ベレロフォン (惑星)
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軌道要素 | ||
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軌道長半径 | (a) | 0.052 AU |
離心率 | (e) | 0.0 |
公転周期 | (P) | 4.23077 (± 0.00005) 日 |
軌道傾斜角 | (i) | ?° |
近日点引数 | (ω) | 0° |
近日点通過時刻 | (τ) | 2,452,497.0 ± 0.022 JD |
物理的性質 | ||
質量 | 木星の >0.468 (± 0.007) 倍 | |
半径 | 木星の ? 倍 | |
密度 | ? kg/m³ | |
表面温度 | ? K | |
発見 | ||
発見日 | 1995年 | |
発見方法 | ドップラー偏移法 | |
発見者 | M・メイヤー, D・クエロッツ |
ベレロフォンは、初めて発見された太陽以外の恒星の惑星である。主星はペガスス座51番星。典型的なホット・ジュピターである。
目次 |
[編集] 名前
ベレロフォンの公式な名称は51 Pegasi b(略称は51 Peg b)である。bというのは主星をまわる天体で最初に発見されたものにつけられる記号であり、発見された順にb、c、d…となる。ベレロフォンという名称は、いわばニックネームである。この名前はギリシャ神話の英雄ベレロポンに因んでいる。ベレロポンはペガサスに騎乗していたとされ、そのためペガスス座にあるこの惑星の呼び名となった。
[編集] 性質
ベレロフォンは木星の半分ほどの質量を持つ惑星である。主星から0.05AUという非常に近い位置を公転している。そのため表面は1000℃まで加熱されていると考えられている。このような天体は、発見当時の惑星形成理論では説明がつかない異常な惑星であった。しかしこの惑星の発見以後、同様の惑星がかに座55番星やうしかい座τ星に発見された。また天文学者は惑星形成理論を修正して、惑星系のより外側で生まれた惑星がその後内側へ移動してきたと言う理論を組み立てた。
ベレロフォンは発見当初、地球型惑星だと考えられていたが、現在では木星のような巨大ガス惑星であると考えられている。それは、大気が恒星風によって吹き飛ばされないための十分な質量を持っていると考えられるからである。
ベレロフォンは灼熱状態に加熱されているため、質量は木星の半分ほどであるにもかかわらず、熱膨張により半径は木星より大きくなっていると考えられている。大気は高温のため赤く発光し、珪酸塩の雲が漂っていると考えられている。
また、ベレロフォンは潮汐力のため自転周期と公転周期が一致し、主星に常に同じ面を向けていると考えられる。これはちょうど月が地球に同じ面を向けているのと同様の状態である。
地球からの距離は、およそ50光年ほどである。
[編集] 発見
発見の報告はスイスのジュネーブ天文台のミシェル・メイヤーとディディエル・クエロッツにより、1995年10月6日にネイチャー誌上でなされた。
1995年10月12日、サンフランシスコ州立大学のジオフリー・マーシーとカリフォルニア大学のポール・バトラーによって確認された。
スイスのグループはペガスス座51番星のスペクトルの変化を調べ、恒星が70m/sで視線方向に振動していることを発見した。そしてこの振動の原因を、主星から700万kmの距離にある惑星の重力によるものと結論付けた。彼らの用いた方法はドップラー偏移法といい、系外惑星探査の有効な方法である。
系外惑星自体はそれまでもパルサーの惑星としてPSR 1257+12の惑星系が発見されていたが、太陽のような恒星ではこの惑星が初の発見例とされる。
それまでは恒星のすぐ近くを回る巨大惑星などは誰も考えつかないことだったが、この発見により、そのような惑星が存在すると言うことが知られるようになった。探査が技術的に可能ということもあり、みな同じような惑星を探し始め、その後の系外惑星発見ラッシュへと繋がった。