ミラマックス
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Miramax Filmsはアメリカ合衆国の映画会社。アメリカの10大映画会社のひとつとされる。ニューヨークに本社がある。現在はウォルト・ディズニー・カンパニー系列。
1979年にハーヴェイとボブ・ウェインスティン(ハーヴェイ&ボブ・ワインスタイン、Harvey and Bob Weinstein)兄弟によって設立された。彼らの両親の名前「Max」と「Miriam」から会社名をMiramaxと名づけたといわれる。
この会社は本来、メジャースタジオでは配給できないと考えられるインディペンデント映画を配給するためにつくられた。特に1990年代、クエンティン・タランティーノをはじめとしたアメリカの新しい傾向の映画作家たちの作品や、『イル・ポスティーノ』をはじめとする世界各国の秀作のアメリカでの配給で一躍その名を高め、90年代半ばのアメリカにおけるインディペンデント映画ブーム・外国映画ブームの震源地となった。その配給作は相次いでアカデミー賞など多くの映画賞を獲得した。1993年にはディズニーに7000万ドルで買収された。
しかし、次第に小さな映画の製作・配給から、賞狙いがあからさまな作品や歴史大作を頻繁に手がけるようになるなど社風は変化してきた。アカデミー賞に対しても、委員に対する政治的影響力の行使が行われたとの批判もある。
2000年代に入り他のインディペンデント映画製作・配給会社の台頭もありミラマックスの特色は失われきた。ミラマックスが配給を予定していた『ドグマ』『華氏911』など政治色の強い映画の配給中止をディズニーから求められたことなどもあり、ウェインスティン兄弟は2005年9月30日に別会社ワインスタイン・カンパニーを作り、ディメンション・フィルムズなど子会社も引き抜いて退社した。現在の10大映画会社はミラマックスにかわってワインスタイン・カンパニーが入ったとされる。
[編集] 映画の編集・翻訳・配給に対する批判
ミラマックスは、自社製作映画に対して、また配給権を獲得した海外の映画に対して、アメリカ人観客が受け入れやすくなるよう大幅に編集・改編することが多いため、ウェインスティン兄弟はフィルムに容赦なくハサミを入れる「シザーハンズ」とも揶揄されていた。これを免れた数少ない例は宮崎駿の『もののけ姫』などである(もののけ姫についても、二時間以内への短縮やアメリカ人向けの整理を求める意見はあったが、最終的にはオリジナルを尊重することとなった)。またミラマックスは世界配給権を手に入れることが多いため、ミラマックスを通じて世界へ売られているヨーロッパや中南米、アジアの映画を製作国以外の国(例えば日本)で見る場合、本国のオリジナルに比べ大きくカットされていることは多い。(例:ジュゼッペ・トルナトーレの『マレーナ』はミラマックスによるカット版がイタリアを除く各国で劇場公開され、その後ノーカット・無修正版を収録したDVDが販売されている)
日本においては『Shall we ダンス?』(周防正行監督)の全米における配給を担当したことでその存在を知られるようになったが、その公開に至るミラマックス各部門(編集、翻訳、予告編など)との軋轢の顛末や全米プロモーションの道中については著書『『Shall we ダンス?』アメリカを行く』に詳しい。紛糾の末、周防の納得の行かない予告編が作成され、二時間半近い内容を二時間以内にカットしたバージョンが作られた。このヴァージョンがアメリカのみならずヨーロッパなどでも公開されることになったが、ミラマックスの営業の尽力により全世界での大ヒットに至っている。
吹き替えや字幕などの翻訳でもアメリカ人に受け入れられやすくするための改変が多いといわれ、マニア層の多い外国映画、特にアジア映画ファンからの批判が強い。たとえば『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ〈外伝〉アイアン・モンキー』は字幕つきのオリジナル音声で公開はされたものの、字幕ではアメリカ人になじみのない清朝末期の政治的背景が翻訳されず、編集でもアクションシーン以外の部分が大きく短縮され、映画音楽も差し替えられたためにクンフー映画ファンには馴染み深い『黄飛鴻のテーマ』が流れないという事態になった。
このほか、多くのアジア映画の配給権を購入したものの劇場でもDVDでも公開せず、その代わりに合法の輸入DVD販売を阻むなど、映画マニアを怒らせたこともある。たとえば『少林サッカー』の配給権を獲得しながら、劇場公開しないまま長期間にわたり死蔵し、その間に無残な予告編を公開してファンを怒らせた。結局、最終的な劇場公開までの間にファイルの違法ダウンロードと海外版DVDの輸入が大量に行われていた。
[編集] 代表的な映画
- セックスと嘘とビデオテープ Sex, Lies, and Videotape(1989年 配給)
- イル・ポスティーノ Il Postino(1994年 米国での配給)
- パルプ・フィクション Pulp Fiction(1994年 製作・配給)
- イングリッシュ・ペイシェント The English Patient(1996年 製作・配給)
- グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち Good Will Hunting(1997年 製作・配給)
- 恋におちたシェイクスピア Shakespeare in Love(1998年 製作・配給)
- ショコラ Chocolat(2000年 製作・配給)
- スパイキッズ Spy Kids(2001年 製作・配給)
- シカゴ Chicago(2002年 製作・配給)
- キル・ビル Kill Bill(2003年 製作・配給)
- アビエイター The Aviator(2004年 製作・配給)