マゾム
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マゾム(Mathom)とは、「すぐに使う予定は無いけど、捨てる事のできない物品」を指す呼び名。
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[編集] 概要
マゾムとは、J.R.R.トールキンが創作した架空の種族であるホビットの風習として、自分の住居に溜め込まれた「捨てるに捨てられないガラクタ」を指して用いられた言葉である。
語源としては古英語(→英語史)に由来するとされ、その意味は“貴重なもの・宝物・高価な贈り物”である。
これに分類される物品は様々で、古い玩具や使わない家具、やはり使う充ての無い食器や衣服といった日用品である場合が多い。しかしながらこの中には、長らく平和なホビット庄において無用と成り果てた武器(武具)も含まれ、これらは何かのお祝いなどの名目で方々でプレゼントされあったりしている。
ホビット庄大堀町には、このマゾムを集めた通称マゾム館という博物館があり、ここには様々な由来のあるマゾムが収蔵・展示されている。
[編集] 指輪物語関連
『指輪物語』では、冒頭でこのマゾムという言葉が、ホビットという種族の説明中に見られる。これによればホビットは、「今すぐ使うあてはないけれど、捨ててしまう気にはなれないもの」を指して何でもかんでもマゾムと呼び習わし、自分の住む住居(ホビット族は基本的に、よく手入れされた快適な内装を持つトンネルを住居としている)に溜め込んでいるとされる。
なお『ホビットの冒険』に於いてビルボ・バギンズらに発見され、フロド・バギンズに送られ、一つの指輪を葬る探索行に於いて活躍したミスリルの鎖帷子(→スマウグ)とつらぬき丸は、後にマゾム館で暫らく展示された事もあったようだ。
[編集] 備考
イギリス人は兎角古い物を尊重し愛好する民族である。古ければそれだけで愛着を持つのである。トールキンも、恐らくはそのような環境に育ち、古い物を大事にしながら生活していたのであろう。
興味深い逸話としては黒岩徹著『豊かなイギリス人』(ISBN 4-12-100719-x)にみられる所であるが、1324年にエドワード二世が発した「イギリス領海で取れたチョウザメは(英国)王室の物」とする法律が、いまだに破棄されずに存続しているという。
- 同書に依れば、とあるチャリティーパーティーの席で出されたメインディッシュのチョウザメが、出席者からの同法の遵守を求める発言で急遽バッキンガム宮殿に送られる事となった。メインディッシュを欠いたパーティーは、やや味気なくなってしまったとの事だ。
法律は兎も角として、英国ではフリーマーケットの走りである市民が自由に所有物や製作物を持ち寄って売買するマーケットが盛んで、毎週のように古物をはじめとした様々な物品が売買されており、この中には所謂骨董品のような貴重な物から、そこらの解体家屋から掘り出してきたような古い看板や家具等の金具・かつて印刷所で使われていた活字のブロック・第一次や第二次世界大戦当時の軍服や銃といった珍品・奇品が売り買いされている。
なお大英博物館は世界中から収蔵された膨大なコレクションを持っているが、これらも良く手入れされて系統だって展示されているものの、現代では使うあての無い珍品揃いである。あるいは、大堀町のマゾム館のモデルかも知れない。
[編集] 関連項目
- マゾムをゴミ扱いするのは些か議論を呼ぶ所であるが、一般的な整理術の多くでは、暫らく使わないような物品は、捨ててしまう事を推奨している。
- 所謂良い意味でのハッカーの中には、自分の所有するガラクタ(ジャンク)を指して、マゾムだというケースも見られる。
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