ライン (競輪)
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ラインは、競輪の戦法の1つ。2人~4人(基本は3人)の選手が一列に並んで連携して戦う戦法。
[編集] 概要
同門(師匠が同じ、あるいは師弟など)、同郷、同地区(近隣都道府県。大体はこれで組む)、競輪学校同期生同士で「チーム」を組んで上位入線を狙う。ただ、勝ち上がりのレースによっては同地区に選手がおらずラインが組めないケースもよくあり、その場合は単独で戦うか、他のラインに追随する(俗に「単騎」とも呼ばれる)。
先行選手 - 追込選手 - 追込選手 の並びが基本だが、特に勝ち上がりレースでは先行選手が2人並んで「2段掛け」するケースや、先行選手がいない場合止むを得ず追込選手が先頭を走るケースも多々見受けられる。
これは、時速70km/hにも上るスピードを出すレース中では、若い頃より体力・パワーの衰えたベテラン選手は特に風の抵抗(風圧)をまともに受けるとスタミナを早く消耗して若手選手より圧倒的に不利となるため、体力・パワーがある先行選手(通常は若手選手)に前を走ってもらうことで「風除け」になってもらい最後まで自身の体力を温存、その代わりに後方から捲り・追込する選手を妨害する役目を負う。「ギブ・アンド・テイク」がライン戦の基本である(もちろん、必ず、とは言い切れないが)。
競輪をよく知らない人の中には、「後ろの方が風除けがあって圧倒的に有利じゃないか」と意見する人がいるが、追込選手はマークする先行選手がレースで主導権を握ってくれないと手の打ちようがないし、逆に先行選手は風圧をもろに受けるものの自分自身でレースを組み立てることが可能であることから、多くの競輪選手はできれば先行で戦いたい、と考えている人が殆どである。実際に全盛期より勢いの衰えたベテラン選手の中にも先行主体で戦っている人もいるように(マーク技術が苦手だから、と理由付ける選手もいるが)、どちらかと言うと、先行が有利、という見方が殆ど。強力な先行若手選手を梃子に勝ちを浚う晩年のベテラン選手 は乞食等と揶揄されることもある。
一世を風靡し、ファンなどから特別な名称がつけられたラインとして有名なのは、1980年代後半から1990年代にかけて、関東・南関東の選手で組まれた「フラワーライン」がある。当時無敵の強さを誇った中野浩一・井上茂徳らの九州勢に対抗するため、東京の山口国男の発案で、国男の弟山口健治・尾崎雅彦・清嶋彰一、千葉の吉井秀仁・滝澤正光らが参加して共闘団結を組んだものである。
近年では、1996年のアトランタオリンピックの自転車競技に出場した神山雄一郎・十文字貴信の「アトランタライン」が知られる。