ラウリル硫酸ナトリウム
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ラウリル硫酸ナトリウム | |
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一般情報 | |
IUPAC名 | ドデシル硫酸ナトリウム |
別名 | ラウリル硫酸ナトリウム ラウリル硫酸Na(表示名) 硫酸ドデシルナトリウム NaDS, SLS, SDS |
分子式 | C12H25NaO4S |
分子量 | 288.38 g/mol |
組成式 | |
式量 | g/mol |
形状 | 白色固体 |
CAS登録番号 | 151-21-3 |
SMILES | |
性質 | |
密度と相 | g/cm3, |
相対蒸気密度 | (空気 = 1) |
水への溶解度 | 10 g/100 mL |
への溶解度 | g/100 mL ( ℃) |
への溶解度 | g/100 mL ( ℃) |
融点 | 204–207 ℃ |
沸点 | ℃ |
昇華点 | ℃ |
pKa | |
pKb | |
比旋光度 [α]D | |
比旋光度 [α]D | |
粘度 | |
屈折率 | |
出典 | ICSC |
ラウリル硫酸ナトリウム(ラウリルりゅうさんナトリウム、sodiumu lauryl sulfate, SLS)は陰イオン性界面活性剤の1つ。ドデシル硫酸ナトリウム(ドデシルりゅうさんナトリウム、sodium dodecyl sulfate, SDS, NaDS)とも呼ばれる。
乳化剤や発泡剤、洗浄剤として、日用品では歯磨き粉、シャンプー、髭剃りクリーム、泡風呂など、工業用としてはガレージのフロア用洗剤、エンジンの油落とし洗剤、洗車用洗剤などの多く用途に使用されている合成化学物質である。12個の炭素原子鎖が硫酸塩に接続された構造を持ち、洗剤に不可欠な両親媒性特性を有する。
目次 |
[編集] 特性
- 純水中の臨界ミセル濃度: 0.0085 M。
- この濃縮の凝集数: 50 付近。
- ミセル電離度 (α): 0.3 (30%) 付近。
- 純粋な水溶液中における光学屈折率増分 (dn/dc): 波長 532 nm の場合、約 0.1070 mL/g。
[編集] 製法
炭酸ナトリウムにより中性化された1-ドデカノール(ラウリルアルコール、CH3(CH2)10CH2OH)の硫化によって合成される。
[編集] 人体への影響
石鹸を含む他のすべての界面活性剤と同じく、皮脂を取り除くため、皮膚や眼に炎症を起こす可能性がある。
ラウリル硫酸ナトリウムはエトキシル化により、肌への影響が少ないラウレス硫酸ナトリウム(ラウレスりゅうさんナトリウム、sodium laureth sulfate, SLES, ラウリルエーテル硫酸ナトリウムとも呼ばれる)に転換できる。影響が少ないのは、他のエトキシル化されている物質と同じく、タンパク質変性剤でないためと考えられている。しかし、ラウレス硫酸ナトリウムのほうがひどい乾燥肌を引き起こす可能性も報告されている。
[編集] 用途
実験室では、ラウリル硫酸ナトリウムはポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE) 用にタンパク質を処理するために使用される。ラウリル硫酸ナトリウムはタンパク質の非共有結合を分離させ、分子の高次構造を失わせる(これは変性と呼ばれる)。さらに、ラウリル硫酸ナトリウムの陰イオンは、1つのラウリル硫酸ナトリウム陰イオンに対し2つのアミノ酸残基の比率で主ペプチド鎖に結び付く。これにより、そのタンパク質の質量に比例した負電荷を効果的に分配する(およそ1.4グラムのラウリル硫酸ナトリウムに対し1グラムのタンパク質)。この新たな負電荷は、もともとの負電荷量よりも著しく大きくなる。ラウリル硫酸ナトリウムの結合により生成される静電気反発作用は、タンパク質の折りたたみ構造を棒状構造へと変化させることにより、ゲル中泳動時におけるタンパク質形状の差による影響を取り去る。