ホモ・フローレシエンシス
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フローレス人 | ||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||
Homo floresiensis | ||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||
フローレス人 | ||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||
floresiensis |
ホモ・フローレシエンシス(Homo floresiensis)は、インドネシアのフローレス島で発見された、約1万2千年前まで生息していた小型のヒト属の新種ではないかとされる生物。身長は1mあまりで、それに比例して脳も小さいが、火や精巧な石器を使っていたと考えられる。そのサイズからホビット(トールキンの作品中の小人)という愛称が付けられている。
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[編集] 発見
2003年に、オーストラリアとインドネシアの混成チームが発見し、2004年10月に公表、2005年3月にヒト属の新種であるいう詳細な発表を行った。
リアンブア(Liang Bua)の石灰石の洞窟に、3万8千年から1万3千年前のホモ・フローレシエンシスの骨7体と獲物と考えられる象(ステゴドン)の骨、石器などが一緒に発見された。骨は化石化しておらず、かなり脆い状態だった。当初、小さいため子供の骨と思われたが、詳細な検討により成人の骨であることが判明した。
2005年に、既に発見されていた個体の右腕部分と新たな個体と考えられる下あごの骨が発見された。その下あごの骨も他の個体と同様に小さく、小型の種であるという説を強化するものとなっている。
[編集] 分析
孤立した島では、しばしば動物の矮小化が起こり、同島にはステゴドン等数種類の矮小化した動物が存在した。ホモ・フローレシエンシスも直接の祖先ホモ・エレクトス(直立原人、84万年前ごろ生息)が矮小化したものと考えられるが、背内側前前頭皮質の自意識に関する部分の大きさは、脳重量比では現代人と変わらず、火を使った形跡や化石から考えて、かなりの知能があったと考えられている。
[編集] 共存
同島には、3万5千年から5万5千年前頃より人間が住んでいたと考えられており、その場合、ホモ・サピエンス(現生人類)とホモ・フローレシエンシスが共存していたことになる。1万2千年前に起こった火山の爆発で、ステゴドン等と共に滅んだと考えられるが、その後も生き残っていた可能性もある。
現地にエブ・ゴゴ(Ebu Gogo)という小さく毛深い洞窟人の伝説があり、16世紀にオランダ人が到着した際もその伝説を聞いており、19世紀ごろまで目撃したという話があった。近くのスマトラ島にもオラン・ペンデック(Orang Pendek)という同様の伝説がある。付近の小島にホモ・フローレシエンシスが生き残っている可能性があると考える人もいる。
[編集] 反論
発見された骨は、小人症や矮小化した人間(ホモ・サピエンスの亜種)であると考える研究者も多い。今後の詳細な研究が待たれる。