ゲームオーバー
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ゲームオーバー(game over))とは、(主にコンピュータゲームで)ゲームがその時点で終了してしまうことを示す。(game is overの短縮語)
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[編集] ゲームオーバーの語意について
「ゲームオーバー」という言葉は元々の意味では、単純にゲームが終わるという意味でしかないのだが、日本語ではその中でも、特に悪い意味、すなわちゲーム中でプレイヤーが与えられた目的を果たせず、途中の過程で(エンディングやスタッフロールが見られず)ゲームが終了してしまうという意味で使用されることが多い。
例としては
- シューティングゲーム・アクションゲーム:自機がすべて敵に撃墜されてしまった、もしくはミスにより主人公キャラクターをすべて失ったとき。
- サスペンスもののアドベンチャーゲーム:犯人に主人公が殺されてしまった時、もしくは謎を解くのに失敗して事件が迷宮入りしてしまった時。
- ロールプレイングゲーム:パーティメンバーが全て、敵モンスターに倒された時。
- ウォー・シミュレーションゲーム:自軍ユニットの全滅、もしくは司令官など特定のユニットが敗北したとき。あるいは、設定された期間内に勝利条件を満たせなかった場合。
- 恋愛シミュレーションゲーム:異性にふられるなどして、結ばれなかった場合(アダルトゲームに多く見られるが、作品によっては強制的に設定された期間の最後まで進行するものもある。設定された期間の最後まで進行し、好感度やフラグが不十分な場合、バッドエンドになることが多い)。
- パズルゲーム:規定時間までにパズルを解けなかった場合や、手詰まりになってパズルを解くのが進められなくなった場合。テトリスやぷよぷよなどの落ち物パズルでは画面の上までブロックが詰まってしまった場合。
- 音楽ゲーム:クリア条件を満たしていない状態で曲が終了した場合。
- レースゲーム:規定時間までにチェックポイント、もしくはゴールラインを通過できなかった場合。コンピュータが操るキャラクターと競争するタイプの場合は、規定の順位でチェックポイントまたはゴールラインを通過できなかった場合としているものもある(頭文字D ARCADE STAGEのように、CPUと1対1(or 1対多)で対戦する場合、1位でゴールに到達できなかった場合など)
- テーブルゲーム:最下位になった場合。
などの状況が挙げられる。
なお、1980年代中ごろまでのアクション・シューティングゲームにおいては、特にプレイヤーに明確な目的がなく、自機・主人公をすべて失いゲームオーバーとなるまでひたすらゲームが続く方式のものが多かった(いわゆる無限ループと呼ばれるもので、特にファミコンのゲームに多く見られた)。
余談ではあるが、これとは別に『ドラえもん ギガゾンビの逆襲』で、オープニングの後に主人公の部屋に現れたドラえもんの頼みを断り続けるとドラえもんがスネてしまうという、一種のギャグとしてのゲームオーバーが稀に存在する。また、選択肢で「いいえ」を選択した場合に同じメッセージが繰り返されない珍しい例でもある。
[編集] コンティニューについて
最近のゲームでは、一旦ゲームオーバーになっても「コンティニュー」という機能が使えるものが数多く有る。この機能は、ゲームオーバーになった箇所の直前、もしくはゲームオーバーになった箇所から再びゲームを続行できるというものである。
[編集] アーケードゲームにおけるコンティニュー
[編集] 全般
アーケードゲームの場合には、コンティニューをする場合、ゲームをする為に必要な金額と同額、あるいは半額程度が必要になる場合が多い。しかし、古いゲームの割引などの為に、一回お金を入れると二回以上のゲーム利用権(クレジット)が投入されるものでは、大抵は一回分のクレジットと引き換えにコンティニューが一回無償でできる。
アーケードゲームの場合、ストーリー性が強くて最後までプレイするのに時間のかかるレースゲームなどでは、勝敗に関係なく一回のプレイ毎にコンティニューが必要になっており、その代わり、カードなどの外部メディアに、ゲームの進行状況を記録できるものが増えてきている。
[編集] モラルについて
アーケードゲームは、当然ながら一人だけのものではなく、ゲームセンターに来る全ての人のものであるのが原則の為、後ろに並んでいる人がいる場合はコンティニューをせずに、次の人にゲームを譲ってもう一度並び直して(最初から)やり直すことが、暗黙のルールとなっている。
しかし、あくまでも暗黙のルールであり、明記されている店舗は極めて稀で、店舗や地方、雑誌情報による様々な慣習の違いや遊戯可能な時間的制約は人それぞれなのでトラブルが起きることがあるため、順番待ちがいる場合、コンティニューは極力避けるべきである。
何度も何度もコンティニューを繰り返す事を連コイン(連続してコインを投入するの略。更に略し「連コ」)。それを見かける頻度の高い客層からサラリーマンタワー等がある。こうした専門用語は蔑称として意味を込めて使われる。
上述の暗黙のルールを「一人で連続しなければ良い」と曲解し、2人以上の仲間内で順番にゲームを行なう(これを回しプレイと呼ぶ)集団もいる。店舗の常連客である場合が多い。
[編集] コンシューマーゲームにおけるコンティニュー
- ゲームオーバーになったステージから再開
- ゲームオーバーになった箇所から再開
- ゲームオーバーになった位置によって決められた再開地点から再開
- パスワード
- ソフトウェア内蔵バッテリーバックアップ
- プラットフォーム内蔵バッテリーバックアップ
- 例:セガサターン
- 外部記憶装置によるバックアップ
- プラットフォーム内蔵の補助記憶装置によるバックアップ
- 例:Xbox・Xbox 360・PS3のハードディスクドライブ、Wiiの内蔵フラッシュメモリ
以上ほぼ登場順。旧式の仕様も引き続き採用されている。
[編集] ゲームオーバーのないゲーム
ゲームによっては、ゲームオーバーというものがない物もある。
例を挙げると桃太郎電鉄では、資金がいくらマイナスになろうが、ゲームオーバーになったり途中脱落になったりすることはなく、全てのプレイヤーが設定年数までプレイすることができる。
一部のサスペンスもののアドベンチャーゲーム(ポートピア連続殺人事件やEVE burst errorなど)では、シナリオに沿って適切に捜査を進めて行くことで、ゲームがちゃんと進行するというシステムもあり、この様なゲームにもゲームオーバーは存在しないものが多い。しかし、前者のタイプでは、プレイ上で発生した問題に対してプレイヤーの打つ手がまったく無くなるという事態が起こりうるし、後者のタイプでは、次に取るべき行動をプレイヤーがわからなくなってしまう事態も起こりうる。このような場合、実際問題としてゲームを続行することは不可能であり、実質的なゲームオーバーに近い状況となってしまう(後者の場合はプレイヤーが攻略法を調べる、人に聞くなどの方法で打開する方法はあり、完全な進行不能状況にはならない)。また、コンピューターゲーム黎明期の作品においては、クリアに必要な条件を満たせなくなっても(必要なアイテムを浪費した、フラグを立て損ねた等)、それと気付かずにゲームが続けられるものも多かった。これらの状況は「詰まり」、「ハマり」などと呼び、ゲームオーバーとは区別される。
『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』等は、ただ対戦を繰り返していくだけのゲームであり、同シリーズの中でストーリーの存在する作品を除けば、ゲームオーバーは一切ない。何度負けたとしても、何事もなかったかのようにゲームを進行できる。
MMORPGや、オンラインでリアルタイムに他人と対戦などを行うオンラインゲームでは通常の意味でのゲームオーバーは存在しない。なぜならプレイヤーキャラが途中で死亡したり、与えられた使命を果たせなくても最初からやりなおしになることは無いためである。使命に失敗したとしても、ほとんど再度挑戦する機会が与えられることが多い。このようなゲームでは、プレイヤーがそのゲームに飽きてプレイ続行を完全にやめた時がゲームオーバーと言えるだろう。
また、ゲームオーバーとは関係がないが、ゲームソフトのプログラム上のミス(バグ)により、ゲーム進行が不可能になる場合がある。
[編集] バッドエンド
ゲームオーバーという語を悪い意味で使う場合、「バッドエンド(BAD END)」という言葉が多く用いられる。 だが、バッドエンドをゲームによっては独自の文字を表示するもの、独自の表し方をするものがある。例を挙げると
- バイオハザードシリーズにおける”YOU DIED”
- かまいたちの夜
などでは、悪い意味でのゲームオーバーの場合は「終」の文字を表示し、事件を解決しストーリーが終了した場合にはスタッフロールが流れるようになっている。
また、ゲームによっては「終」を悪い意味に、「完」を良い意味に、また別のゲームでは「完」をゲームオーバー全般として表すこともあり、また別のゲームではゲームオーバーとしての文字表示はなく、敵モンスターが主人公に襲いかかって来て暗転し、それを悪い意味でのゲームオーバーとみなす物もあり、ゲームによって様々である。
また、ゲームの目的を果たせずに途中で終了してしまっても”THANK YOU FOR YOUR PLAYING”といった「終了」を直接宣言しない、あるいは柔らかい表現にしているゲームも存在する。
ゲームのストーリーの結末までたどり着いた(すなわちゲームをクリアした)が、クリア時にハッピーエンドになる条件を満たしていない場合、その結末が悪い内容となるゲームも存在する。このようなゲームにおける悪い内容の結末を指して「バッドエンド」という言葉を用いることもある(『I"s Pure』など)。
クリア時の条件に関係なく、ストーリーそのものがバッドエンドとなっているゲームも稀に存在する(例:カイの冒険、カプコン バーサス エス・エヌ・ケイ ミレニアムファイト 2000)。
ゲームだけでなく、マンガやドラマなどにおいて主人公が不幸な結末を迎えた場合にもこの言葉を用いる事が多い。
[編集] デッドエンド
バッドエンドの中でも特に最悪な結末とも言える、殺されるなどして死に至るバッドエンドを俗に「デッドエンド(DEAD END)」と言う。デッドエンドは翻訳すると「袋小路」だが、この場合は「デッド=死」を意味する。前述の「バイオハザード」シリーズなどの残酷ゲーム、「かまいたちの夜」などのミステリー・サスペンスものの他、成人向けゲームにも見られる事が多い。