代の秘密文書が公開されているとの触れ込みであった。
[編集] 作品
[編集] 交響曲
- 交響曲第1番 変ロ長調 作品4(1933-35)
- 1. Allegro
- 2. Adagio molto espressivo
- 3. Allegro molto
- 初演:1935年10月11日
- 演奏:G・セバスティアン指揮モスクワ放送響
- 交響曲第2番 ハ短調 作品9(1940-42、改訂:1944)
- 1. Allegro con fuoco
- 2. Adagio
- 3. Allegro molto
- 4. Allegro marziale
- 初演:1943年1月10日
- 演奏:N・ゴロヴァーノフ指揮モスクワ放送響
- 交響曲第3番 イ長調 作品22(1973)
- 1. Fugue: Allegro con fuoco
- 2. Intermezzo: Andante sostenuto
- 3. Finale: Allegro con fuoco
- 初演:1974年3月11日
- 演奏:スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立響
[編集] 管弦楽曲
- 劇音楽『Mik』のための組曲 作品3(1934)
- 初演:1934年5月、モスクワ子供劇場
- 劇音楽『ドン・キホーテ』(翻案:M・ブルガーコフ)組曲 作品10(1941)
- 初演:1941年4月8日、モスクワ・ヴァフタンゴフ劇場
- 劇音楽『誕生日』(1944)
- 初演:1945年2月11日、モスクワ赤軍中央劇場
- 3つの小品(ヴァイオリンと管弦楽のための) 作品26(1983)
- 初演:I・オイストラフ
[編集] 協奏曲
- ピアノ協奏曲第1番ヘ長調 作品1(1932-33)
- 1. Allegro
- 2. Andante. Allegro
- 3. Andante - Molto Allegro
- 初演:1933年6月21日
- 演奏:N・アノーソフ指揮モスクワ音楽院学生オーケストラ、フレンニコフ(ピアノ)
- ヴァイオリン協奏曲第1番 ハ短調 作品14(1958-59)
- 1. Allegro con fuoco
- 2. Andante espressivo
- 3. Allegro agitato
- 初演:1959年10月21日
- 演奏:コンドラシン指揮モスクワ放送響、L・コーガン(ヴァイオリン)
- チェロ協奏曲第1番 ハ短調 作品16(1964)
- 1. Prelude: Andante (alla breve)
- 2. Aria: Andante espressivo
- 3. Sonata: Allegro con fuoco
- 初演:1964年10月21日、モスクワ
- 演奏:G・ロジェストヴェンスキー指揮モスクワ放送響、ロストロポーヴィチ(チェロ)
- ピアノ協奏曲第2番 ハ長調 作品21(1972)
- 1. Introduction: Moderato
- 2. Sonata: Allegro con fuco
- 3. Rondo: Giocoso
- 初演:1972年2月8日
- 演奏:スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立響、フレンニコフ(ピアノ)
- ヴァイオリン協奏曲第2番 ハ長調 作品23(1975)
- 1. Allegro con fuoco
- 2. Moderato
- 3. Allegro moderato con fuoco
- 初演:1975年2月24日
- 演奏:バルソフ指揮ヤロスラヴリ響、L・コーガン(ヴァイオリン)
- ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 作品28(1983-84)
- 1. Moderato. Allegro. Andante
- 2. Moderato
- 3. Allegro molto
- 初演:1983年4月10日、モスクワ
- 演奏:スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立響、フレンニコフ(ピアノ)
- チェロ協奏曲第2番 作品30(1986)
- 1. Adagio
- 2. Con Moto
- 初演:1986年4月1日、モスクワ
- 演奏:スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立響、ホミツェル(チェロ)
- ピアノ協奏曲第4番(ピアノと弦楽オーケストラ、打楽器のための) 作品37(1991)
[編集] 室内楽曲
- 弦楽四重奏曲第1番
- 弦楽四重奏曲第2番
- 弦楽四重奏曲第3番 作品33(1988)
- 舞曲(チェロ、ピアノ) 作品26
- チェロ・ソナタ 作品34(1989)
- 1. Andantino maestoso
- 2. Andante molto espressivo
- 3. Allegro con fuoco
- 木管楽器のための5つの小品 作品35(1990)
[編集] 器楽曲
- ピアノのための5つの小品 作品2(1933)
- ピアノのための3つの小品 作品5(1935)
- 1.肖像
- 2.ブリアル
- 3.舞曲
- ピアノのための5つの小品 作品38(1992)
- 6つの子供のための小品 作品42(2002)
[編集] 声楽曲
- プーシキンの詩による3つのロマンス 作品6(1935)
- 略奪するナチは殺されるだろう(1941)
- 戦争の勝利者は我々だ(1941)
- モスクワ娘の歌(1941)
- 友情の歌(1941)
- ロバート・バーンズの詩による5つのロマンス 作品11(1942)
- 別れ(1942)
- 北には良い町がある(1942)
- 新年(1942)
- みんなは祖国のために(1942)
- ウラルから来た男は偉大な戦士だった(1942)
- ソヴィエト連邦の歌(1943)
- ソンブ・オブ・ソング(1944)
- 我が家が待っている(1944)
- モスクワの窓(1960)
- 朝の歌(1960)
- 我らの祖国ソヴィエト(1964)
- ネクラーソフの詩による3つの詩曲(1970)
- シェークスピアによる3つのソネット(No.112、55、81) 作品32(1988)
- ネクラーソフの詩による3つの無伴奏合奏詩 作品36(1990)
- I・ブーニンの詩による5つのロマンス 作品39(1992)
[編集] バレエ
- 子供バレエ『私たちの中庭(幸せな子供時代)』全1幕 作品19(1970)
- 初演:1970年11月29日、ボリショイ劇場
- 愛のための愛 全2幕 作品24(1976)
- 初演:1976年1月30日、ボリショイ劇場
- 軽騎兵のバラード 全3幕 作品25(1978)
- 初演:1979年4月3日、キーロフ劇場
- 演奏:ゲルギエフ指揮キーロフ劇場管
- ナポレオン・ボナパルト 作品40(1994)
- 初演:1995年10月3日、クレムリン宮殿
- 大尉の娘 作品41(1999)
- 初演:1999年6月4日、中央子供劇場
[編集] オペラ
- 『嵐の中へ』全4幕 作品8(1936-39、改訂:1952)
- 初演:1939年10月7日、ネミローヴィチ・ダンチェンコ劇場
- コメディー・オペラ『親族のない義理の兄弟(フロール・スコベーエフ)』(1945-50、改訂:1966)
- 初演:1950年2月24日、モスクワ・スタニスラフスキー=ネミローヴィチ-ダンチェンコ音楽劇場
- 母 全3幕 作品13(1952-57)
- 初演:1957年10月26日、ボリショイ劇場
- 100の悪魔とたった一人の少女(オペレッタ) 全3幕 作品15(1962-63)
- 初演:1963年5月16日、モスクワ・オペレッタ劇場
- 白夜(オペレッタ) 全3幕 作品17
- 初演:1967年11月23日、モスクワ・オペレッタ劇場
- 安値生まれの娘の夫
- 子供オペラ『その少年は巨人だ』全3幕 作品(1968-69)
- 初演:1969年12月19日、国立モスクワ子供劇場
- 心の周りの多くの騒動 全3幕(1972-73)
- 初演:1973年3月11日、モスクワ室内劇場
- ドロテア 全2幕 作品27(1982-83)
- 初演:1983年5月26日、モスクワ・スタニスラフスキー=ネミローヴィチ-ダンチェンコ音楽劇場
- 黄金の孔子 作品29(1984-85)
- 初演:1985年3月20日、 モスクワ・スタニスラフスキー=ネミローヴィチ-ダンチェンコ音楽劇場
- 裸の王様(コミック・オペラ) 作品31(1988)
- 初演:1988年4月30日、マールィ劇場
- ワンダー、オー、ワンダー(ミュージカル)(2001)
- 初演:2001年12月8日
[編集] 映画
- 『勝利の帰還』(1941)
- 『猪と羊飼い』(1941)
- 『彼らはモスクワで会った』(1942)
- 『戦争の後の午後6時』(1944、1952)
- 監督:イワン・プィリエフ
- 『東方面に行く列車』(1947)
- 『ドネツクの坑夫』(1950)
- 『金の星の騎士』(1951)
- 『真実の友人たち』(1953)
- 『大尉の娘』(1958)
- 『軽騎兵のバラード』(1961)
- 『アルセヌィの仲間』(1964-65)
- 『ノー・パスワード・ネセサリー』原作:M・ゴーリキー (1967)
- 『母』(1968、1926年の無声映画の劇伴として)
- 『3』原作:M・ゴーリキー(1969)
- 『ルスランとリュドミラ』(1972)
- 『星と扇子』A・チャイコフスキーと共作(1973)
- 『結果論があなたを打った、おめでとうございます!』(1976)
- 『ドゥエンナ』(1978)
- 『私たちは時間によって選ばれた』(1978)
- 『南極の小説』(1979)
- 『マネー・ボックス』(1980)
- 『心臓手術』
- 『愛のための愛』(1983)
- 『二人の仲間』(1999)
[編集] 著作
『Так это было. Тихон Хренников о времени и о себе.』(Музыка.:1994.-207c)
[編集] 評伝
И.Е.Шехонина『Творчество Т.Х.Хренникова』(ソヴィエト作曲家社:1991)
[編集] 参考項目・外部リンク
カテゴリ: 1913年生 | 近現代の作曲家 | ロシアの作曲家 | ソビエト連邦の作曲家 | クラシック音楽関連のスタブ