ピエール・ジャンサン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
ピエール・ジュール・セザール・ジャンサン（Pierre Jules César Janssen, 1824年2月22日 - 1907年12月23日) は、フランスの天文学者。
1868年に太陽光の中にヘリウムのスペクトル線を発見した。これは、同じ年にイギリスのロッキャーの発見とは独立に行われた。また、日食を待たずに太陽のプロミネンスを観測する方法を発見した。
ジャンサンはパリに生まれた。父は有名な音楽家であった。数学と物理学を学び、シャルマーニュの高校などの教師になったが、天文観測隊の隊員として世界を飛びまわる生涯をおくった。1857年から数度、磁気偏差の研究のためにペルーにでかけた。1874年には金星の日面通過の観測のために日本を訪れ、12月9日に観測に成功した。（長崎市金比羅山（琴平山）に観測記念碑がある）。金星の日面通過は1882年のアルジェリアでも観測している。日食を追いかけてさまざまな土地に観測にでかけた。すなわちTrani(1867)、 南インドのグントゥール(1868)、 アルジェ (1870)、 Siam (1875)、カロリン諸島(1883)、 Alcosebre(1905)などである。1870年の観測では観測に加わるために普仏戦争でプロシア軍に包囲されたパリから気球にのって脱出した。1893年69才の時、大気の影響を軽減するためにモンブランの頂上付近で4日にわたって観測を行った。1875年からムードン天文台長になった。
1868年8月16日に行ったインドでの日食観察で、新しい元素のスペクトルを発見した。10月20日ロッキャーがイギリスで同じスペクトルを報告したのと同じ日にフランス科学アカデミーに報告した。そのスペクトルを示す元素は、ロッキャーによってヘリウムと名づけられた。
