バルブトロニック
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バルブトロニック(Valvetronic)とはBMWが開発した可変バルブ機構の名称。吸気バルブのリフトを無段階に制御し、スロットルバルブを使わずに出力の調整を行う事を目的に開発された。電子制御によりアクセルの踏み込み量を検知し、電動モーターの駆動により、吸気バルブのリフト量を瞬時に可変制御できるため、優れたスロットルレスポンスが実現でき、全開時の吸気抵抗も減らす事が出来る。
部分負荷ではリフトを小さくすると、同時に作用角も小さくなり、VANOSでバルブタイミングの位相を進めると、吸気バルブを下死点よりも前に閉じることができるため、早閉じミラーサイクルと言えなくは無いが、BMWではミラーサイクルでは無いとしている。
安全対策として電子制御スロットルを装備しているが、エンジン始動確認後はスロットルは全開になり、故障時のみ作動する。また、マニホールド内に負圧が発生しないため、ブレーキブースター用の、電動バキュームポンプが装備されている。
また、バルブトロニックは現状の市販レベルの素材では超高回転に対応しきれないため同社のBMW・M5・BMW・320si・BMW・M3等では採用されていない。しかし、F1GPマシンでは同機構採用で2万回転までエンジンを回しているので技術的には材料などの問題のみと考えられ高回転エンジンに採用されるのはそう遠くないと思われる。
[編集] 他社での同様の機構
- スズキ (自動車メーカー)が2003年の東京モーターショーで2輪車用に3次元カムを用いたスロットルレスを可能にしたミラーサイクルエンジンを発表。
- 三菱自動車が2005年の東京モーターショーで次世代のMIVECとしてバルブトロニックと同様にスロットルレス運転を可能にしたMIVECを展示。
- 日本ピストンリングが2005年の東京モーターショーでスロットルレスを実現するCVVAと呼ばれる可変バルブ機構を展示。
- 日産自動車が2007年4月のニューヨークモーターショーでバルブトロニックと同様スロットルレス運転を可能にしたVVELと呼ばれる可変バルブ機構をV36型日産・スカイラインクーペに搭載することを発表。