バベル (映画)
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バベル Babel |
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監督 | アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ |
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製作 | スティーヴ・ゴリン ジョン・キリク |
脚本 | ギレルモ・アリアガ
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出演者 | ブラッド・ピット ケイト・ブランシェット ガエル・ガルシア・ベルナル 役所広司 菊地凛子 |
音楽 | グスターボ・サンタオラヤ |
撮影 | ロドリゴ・プリエト |
編集 | ダグラス・クライズ スティーヴン・ミリオン |
配給 | ギャガ・コミュニケーションズ |
公開 | 2006年10月27日 2007年4月28日 |
上映時間 | 142分 |
製作国 | アメリカ |
言語 | 英語・日本語・スペイン語・アラビア語 |
制作費 | $25,000,000 |
allcinema | |
IMDb | |
『バベル』(Babel)とは、2006年のアメリカの映画。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品。
2006年、カンヌ映画祭のコンペティション部門で上映され、監督賞を受賞。菊地凛子が米映画批評会議賞新人女優賞を受賞。日本公開は2007年GWを予定。菊池らの日本手話はきいろぐみが指導した。
目次 |
[編集] ストーリー
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の過去の作品、『アモーレス・ペロス』、『21グラム』と同じく、時間軸が複雑に交差する作品である。今回は、モロッコ、アメリカ・カリフォルニア州、メキシコ・ティファナ、そして東京・赤坂と、地域も広範囲に渡り、ある事件をきっかけに、以下の登場人物たちのそれぞれのストーリーが交差していく。
- ジャッカル対策に、父親から銃をもらった2人の兄弟。従妹の着替えの覗き見をめぐり口論などもするが、基本的には仲がよい。
- たがいに心の中に相手への不安を抱えながら、旅行でモロッコを訪れたアメリカ人夫婦。2人の子供はアメリカに置いてきている。
- メキシコにいる息子の結婚式を明日に控えた、メキシコ人の家政婦。しばらく逢っていない息子に逢うため、預かっている子供の世話をしてくれる人を見つけるため奔走するが、運悪く見つけられないまま、時間が過ぎていく。
- チエコは母親を失くし、父と二人暮しのろう者の女子高生。母親を失くした痛みが癒えないまま、父親にも心を開けない日々が続いている。やがてチエコの痛みは、性衝動、露出衝動につながっていく。
[編集] 出演
- ブラッド・ピット: リチャード
- ケイト・ブランシェット: スーザン
- アドリアナ・バラッザ: アメリア
- ガエル・ガルシア・ベルナル: サンティアゴ
- エル・ファニング: デビー
- 役所広司: ヤスジロウ
- 菊地凛子: チエコ
- 二階堂智: ケンジ(警視庁刑事)
- 小木茂光: チエコが誘惑する歯科医
[編集] 受賞歴
- カンヌ国際映画祭 監督賞
- ハリウッド映画祭 作曲賞、キャスティング賞
- ゴッサム賞 アンサンブル演技賞
- ナショナル・ボード・オブ・レビュー 作品トップ10
- アメリカ映画協会賞 作品賞トップ10
- ニューヨーク・オンライン映画批評家協会賞 作品トップ10
- サテライト賞 作曲賞
- ラスヴェガス映画批評家協会賞 作品トップ10
- サウスイースタン映画批評家協会賞 作品賞第7位
- ダラス-フォートワース映画批評家協会賞 作品賞第5位
- サンディエゴ映画批評家協会賞 アンサンブル演技賞 作曲賞
- フェニックス映画批評家協会賞 作品トップ10
- セントラルオハイオ映画批評家協会賞 作品賞第8位 作曲賞
- ゴールデングローブ賞 作品賞 (ドラマ部門)
- アカデミー作曲賞
[編集] ろう者社会での反応
この映画では、一部で日本の聾(ろう)者が採り上げられている(演じているのは聴者の俳優である)が、手話で行われる会話以外の音声日本語による会話部分に現時点で日本語字幕が付いていない為、日本の聴覚障害者はこの映画の中で日本の聾者を採り上げた部分に限って楽しむことが出来ない。本作の日本手話監修を担当した「きいろぐみ」を中心に、これを問題視する意見が大きくなり、日本語字幕を追加するよう要望する動きが広がっている。
また聴者が映像作品で聾者を採り上げることに特に敏感な一部の聾者と、それに同調する一部の聴者からは、本作そのものを「聾者に関する誤ったイメージを流布させる」として批判する意見も提出されている。これに関連し、手話を研究する社会学者の亀井伸孝は、聾者役を演じた菊地凛子が「使えるもの(手話)はどんどん使おうと思った」と発言したことを問題視し、自らのウェブサイトにおいて菊地凛子のこうした発言を「失礼で恥ずかしいこと」であると批判している。
菊地凛子のアカデミー賞ノミネートに関連し、聴覚障害者団体「デフユニオン」が受賞させないよう抗議活動を行った。