ビル・オライリー
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ビル・オライリー (Bill O'Reilly、1949年9月10日 - )は、FOXニュースのニュース番組、ザ・オライリー・ファクター(東部時間夜6-7時)のメインキャスターである。ニューヨーク州ロングアイランド生まれのアイルランド系アメリカ人。ボストン大学大学院修士、ハーバード大学院修士。ABC及びCBSのニュース記者を経てFox News Network入社。多数のNYタイムスベストセラー著書。最新刊はCulture Warrior。
ザ・オライリー・ファクターは、2003年から2005年の間にアメリカ合衆国のケーブルネットワークで最も人気のあるニュース番組となっている。番組のモットーは「フェアーアンドバランスト」。ゲストに質問をはぐらかすこと(スピン)を許さないのでこの番組は「ノー・スピン・ゾーン」とも呼ばれている。番組開始以来誤報が一度もなかったことを誇りとしている[要出典]。その内容は中道保守的とされるFOXニュースのスタンスを反映したものになっており、番組の顔とされるオライリーは歯に衣を着せない発言で人気を集めている。しかしその強硬な意見にはリベラルからの批判も多い。番組の最後に視聴者からの投稿メールを採り上げるが、過激な反対意見も採り上げるフェアーな態度を保っている。
アメリカの現在の外交政策「民主主義を世界に広げる政策」、「共和党の連邦税一律引き下げ政策」を支持し、「環境保護の重要さ」を訴えている。国連の腐敗には批判的であり、不法移民の無制限な受け入れに反対している。同性愛カップルの正式「結婚」の承認、安楽死、麻薬合法化に反対している。妊娠中絶はできるだけ減らすことが望ましいと主張する。また、スピリチュアリティーの重要さを訴え進化論のほかにインテリジェント・デザインを学校で教えることに賛成の立場をとっている。政党登録はインディペンデント(中立)と称しているが、ニューヨークデイリーニュースによると1994年から2000の間、ニューヨーク州ナサウ郡で共和党員として登録していた事が発覚。その事が報道された翌年にインディペンデントに登録し直している。また、選挙において特定の候補者には票を入れるなと番組で声を上げる事もしばしあるが(主に性犯罪者への刑罰を厳しくする法案に反対する者に対してだが、大多数は民主党員)、共和党員に票を入れないよう主張した事は殆どない。それでも本人は「自分はインディペンデントだ」と何度も主張している。
ビル・オライリーが拠って立つスタンスは中産階級の「常識」である。すなわち法を遵守し、犯罪をにくみ、家族、子供、地域の人たちを大切にし、宗教を重んじると言う立場である。「クールエイドを飲むな」としばしば訴える。これはあるカルトの教祖がそのメンバーとともに南米ガイアナに引越しそこで900人以上に青酸カリ入りのクールエイドを飲ませ強制的に自殺させた事件にもとずいている。つまり盲目的に人の意見に従うなという警告である。
死刑廃止論者であるが、その理由は死刑は囚人の苦しみが被害者とその家族にくらべて軽すぎるというわけである。終身刑にして僻地におくることを提案する。またこんなこともあった。ユタ州の住人で妻が5人子供が20人いる多重婚者をインタビューした際には、多重婚の道徳的な問題には触れず、その男が州からその20人の子供の扶養補助を受けていることを激しく非難した。「自分勝手に何人もの妻をもち子供を産ませ、その子供の扶養に州民の税金を使うとは何事か」というわけである。
最近刊Culture Warrier (仮訳 文明の戦士)では現在米国ではTraditionalist(T) とSecular-Progressive(S-P)の間で熾烈な戦いが繰り広げられていると主張している。Tとは米国の建国の理念を重んじる伝統的な立場の人々、S-Pとは無宗教で過激に進歩的な人々を言う。S-Pとして財界のジョージ ソロス、ハリウッドのジョージ クルーニー、学界のジョージ レイコフ、団体としてACLU(アメリカ市民自由連合)などをあげている。
また、小児を対象とした性犯罪者を厳しく罰するための「ジェシカの法律」(フロリダで性犯罪者により残酷に殺されたジェシカ ランスフォードの事件に基ずいて名付けられた法律)を各州が批准するように、運動をすすめている(2007年3月1日現在42州が批准、ユタ州、バーモント州などが未批准である)。
なお、2004年10月13日、オライリーは Fox の元同僚からセクハラ疑惑で訴えられたが和解が成立している [1]。