ランボー/怒りの脱出
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ランボー/怒りの脱出 Rambo: First Blood Part II |
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監督 | ジョージ・P・コスマトス |
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製作総指揮 | マリオ・カサール アンドリュー・ヴァイナ |
製作 | バズ・フェイシャンズ |
脚本 | シルヴェスター・スタローン ジェームズ・キャメロン |
出演者 | シルヴェスター・スタローン リチャード・クレンナ |
音楽 | ジェリー・ゴールドスミス |
撮影 | ジャック・カーディフ |
編集 | マーク・ゴールドブラット マーク・ヘルフリック |
配給 | カロルコ映画 |
公開 | 1985年 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
前作 | ランボー |
次作 | ランボー3/怒りのアフガン |
ランボー/怒りの脱出(ランボー/いかりのだっしゅつ、Rambo: First Blood Part II)は、シルヴェスター・スタローンが主演したアメリカ映画。1985年公開。
ランボー (First Blood) の続編にあたる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
前作の最後に逮捕され服役中のジョン・J・ランボーのもとを、元上官であるトラウトマン大佐が訪れる。特赦と引き換えに極秘任務を行うようランボーを説得するトラウトマン。その任務とは、戦時中ランボーが脱走したベトナムの捕虜収容所付近に潜入し、戦後10年以上が経過しているにもかかわらず今なお囚われているPOW(=戦争捕虜、MIA=任務中行方不明者と同義で使われることが多い)の姿を証拠写真として撮影して帰ることであった。 任務を承諾したランボーは、CIA司令官マードックの支援のもとタイの米軍基地から空路ベトナムへ潜入。パラシュート降下の際のアクシデントでカメラを始めとする大半の装備を失ってしまうが、なんとか女性情報員コー・バオと落ち合い収容所へ向かう。
収容所で捕虜の惨状を目の当たりにしたランボーは、命令を無視し救出をはじめる。一人の捕虜を助け出しヘリコプターによる救出地点を目指す。敵の潜入と捕虜の脱走に気付いたベトナム軍が追跡を開始するが、ランボーは何とか救出地点に到着。そこへヘリも到着するが、ランボーが捕虜を連れていることを知ったマードックは救出を中止し基地に帰還するよう命令。ヘリは無情にも二人を敵陣に見捨て飛び去っていく。
捕虜を救出すると言っておきながら、そんな気はさらさらないCIA=政府の方針にマードックは従ったのだった。
ベトナム軍に捕らえられたランボーは、軍事顧問としてベトナムに派遣されているソ連軍中佐ポドフスキーの拷問を受ける。そんな中コーは娼婦の変装をし収容所へ潜入する。拷問を受けたランボーだが、コーの助けで収容所を脱出、二人は国境を目指す。夜が開け二人を捜索するヘリの音が止む。アメリカへ一緒に行きたいというコーをランボーは受け入れ、二人は口付けを交わす。その直後、潜んでいたベトナム軍の一斉射撃によりコーは胸を撃ち抜かれる。「わたしのことを忘れないで」コーはランボーの胸の中で息絶える。
復讐を誓ったランボーは爆薬を装填した弓矢とサバイバルナイフを駆使しベトナム兵とソ連兵を一人また一人と葬り去っていく。ヘリを奪取したランボーは収容所へ猛烈な攻撃を行い、捕虜全員を救出しタイの米軍基地を目指す。ポドフスキーはソ連製攻撃ヘリでランボーを追う。空中戦が展開され、ランボーの乗るヘリはついに被弾し川の中に不時着する。ポドフスキーはとどめの一撃を加えようとするが、間一髪ランボーがロケットランチャーを放ちポドフスキーの乗るヘリは爆発。ランボーは捕虜と基地へ帰還する。
基地に着陸したランボーはマシンガンで基地の司令室を破壊し、マードックを見つけ喉にナイフを突きつける。「まだ大勢残っている。殺られたくなければ全員探し出せ。」。言い残したランボーはその場を後にする。後を追い「国を憎むな」と言うトラウトマンに対し、ランボーは「憎んでなんかいない。命を捧げる。ただ、自分たちが愛したように、国にもオレたちを愛してほしい」と、ベトナム帰還兵の心情を吐露し去っていく。 BGMにテーマ曲でありスタローンの実弟フランク・スタローンが歌う「Peace in Our Life」が流れる。
[編集] 解説
前作「ランボー(原題:First Blood)」の原作となったデイヴィッド・マレルの小説「一人だけの軍隊」のラストで主人公は死ぬ。しかし映画でランボーは生き残る。これは、ランボーの自殺で終わるバージョンのモニター試写結果が不評だったことも関係しているが、スタローンの中に続編への構想があったことが強く影響していたと思われる。
1作目のランボーが公開された後、多くのベトナム帰還兵からスタローンのもとにファンレターが届いた。その中に、「是非POW/MIAを題材にした続編を作ってほしい」という内容の手紙があった。スタローンはこの手紙をもとに脚本を執筆した。なお脚本の共同執筆者には若き日のジェームズ・キャメロンも含まれる。当初はベトナム戦争で捕虜となった戦友をランボーが救出に行くストーリーだった。
本作は1985年に公開されるや、世界各地で大ヒットを記録。本国アメリカでは1億5千万ドルを稼ぎ出す。そして、その年の全米興行収入2位を記録し(1位は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、3位は同じくスタローン主演の「ロッキー4/炎の友情」)、世界中でランボー=スタローンブームとでも言える現象が起き、亜流映画も数多く作製された。 実際、映画の内容はそれまでのアクション映画の常識を覆すスペクタクルなアクションシーンにあふれており、今なおアクション映画の代表格として語られることも多い。
以降「ランボー」という言葉自体「強いアメリカ(または米軍)」を比喩する言葉として使われるようにもなり、当時大統領であったロナルド・レーガンも米議会で「ランボーのような軍人が欲しい」との発言を行ったこともある。
本作によりスタローンはロッキーに続くキャラクターイメージを獲得し、アクションスターとしての地位を不動のものとした。
しかしながら、前作がベトナム戦争による帰還兵のトラウマと市民の迫害を描いた佳作だったのに対し、本作では専らランボーのアクションに重点が置かれたため、「反戦映画」から「好戦映画」に転換したと批判され、またスタローン自身もタカ派俳優とのレッテルが張られることになった。さらには同様の理由から本作はゴールデンラジー賞(最低作品賞、最低主演男優賞、最低脚本賞、最低主題歌賞)を受賞。以降スタローンはラジー賞の常連となり、一時は「ラジー賞はスタローンのために創設された」とまで言われてしまうほどになる。
ただし、本作は前作が持っていたメッセージ性をある程度踏襲しており、特に前作同様ラストシーンでのランボーとトラウトマン大佐とのやりとりは、ベトナム帰還兵が持つ屈折した祖国への思いをストレートに表現していると言える。 また、本作は超大国でありながらアジアの小国ベトナムに戦争で敗北したアメリカ国民の喪失感を癒すファンタジーであったとも言える。
いずれにせよ、CGがまだ一般的でない時代の、生身のスタントアクション映画の最高峰であることは間違いない。
[編集] キャスト
- ジョン・J・ランボー - シルヴェスター・スタローン
- サミュエル・トラウトマン大佐 - リチャード・クレンナ
- マードック - チャールズ・ネピアー
- ポドフスキー中佐 - スティーブン・バーコフ
- コー・バオ - ジュリア・ニクソン
[編集] スタッフ
- 監督 - ジョージ・P・コスマトス
- 製作 - バズ・フェイシャンズ
- 製作総指揮 - マリオ・カサール、アンドリュー・ヴァイナ
- キャラクター原案 - デイヴィッド・マレル
- 脚色 - シルヴェスター・スタローン、ジェームズ・キャメロン
- 撮影 - ジャック・カーディフ
- 編集 - マーク・ゴールドブラット、マーク・ヘルフリック
- 音楽 - ジェリー・ゴールドスミス
- 提供 - カロルコ映画
[編集] 日本語吹替
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