ベルセルク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ベルセルク (berserkr) とは、北欧神話・伝承に登場する特殊な戦士のこと。古ノルド語(語源はアイスランド語という)で熊 (ber)の熊の毛で作った上着 (serkr) を着た者を意味する[1]。英語ではバーサーカー (berserker) と言い、日本語ではしばしば狂戦士と訳される。
軍神オーディンの神通力をうけた戦士で、危急の際には忘我状態となって鬼神の如く戦うが、その後虚脱状態になるという。ウールヴヘジンと常に並び称され、また同一の存在であるとも言う。
13世紀の史家スノッリ・ストゥルルソンは、「美髪王ハーラル1世の親衛兵の一部はベルセルクであり、武器をもってしてもこれを傷つけられない」と述べている。
後に、この伝承がイギリスに伝わって英語の go berserk (我を忘れて怒り狂う)という表現の語源となった。
また後の北欧語では、ベルセルクという言葉は、しばしば単なる無法者、乱暴者の意味で使われる。これは、北欧では豪族や農民が武器をとって戦う事が多く、人殺しのみを生業とする職業軍人が、異常者として蔑視されていた為である。