モジュール式脱出装置
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モジュール式脱出装置(モジュールしきだっしゅつそうち)は、航空機の非常用脱出装置の一種。コクピット部分を分離して搭乗員を脱出させる形式のものを言う。
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[編集] 解説
航空機の緊急脱出装置としては、戦闘機等の小型軍用機が備える射出座席が有名であるが、パイロットが殆ど剥き出しのまま座席のみを射出する方式である為、条件[1]によっては安全性に問題があった。特に、高高度を超音速で飛行する機体からの脱出[2]は困難であった。
この欠点を解決する為に開発されたのがモジュール式脱出装置である。超音速飛行時や高高度飛行時の安全な脱出の他、着水による低体温症の回避、サバイバルキット等の非常用物資の充実化等の利点があった。
しかし、システムが射出座席よりも大型化する為に落下速度が早くパラシュートの大型化が不可欠の上、着陸時の衝撃を緩和するエアバッグ等の軟着陸対策に掛かる重量問題、装備変更の度に掛かる改修やメンテナンスのコストが高い事…等といった欠点もあった。更に、レーダーの発達により敵地への進入は低空の飛行が主流となった事、安全性の目安にされる「高度0・速度0の状態からでも、パラシュートが十分開く高度までパイロットを打ち上げられる」と言う「ゼロゼロ射出」が難しい事が、モジュール式の衰退に拍車をかける要因となった。こうした背景もあり、現在モジュール式を採用している戦闘機は、オーストラリアのみで現役のF-111だけである[3]。
[編集] 主な採用機
- F-111 アードバーク: 現役戦闘機ではほぼ唯一の採用機である。
- XB-70 ヴァルキリー: 莫大な予算が掛かった事とレーダーの発達により試作機2機のみ製作に縮小。うち1機は空中でF-104Nと接触する事故により墜落し、その際にこの脱出装置を使用した。詳細はリンク先の項目参照
- B-1 ランサー: 但し、このシステムが組み込まれているのはプロトタイプ・B-1A4機のうちの3機のみ。量産型のB-1Bでは運用方法の変化等[4]によりモジュール式は廃止されている。
因みに、マッハ3級戦闘機のXF-103・XF-108にもその用途故に採用が予定されたが、開発難易度の高さと予算高騰が予想された事から、実験機すら作られる事無く共にキャンセルとなっている。
[編集] モジュール式脱出装置が登場するフィクション
- 『コードギアス 反逆のルルーシュ』 - 全高5メートルと言うハンデにも関わらず採用[5]。
- 『新世紀エヴァンゲリオン』 - 細長い円柱状のエントリープラグを脊髄相当部に差し込む方式。
- 『機動戦士Ζガンダム』 - 全天周囲モニターの副産物とも言える球型のイジェクションポッドを採用。後日談とも言える『逆襲のシャア』にもこのシステムが登場する[6]が、知名度では同等の機能を持つ『機動戦士ガンダム』のコアブロックシステム[7]に劣る。
- 『タイムボカンシリーズ』 - 三悪が搭乗するシャレコウベ型コアメカとして登場。やられる度にシャレコウベ型のキノコ雲からコアメカが飛び出すシーンは、シリーズ通してのお約束シーンとなっている[8]。
因みに、『マジンガーZ』のホバーパイルダーの様に航空機(もしくは自動車)が同等の役回りを果たす例の方が多いが、『機動戦士ガンダム』最終回[9]や『マジンカイザー』OVA第1話[10]の様に緊急脱出装置として活用する例は稀である。
[編集] 脚注
- ^ 海上もしくは湖の上での射出は着水による低体温症の危険が伴う上、射出時の姿勢が悪いと強烈なGの為に背骨等が折れて死亡する場合があった。
- ^ 公式に音速以上での射出に対応しているのは、Su-27・MiG-31等に装備されているズベズダ設計局製のK-36だけである。
- ^ 実際には戦闘機と言うより、攻撃機もしくは戦闘爆撃機と言うのが妥当である。
- ^ 超低空飛行に超音速飛行は重要でない事から、ステルス性能向上と予算削減も兼ね、吸気口固定化への設計変更が行われている。
- ^ 但し、予算の関係上オミットされた試作機・ランスロット等、採用されていないと思われる機種もある。
- ^ アムロが操縦するν(ニュー)ガンダムが、サザビーから射出されたシャアが乗っている球型脱出カプセルを掴んだままアクシズを押し返すシーンは有名。
- ^ コアファイターが変形する事でコクピット部になる方式。飛行形態にに変形する事で地球上・宇宙に関わらず自力移動可能である。
- ^ 但し、ヤッターマンではコアメカは登場せず、お仕置き三輪車がその任についている。
- ^ シャアとの一騎打ちの後、アムロが大破したガンダムからコアファイターを分離させ、陥落したア・バオア・クーから脱出している。因みに、このシーンのインパクトはいまだに強く、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では元々はシートのみ分離する仕様であったが、物語途中からコアブロック仕様に変更となっている。
- ^ マジンガーZをあしゅら男爵らに捕獲された後、兜甲児が乗るホバーパイルダーはオートパイロットでマジンカイザーが秘匿されている格納庫に向かっている。