メタルホーク
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『メタルホーク』(METAL HAWK)はナムコが1988年12月に発売したアーケードゲームでシューティングゲーム。前後左右に傾斜する大型筐体に乗り込んで遊ぶ体感ゲーム※である。
先に製品化されているアサルト同様、同社製アーケードゲーム用システム基板「システムII」を使用しており、最大の特徴である拡大縮小回転機能を前面に押し出したゲームデザインになっている。ただし、メタルホークで使用されたものは、通常のシステムIIよりも多い拡大縮小回転画面が必要なことから、ビデオボードがまったく別物である。
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[編集] 操作
自機はヘリコプターなので
- 右手 操縦桿(左右旋回、前後移動)
- 左手 スロットルレバー(高度を400~50(単位不明)で調節可能)
- 右手の操縦桿には2つのボタンがあり、それぞれ水平方向(対空中)への攻撃と、前方下方(地上物)への攻撃を行なう。
[編集] 進行
敵を倒すことで得られる「GP(獲得ポイント)」がステージ毎のノルマ(VP、勝利ポイント)に達するとステージクリア(通常のゲームの様な得点も別枠計算されているがゲーム進行とは関係無い)。
- プレイ可能な制限時間が決められている
- 残り時間は次の面に持ち越される。
- 敵軍にとって重要な施設が高い獲得ポイント源となっている
以上の理由から、敵戦闘機とのドッグファイトよりもマップを観察して効率良くノルマを達成していく必要がある。
[編集] 上下移動とスピード
左手レバーによる上下の移動は視野の確保の他、最大スピード確保の目的がある。
高い位置を飛行している方が最大移動スピードが遥かに早いので下記の様なルーチンに従ったゲーム進行が推奨されている。
- 高高度から高速で偵察
- 施設を発見したら急降下
- 確実に破壊できる高度まで下がったら爆撃
- 高得点施設を破壊したら上昇
- 1に戻る
高度な精密爆撃テクニックを身に付けていく事で必要以上の下降(=スピード低下)の必要が減り、次のステージに持ち越せる残り時間が増える事になる。
空中をかなりのスピードで移動している空中空母等の高得点源も存在し、上下運動によるスピード調節を駆使した戦術も要求される。
[編集] ジャンル分類
ジャンルとしては、バードビューの擬似3Dシューティングである。擬似3Dシューティングというと多くはフロントビューで、バードビューの物は意外と少ない。また、擬似3Dゲームは一応3次元空間を表現してはいても、実際にはあらかじめ定められた管状の空間を方向転換せずに進むしかないのに対し、このゲームは(天地方向に限りがあり水平方向もループしているとは言え)箱庭状の3次元空間で自由に方向転換ができ、重力に縛られずに自在な位置取りが可能な事から「真の意味で3次元空間を感じさせてくれるゲーム」との評価もある。
但し、奥行きが判りづらい3Dゲームの欠点を回避するために、ゲーム性はある程度2次元的なものになっており、地形は完全に平面で当たり判定は無い(余談だが、同様のバードビュー擬似3Dで、地形に当たり判定があったために難しくなりすぎ没になったコナミ「急降下爆撃隊」というゲームもあった。メタルホークも開発当初は地形や建築物等への当たり判定があったが、前記のものと同様に難しくなりすぎるため、高度を50以下にできないように設定し、地形当たり判定は没としたといわれている。なお、高度が0の時もあるが、このときは着弾して操縦不能になり、地上に激突、爆発するときのみである)[1]。
- 体感ゲームへの分類
- ※体感ゲームを「筐体が運動し座席を動かす」と狭義に定義する場合、ナムコとしてはファイナルラップに次ぐ2作目。広義に定義し自機の操縦操作を模したものも含めた場合にはポールポジションシリーズやサンダーセプター等、他に数作ある。
[編集] その他
- 敵弾が避けられない
- プログラム仕様上のバグ(システムIIのバグではない)。水平方向の画面回転に追従しないので避けられない事がほとんど。好意的なプレイヤーは誘導ミサイルであると解釈していた。
- 階級
- 得点に応じて階級が与えられるがゲームへの影響は全く無い。
- 移植
- 行なわれていない。海外版プレイステーションに移植されているらしいという噂があった。
- 音楽
[編集] 脚注
- ^ マイコンBASICマガジン スーパーソフトコーナー メタルホークの紹介ページより(1988年近辺発行、詳細な発行号などは不明)