マトリックス
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マトリックスあるいはマトリクスとは「子宮」を意味するラテン語(< Mater母+ix)に由来する英語Matrixの音写で、そこから何かを生み出すもの、を指している。この「生み出す機能」に着目して命名されることが多い。また、子宮状の形状・状態に着目して命名される場合もある。
日本語にあえて翻訳する場合は「基盤」「基質」などの訳語が当てられることがあるが、原語で強く感じられる「生み出す機能」や「形状」が伝わりにくく、必ずしも評判が良くない。例えば「母体」あるいは「子宮体」ならばニュアンスも伝わるのだろうが、このような訳語はほとんど採用されていない。結局、カタカナで表記されることが多い。
具体的には次のような用例がある。
自然科学
- 数を縦横に配置した数学の行列。様々な式や値を、豊穣に生み出す、一種のアルゴリズムである。包み込むような子宮状の記号で表現される。
- ミトコンドリアの内膜で囲まれた基質のこと。
- ウイルス粒子のエンベロープとヌクレオカプシドの間に基質のように埋め込まれた蛋白質のこと。
- MALDI法を用いる質量分析において、ターゲット化合物のイオン化を支援する化合物。
- マトリックス分離法--物理化学において、ラジカルなどの不安定な分子を低温で不活性な固体に単離して、分析する方法。
- 分析対象成分と共存する他の成分。分析対象元素に干渉を及ぼし分析結果に影響を及ぼすこと がある。
フィクション
- 映画『マトリックス』THE MATRIX(1999年、米国)での用語。人類は、気付かないうちに仮想現実(ニセモノの現実、ある種の幻想)を見せられているのだが、すっかりそれを現実と思い込み、支配されてしまっている。ひとりひとりが見る幻想を生み出すカラクリである「コンピュータ仕掛けの仮想現実空間」を「マトリックス」と呼んでいる。
- サイバーSF『ニューロマンサー』、『カウント・ゼロ』、『モナリザ・オーバードライブ』での、サイバースペースの基本仮想空間としての「マトリックス」。
- 聖悠紀の漫画作品『超人ロック』シリーズにおいて、超能力者が他人に変身するときに、他人の身体からコピーして自分の体を作り変える、新たな自分を生み出す基礎情報をマトリクスと呼んでいる。
- 『トランスフォーマー』シリーズにおいて、サイバトロン総司令官が代々受け継ぐ結晶体マトリクス。
- ジョン・メイトリックスは映画コマンドーの主人公。
企業
[編集] マトリックスまたはマトリクスを使った熟語
- カラーマトリクス
- 細胞外マトリクス
- ドットマトリクス
- マトリックスコンバータ
- マトリクススイッチ
- マトリクススイッチャー
- ネイルマトリックス
- マトリックスエボリューション
[編集] 関連項目
- 基質(曖昧さ回避ページ)