ディズニーリゾートクルーザー
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ディズニーリゾートクルーザーは、東京ディズニーリゾート(Tokyo Disney Resort)内を運行する送迎バスである。料金は無料。つり革などがミッキーマウスの形をした特注車両(日野自動車製 日野クラシック・RJ1JJ1改)を使用している。
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[編集] 生い立ち
2001年7月のディズニーリゾートライン開業前には、各オフィシャルホテル~TDL間にシャトルバス「ホテル循環線」が走っていた。これは東京ベイシティ交通が貸切免許で運行していたもので、3扉の一般路線車同様の車両であった。また、朝夕は各ホテル所有の自家用バスがTDL~ホテル間に運行された。また、ディズニーアンバサダーホテルも開業と同時に自家用バスでホテル~TDL間の運行を開始した。
しかし、ディスニーリゾートライン開業を機に運行形態は大きく変わった。オフィシャルホテル~パーク間はホテル~ベイサイド・ステーション駅のリゾートクルーザーとリゾートラインの乗り継ぎが原則となった。このため、ディズニーホテル宿泊者には宿泊日数分のリゾートラインの乗車券が手渡される(以前はオフィシャルホテルでも同様のサービスを行っていたが、現在はディズニーホテル独自のサービスとなっている)。しかしながら、サンルートプラザ東京に関してはTDLとの距離が近く、ベイサイド・ステーション経由になると宿泊者の利便性が損なわれるためバスの運行が存置された。また、ディズニーアンバサダーホテルもリゾートラインの駅から遠いため、バスによる送迎が続行された。サンルートプラザ送迎は利用者が多いことからホテル所有の3扉一般車による運行がメインとなっている。また、アンバサダーホテル送迎車は、開業以来ミッキーマウスのペイントを行った前中扉の中型一般車が運用されてきたが、宿泊者からリゾートクルーザーを希望する声も多く、まず1台がリゾートクルーザーに代替された。(余談ではあるが、この代替された1台は京成トランジットバスに売却され、舞浜駅からのオフィシャルホテル従業員輸送に使用された。)その後、2006年にもう1台も置き換えられた。
[編集] 営業車と自家用車
「ディズニーリゾートクルーザー」は、「緑ナンバー」の営業車と「白ナンバー」の自家用車の2種類に大別される。
緑ナンバー(事業用車両に付けられている緑地白字のナンバープレート)の車両は、東京ディズニーリゾートを経営・運営するオリエンタルランドの関連会社「京成トランジットバス」所有で、各ホテルが費用を支払って借り切って運行しているため、貸切登録の緑ナンバーとなっている。この車両は前中扉で中扉は4枚折戸のワンステップ車である。(胴体のミッキーの部分にメインのドアがある。)中は乗車距離が短いこともあり、FRP製のクッションのない座席が長手方向についており、吊革もある。
一方、白ナンバー(自家用車両に付けられている白地緑字のナンバープレート)の車両は、各ホテルが独自に所有しており、運行管理を「大新東」が請け負っているため、白ナンバーのままになっている。オフィシャルホテル所有車は原則としてJR舞浜駅と各ホテル間や、深夜・早朝など緑ナンバーの車両が運行しない路線・時間帯、または宴会客など特別な事情による送迎に利用されている。このため、東京駅付近など都内を走行する姿を目にする事もある。
車両自体はトップドアのツーステップ車で、シートベルト付き前向きの座席が数多く並んでいる。(胴体のミッキーの部分にドアがない。)各ホテル1台ずつの所有であるため、車検等の代車で各ホテルの所有する通常車両や大新東の緑ナンバー一般車(TDRキャスト輸送用等)が代走する場合もある。
通常は各ホテルごとに1台のバスが割り当てられ、ホテルと「ディズニーリゾートライン」ベイサイド・ステーションの間(詳しくは下記を参照)を運行している。かつてのシャトルバスのように時間は決まっておらず、ドライバー自身の判断で動かしているようである。また、ドライバーは2時間おきに交代、バスは半日で交代しているようである。
ディズニーアンバサダーホテル所有車は、前中扉車が2台とトップドア1台である。ホテル開業時から稼働していた通常車両2台は売却された。トップドア車はオフィシャルホテル所有車と同仕様であるが、前中扉車は緑ナンバー車とは内装が異なり、座席はクッションのあるモケット張であり、最後部はサロンカーのようにソファー状になっている。最新車はミッキーマウスの誕生日である11月18日にあやかり、希望ナンバーで「11-18」となっているほか、前中扉ながらツーステップ車となり、屋根上中央にエアコンのユニットが設置された他、座席配置や座席形状、素材の変更など数多くの変更点がある。特に最後部はソファー状の座席配置をやめ、通常の三方シートに変更された。これは、混雑時に積み残しが多発することから、収容力に主眼を置いたためと思われる。なお、この車両はツーステップながら、中扉には車いす用リフトも設置されており、中扉正面の座席3席分は車いす固定スペースとして跳ね上げ式になっている。
ディズニーアンバサダーホテルと各パークを結ぶバスは時刻表に従った運行であり、朝と夜は10分間隔、日中は15分間隔である。TDL→ホテル→TDS→ホテル→TDL…のように「8の字」運行が基本であるが、「ホテル利用者専用」なのでホテルを越えての乗車はできない。これは、アンバサダーホテル利用者がTDS~TDLを移動する場合はリゾートラインの乗車券を所持しているため、リゾートクルーザー利用者はホテルで降りる必要のある者しかいない、との考えによる。ただし、運行開始当初はホテル→TDS→TDL→ホテルの循環運行であった。(ただし、リゾートクルーザー導入前の話である。)
運行は各ホテルとも「大新東」に委託している。大新東は、以前からオリエンタルランドのキャスト(従業員)輸送バス(両パーク内のバックステージ内循環、および早朝・深夜の浦安駅~TDR)の運行をしている。余談であるが、前述のキャスト輸送バスは当初はオリエンタルランド所有の自家用(白ナンバー)車の運行管理業務の受託であったが、現在は車両も大新東所有の営業車となり特定免許で運行している。その関係もあり同社は舞浜営業所を東京ディズニーリゾートの隣接地に設置している。
[編集] 路線
東京ディズニーリゾート公式ホームページには「ルートA」と「ルートB」が路線として掲載されている。東京ディズニーランド・東京ディズニーシーとディズニーアンバサダーホテルとを結ぶのが「ルートA」、ディズニーリゾートラインのベイサイド・ステーション駅と5つのオフィシャルホテルを結ぶ「ルートB」である。
「ルートA」はディズニーアンバサダーホテル所有の自家用車(白ナンバー)、「ルートB」は京成トランジットバス所有の営業車(緑ナンバー)で運行されている。
- 「ルートA」(ホテル利用者専用)※宿泊の他、宴会・物販・レストラン利用者を含む。
- 東京ディズニーランド - ディズニーアンバサダーホテル
- 東京ディズニーシー - ディズニーアンバサダーホテル
- 「ルートB」(利用者限定無し)
- ベイサイド・ステーション駅 - オフィシャルホテル
なお、ルートAには車検時の代車として大新東所有の一般車(TDRキャスト輸送用またはホテルマイステイズ舞浜・アパホテル&リゾート東京ベイ幕張送迎用等)が運用される事がある。かつては京成トランジットバスの一般車が運用に入った事もある。
また、東京ディズニーリゾート公式ホームページにも記述があるが上記運行区間以外に、各ホテル婚礼宴会利用客等の送迎用としても下記の区間が運行される。
- 東京ベイホテル東急 - 舞浜駅(平日午前・土日祝日)
- シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル - 舞浜駅(土日祝日)
- ホテルオークラ東京ベイ - 舞浜駅(土日祝日)
- ヒルトン東京ベイ - 舞浜駅(土日祝日)
※この場合は各ホテルが所有している通常車両での運行も含まれる。
また、特殊な例として下記の路線がある。
- サンルートプラザ東京 - 舞浜駅
- サンルートプラザ東京 - 東京ディズニーランド
- サンルートプラザ東京 - 舞浜駅 - 東京ディズニーランド - サンルートプラザ東京の循環運行。
この路線は、生い立ちの項でも述べた様に毎日運行ではあるが、ルート名も無く中途半端な扱いではある。しかし、路線としては一番歴史がある。
また、2003年頃まで、平日のみの運行ではあるが、シェラトンホテル所有車がホテルから浦安市内を経由してイトーヨーカドー新浦安店付近までの送迎を定期的に行っていた。これは、ホテルの飲食施設等の地元在住者利用を促進するためであったが、利用者が少ない事から廃止された。TDR内以外への定期運行はこの路線だけであった。
[編集] こぼれ話
日野自動車の中型バスがベースであるが、この車両は日本で初めて登場したバスの形式ということで、過去にいろいろな逸話が残っている。
- 新車なのにいきなりオーバーヒート。原因を調べてみると、ラジエーターとマフラーの位置が近すぎたからであった。
- (本当は違法なのだが、)定員を大きく上回る人数の乗客を乗せて走行したら、エアコンが全く効かず、ドライバーは雑巾で窓を拭きながら走らなくてはいけなくなってしまった。
- 回送中、燃料を満タンにしたら、燃料の重みで燃料タンクが落下してしまった。
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