つり革
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つり革(吊革、つりかわ)とは、電車やバスなどの乗り物で、立っている乗客が体を支える目的で握るために、上から吊るされている道具をいう。古くは革製のものもあったが、現在はプラスチック製のものが主流である。吊手ともいう。
列車におけるつり革のつかまり方は、本来は列車の進行方向を向いてつかまるのが正しいが、実際には進行方向に平行する向き(レールと平行の方向)でつかまる者が多い。
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[編集] 握り部の形状による分類
- 丸型
- 三角型(通称、おにぎり型)
丸形よりも三角型の方が握りやすいため、近年は三角型の割合が増えてきている。三角型は家庭用アイロンの握り手をヒントに開発された。ただ、丸形は輪を回転させることで直前の利用者が握った場所を避けられるという理由で、丸形を好む利用者も少なくない。また、丸形は持ち手が列車の進行方向と平行に設置されることが多いのに対し、三角型は垂直に設置されることが多い。
[編集] リコ式
かつて、東京地下鉄道→帝都高速度交通営団(営団地下鉄、現・東京メトロ)や京浜急行電鉄などにおいては、「リコ式」と呼ばれる独特の形状の吊手が使用されていた。
アメリカのリコ社で開発されたことからこの名前があり、吊る部分が金属のバネ構造になっていて、普段は握る部分がバネの力で車体の外側を向くようになっていた。乗客がつかまった際に、バネであるため安定性が保てるという利点があったが、乗客が手を離した際に本人や他人の頭にぶつかるケースが多々発生したため、苦情により廃止された。
[編集] ドアスペース上のつり革
通勤形電車においては、ドアスペース上のつり革をどのように設置するかがしばしば課題になる。というのは、つり革を設置した場合、混雑時にはつり革を持つ乗客が壁のような形でスムーズな乗降を妨げる可能性があるためである。国鉄・JRはこの点について長らく「邪魔になるつり革を極力設置しない」という方針をとっていた。国鉄時代の101系や103系では進行方向と平行にはつり革を設けず、それを横切る形で高いつり革を取り付けていた。その後の形式ではドアスペースのつり革自体を設置していないものもあった。しかし、走行時につかまるところが何もないことを不安視する意見が増え、後に改造して高めのつり革を取り付けている。JR九州の813系の一部車両や817系では、ドアスペース上のつり革を円形に配置することで混雑の緩和を試みている。
他の大手私鉄などでは、出入りする際に頭に当たらないよう、高めのつり革を進行方向と平行に設置している例が多い。京阪電気鉄道では「持たないときはバネで跳ね上がるつり革」をこのスペースに設置した形式がある。これは手で持つときには長く伸びるため、高さの高いだけのつり革に比べて持つのが楽である。このつり革は京阪が特許を取っているため、同社でしか見られないものである。
[編集] 外部参照リンク
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