ピンマナ
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ピンマナ (ပ္ယဉ္းမနားမ္ရုိ့, , Pyinmana)は、ミャンマーのマンダレー管区にある都市。同管区の砂糖精製の中心地で、材木取引の町。人口10万人(2006年)。
国土のほぼ中心に位置し、ミャンマーの最大都市であるヤンゴンの約600km北にある。
2006年、西の近郊にミャンマーの新首都ネーピードが誕生した。
[編集] 歴史
ピンマナはかつて太平洋戦争中、日本軍に支援されたビルマ独立軍(後にビルマ国軍と改称している)が基地をおき、士官の養成や練兵を行っていた地である。
ビルマ国軍は1945年日本軍に叛旗を翻し、連合軍側に立場を変えて戦い、ビルマの日本軍を破るにあたり大役を果たした。この後もピンマナはビルマ陸軍の拠点であり、「ビルマの勝利」の象徴的な地であった。
また近郊には1970年代後半から国立科学研究センターがあるなど、ビルマ政府とも深い関係があった。
[編集] 新首都建設
2003年夏より、ピンマナの西数キロの軍用地だった場所にミャンマーの新行政首都が建設されている。ミャンマー国家平和発展評議会は省庁・政府機関のヤンゴンからピンマナへの移転を2005年11月7日より開始し、トラックによる大移動が行われた。2006年初頭にはほとんどの政府庁舎がそろうことになっていたが、学校の不足から政府職員の家族はヤンゴンに残留したり往復したりする者もいる。また、行政首都には一般人は立ち入り禁止で、商人は商業地区に隔離されている。軍の司令部なども政府庁舎とは離れた地区に所在している。
ミャンマー政府は2006年3月の国軍記念日に、この首都地域を“王都”を意味するネーピード Naypyidaw、“Royal City”と呼ぶことを公式発表、10月10日には公式に遷都を発表した。(日本外務省ではネーピードー、日本の報道機関はネピドーと呼ぶことが多い)なお、ネーピードー(ネピドー)はビルマ語で、『首都』と言う意味を表す。
ネーピードへの首都移転の理由は、ミャンマー政府によれば「現在の首都ヤンゴンよりも国土の中心に近く、国民のニーズに応えるためにはより適切な位置にある」ということであるが、真意は不明確であり、いろいろな説が唱えられている。
- アメリカからその専制を批判されているミャンマーが、イラク戦争同様に侵攻を受けた場合、内陸に位置するネーピードは海に近いヤンゴンより占領されにくく、より戦略的に有利な位置にあるからだという見方。
- ネーピードはカレン州、シャン州、チン州など少数民族の多い州(ピーネー)に近く、内戦が起こった際にはやはり戦略上重要な位置にあるからだという説。
- 元首で上級大将のタン・シュエのお抱え占星術師の命令によるものだという説。2005年11月9日のマレーシアの英字紙、ニュー・ストレート・タイムズは『首都移転の影に占星術師』のタイトルの記事を掲載している。
- 軍事政権は都市部の市民を恐れているとの説。高い教育を受けた国民や海外留学から帰った国民の増加により、そういった人々の多く住むヤンゴンで市民運動や革命が起こることを軍事政権は危惧している。それゆえ、政権中枢をネーピードに移転させ政権の強い地盤とし、革命が起こっても早期に鎮圧できる拠点としようとしているというもの。
[編集] 外部リンク
- ビルマ新首都へ移転開始、BBCの報道(2005年11月6日)
- 当惑させるビルマの首都移転、BBCの報道(2005年11月8日)
- ヤンゴン航空