ドリル (工具)
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ドリル(drill, drill bit)は、物に穴をあけるための切削加工の工具(切削工具)で、錐の一種である。丸棒の先端に切刃を付け、主にこれを回転させて穴あけを行う。螺旋(らせん)状の溝の切られたツイスト・ドリルや、時に切刃を付けた丸棒の片側半分を削り落としただけの半月ドリルや、この一種で直線状の溝を持ったガン・ドリルなどがある。 ツイスト・ドリルの先端には、チゼルと呼ばれる切刃の無い部分があり、正確に穴の位置を定めるためには、被削材にチゼルの幅よりも大きな径の円錐状の窪みを予め加工しておく必要がある。この作業は通常、「センタ打ち」などと呼ばれる。
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[編集] ツイスト・ドリル
[編集] 柄の形状
ツイスト・ドリルの柄(シャンク)には、主に以下の様な形状がある。
- ストレート・シャンク
- 円筒状の柄は、ストレート・シャンクと呼ばれ、この径は一般にはドリルの呼び径と同一寸法である。この柄を持ったドリルは、ストレート・ドリルと呼ばれる。
- エンドミル・シャンク
- エンドミル・シャンクは、ストレート・シャンクの一種であるが、呼び径とは異なる径の柄を持つ。エンドミルに於て一般的に用いられる、6mm、8mm、12mmといった径が使われ、コレット・チャックによる把握の際には有効とされる。
- テーパ・シャンク
- 円錐状の柄をテーパ・シャンクと呼ぶ。この形状の柄を持つドリルは一般にテーパ・ドリルと呼ばれるが、これは「テーパの付いた穴をあけるドリル」を意味するものではない。
[編集] 溝の長さ
- スタブ (stub ) - 穴の径に対して3倍以下の深さの、浅い穴に用いられる。
- レギュラー (regular ) - 穴の径に対して5倍以下の深さの穴に用いられ、これが標準的な溝長である。
- ロング (long ) 、エキストラロング (extra-long ) - これらは、穴の径に対して5倍より深い穴に用いられる。こうした非常に長いドリルを使用するには、「ガイド穴」と呼ばれるドリルを被削材に導き入れるための加工を予め施す必要がある。
[編集] チャック
- チャック(Chuck) - ドリル本体の錐部分の交換を容易にする器具。
金属などの深穴加工用ドリルでは、ドリル先端の切削点へ切削油が確実に届くようにするために、ドリルの内部に先端まで貫通したオイルホールを持つものがある。