トランザクションモニター
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トランザクションモニター(トランザクションマネージャ)とは、各種通信プロトコル上のセッションとその上に流れるシステムとデータベース間での処理最小単位群であるトランザクションを監視し、その一貫性を保持する役目を担うトランザクション管理ミドルウェアのこと。
[編集] 概要
各種システムにおいて、ユーザ及びアプリケーションとデータベース間の最小処理単位群であるトランザクションに必要な一貫性・永続性・独立性・アトミック性(ACID特性)を保持する役目を担う。
例えば、TCP/IPにおけるトランザクションモニターとして最小限必要な機能としては、個々のTCP/IPレベルのセッションが、どのユーザ(あるいは端末から)のものであるかを判定し、単純なデータの送受信でしかない個々のデータのやり取り(send/ACK)を一貫性を持った一括りの処理単位として把握し、管理する事である。 当然、個々のセッションは、何らかの事由により切断される事も多く、その処理の再実行やロールバック、切捨てなどのトランザクションに付随する処理を担う。
[編集] 歴史
当初、トランザクションモニターの機能は各システム単位で作り込んでおり、その膨大な開発規模は、各種業務のコンピューティング化に大きな障害となっていた。
この煩雑な処理を個々のシステムで開発するのではなく、一つの体系化・製品化して売り出したのが、IBMのIMSやCICSである。IMSはアポロ計画における納品物管理に使用され、トランザクション管理体系やデータベースという概念をはじめて抽象的なものから現実に提供したものであり、階層型データベースを使って管理するTPMである。一方、1969年に登場したCICSについては、RDBMSであるDB2を使用している。なお、これらの製品をきっかけに、各汎用機ベンダーがそれぞれのOSに特化したトランザクションモニタを提供している。
IMSと同等の機能を提供してる汎用機のトランザクションモニターとしては、富士通のAIM(郵便貯金システムを念頭に開発)、NECのVIS及びVIS II(郵政省簡易保険システムを念頭に開発)、日立のXDM(日本国有鉄道(現JR)座席予約システムを念頭に開発)がある。
その後、進展したダウンサイジングによるUNIXサーバとTCP/IPの浸透、インターネットの広がりにより、このトランザクションモニターもオープン化/分散化され、各ベンダーから多くの製品が販売されるようになっている。
また、分散トランザクション規格であるCORBAのサポートも進んでいる。
オープン系トランザクションモニタの著名なものとしては、BEA社のTuxedoなどがある。 さらに、現在のWeb系システムの進展により、Webアプリケーションサーバに、このトランザクションモニターの機能が付加され、より一般的に利用されるようになっている。
[編集] 関連項目
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